ジャスコを初めとするイオングループのPB食品には、「遺伝子組み換え」とうもろこしや大豆、なたね由来の食材の含まれている可能性のあるものがかなりある。冒頭の写真がその一つ。「トップバリュ」ブランドのジンジャーエールである。売り場の棚に値段の表示があるだけで、「遺伝子組み換え」については、棚とその周辺のどこにも一言も書かれてはいない。
イオングループのPBには2種類ある。
ひとつはメインラインの「トップバリュ」。もう一つは安物ラインの「ベストプライス」である。
先日、試しに「トップバリュ」ブランドのジンジャーエールを買ってみた。コカ・コーラ社の正規品であるカナディアン・ジンジャーエールとくらべると、いかにも味が安っぽく、しごくつまらない薄っぺらな味だったので、二度とと飲むまいと思ったのだが、ラベルの一つに小さく書かれてある表示を見て、びっくりした。全部吐き出してしまいたかったが、もう後の祭りである。けれど、そのようなことは、棚も含めて売り場には何一つ書かれていない。商品を子細にチェックしなければ、見逃してしまうほどにごくごくひかえめな表示であった。
「ぶどう糖液糖(とうもろこし):遺伝子組み換えとうもろこしが含まれている可能性があります。」とある。小さな字で書かれている。つまり、これで「ちゃんと表示しました」というアリバイ証明になっているというわけである。ペットボトルの形態も色具合もコカコーラ社正規品とそっくりであるというのも、いかにもジャスコらしい。消費者が間違って買うことも狙っているのである。間違って消費者が「遺伝子組み換え食品」を口にするのもジャスコは平気なのである。
同じ棚の隣で売られているコカコーラ社のジンジャーエールは同じ容量で158円である。「トップバリュ」ブランのものは、写真にもあるように、148円であるから、たった10円で、「『遺伝子組み換え食品』のリスクを負え」、というのである。
最初は、ジンジャーエールばかりのことだと思っていた。この製品の最終責任は、おそらくこの商品を提供しているコカコーラ社にあるのだろう、ぐらいに思っていた。要はコカコーラ社の製品はどれも注意してかからないといけない。必ず、あの小さなラベルを読んでからでないと、買うことはできない。厳しい注意が肝要であると。
ところがである。
一昨日である。「トップバリュ」ブランドのマーマレードを買ってみた。一緒に売られているアオハタブランドのマーマレードと瓶の形も大きさもそっくりだったので、それほど不安を感じないで買った。そして、家に帰ってきて、ふと後ろの小さなラベルを見て、たまげた。
なんと、これもまた「遺伝子組み換えとうもろこしを分別していません。遺伝子組み換えとうもろこしが含まれている可能性があります。」とある。
隣で売っていたアオハタブランドのマーマレードは、298円。こちらは258円であった。その差たった40円で、消費者が「遺伝子組み換え食品を口に入れるリスクを負え」というのである。たとえ半値にしたって、そんなリスクを負いたくない、というのが消費者の大方の思いであろう。ましてや、子供にはけっして口に入れさせたくない。
マーマレードは子供も口に入れるはずである。トーストにつけたり、バゲットにつけたりすると、まことにおいしい。子供のほうは、子供ながらに大人の味を感じるのである。イギリスの童話の主人公、パディントン・ベアは確か、マーマレードが大好物であった。そんなに大切な食べ物に、遺伝子組み換え食品とは、けっして許せない。絶対に願い下げである。
売り場に再三行って探し回ったが、消費者に確実にはっきりと分かるように、「『遺伝子組み換え製品』が含まれている可能性があります」という表示はなされていなかった。かなりしつこく見て回ったがどこにもなかった。
あるいは、ジャスコのことであるから、どこかにアリバイ証明のように、小さく、ごくごく小さく、だれの目にも少しも目立たぬよう、ひっそりと表示がなされているのかも知れない。だが、ぼくはあちこち目を皿のようにして探し回ったのである。
「なんの表示も売り場にはない」
これが結論である。
そのついでに、そのほかの「トップバリュ」ブランド、「ベストプライス」ブランドの食品をチェックしてみた。
同じジャムの棚には、「トップバリュ」ブランドのイチゴ(ストロベリー)ジャムもあったが、これもやはり「遺伝子組み換えとうもろこし」が含まれている可能性があるという表示である。
値札の表示を見てもらえば分かるだろう。「遺伝子組み換え食品」について、一言も書かれていない。むしろ「JAS特級」という表示で、この製品が優れた品質をもっていることを主張している。「遺伝子組み換え食品」が含まれている可能性があって、どこが「特級」の品質というのだろうか?
ジャスコは、つねにこの手である。この手で、消費者をだまそうとする。あるいはごまかそうとする。
写真を並べてみたが、いずれも「遺伝子組み換え食品」のリスクがあることが裏のラベルに小さく書かれているものである。
キャノーラ油まで。こちらは「なたね油」にそのリスクのあることが記載されている。こうなると、どれがそうでないのか、そっちを探すことのほうが骨が折れる。もうあれもこれも、なのである。
おもしろいことに、これまでぼくの見たところでは、全部が全部「トップバリュ」ブランド食品ばかりで、より安価な「ベストプライス」ブランド食品には、このような「遺伝子組み換え食品」のリスクは書かれていない。「書かれていない」ことが「遺伝子組み換え食品が含まれている可能性」がないことになるのかどうか、それは不明である。
とにかく、「トップバリュ」ブランド食品はその多くが要注意である。
あるいは、「ベストプライス」ブランド食品にも大きな注意を払って厳し目で選択する必要ががある。
値段が少し安くても、「遺伝子組み換え食品」を口にするリスクを負わねばならぬのでは、消費者は何を信じればよいのか? 食品の安全という観点からは、このような食品の販売は基本的に、ジャスコの消費者に対する背信行為と言わざるを得ない。
ジャスコを初めとするイオングループは、値段さえ安ければ、遺伝子組み換え食品を、そのリスクにもかかわらず、消費者が口にするのは許されるというのであろうか?
理不尽にもこれでは、消費者をあんまりにも馬鹿にしていると言うほかない。このような裏切り行為を許していいものだろうか?
もし、ジャスコがこのような食品を店頭で今後も販売し続けたいのなら、店頭および、販売する棚に大きな字でだれにもわかるように、
「遺伝子組み換え食品が含まれている可能性があります。」
という表示を正々堂々と掲げることを求める。それはだが、消費者への挑戦である。そのような挑戦をしたいのなら、どうぞお勝手に。
ぼくは、そのようなイオングループをけっして支持ない。いや、何よりもそのような企業精神を、けっして許さないであろう。