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フランシスコの花束

 詩・韻文(短歌、俳句)

だれですか?

2005-06-12 03:34:17 | POEMS-詩集『愛と癒しと』以前

     だれですか?
 
   ぼくの手を引くのはだれですか?
   めしいたこころを導いてるのは
   いったいだれですか?
   いつからか いつのまにか
   何も見えなくなったぼく
   右も左も ひとりぼっちで
   おびえていたぼくを
   だれかが励ましている
   だれかが背中を押している
   だれかが手を添えて
   歩ませている
   ぼくの肩をたたくのはだれですか?
   ぼくのかいなを取るのはだれですか?
   見えないこころに
   やさしい息吹で
   香る息吹で ささやくのは
   いったい いったい だれですか?

   

            [POEM-『愛と癒しと』以前の詩から]


この祈りなくんば

2005-06-10 21:39:58 | POEMS-詩集『愛と癒しと』以前

     この祈りなくんば

   祈り 祈り 祈り
   それは ぼくの魂のエネルギー
   それは ぼくの心の力
   崩れかかる悲しみのひととき
   祈りは ぼくをやっとのことで
   支えている そう
   この 美しい祈りなくんば
   この 愛に満ちた祈りなくんば
   
   祈り 祈り 祈り
   それは ぼくの生きるヘゲモニー
   それは ぼくの命の歩み
   倒れかかるうつしみのむなしさ
   祈りは ぼくをすんでのところで
   支えている そう
   この 厳しい祈りなくんば
   この 叱咤に満ちた祈りなくんば

   
   
            [POEM-『愛と癒しと』以前の詩から]


いのち

2005-06-10 21:33:37 | POEMS-詩集『愛と癒しと』以前

    いのち   

   いのちのぬくもりはよい。
   いのちのあたたかさはうれしい。
   ほんの夜のひとときであっても、
   ひとのやさしさ、ほんのり味わって、
   ほんのり、ほんのり、
   心あたたまるとき。
   いのちはなんていとしい、って思うとき。
   いとしいいのちたちの、
   深いやさしさ。
   いたわりをこめているまなざし。
   ねぎらいをつつんでいる大きな手。
   そこから、すこーしだけ、
   おすそわけいただきながら、、
   この疲れたこころにいただきながら、
   もっと、もっとたっぷりと、
   たっぷりと愛にあふれて生きたい、と思う。
   それがきっと、ぼくらのいのちのハーモニー。
   ぼくらの、ぼくらの、
   きっと生きるということ。

   
   
            [POEM-『愛と癒しと』以前の詩から]


冬の月

2005-06-10 21:12:54 | POEMS-詩集『愛と癒しと』以前

     冬の月   

   冬の夜の真っ赤なネオンの十字架
   さえわたるかと見えたが
   ほんとうは ぼくの
   頭上に こびている
   びりびり びりびり音立てて
   おどすように こびている
   そのすぐ上には
   いびつな月だ
   ネオンに ぽつんと
   ひっかかって 
   橙色のふくらみが
   風に揺れているばかりで
   少し不満げ
   
   むこうには ほら
   つぐみたちの
   眠る枝 その手を交わし合う
   村の雑木林
   細い枝先まで
   ひとつひとつが
   まっ黒なシルエットになって
   ざわめいている
   「もう帰りな」と
   小さくふるわせ
   「もう休みな」と
   葉のない枝をふるわせ
   寒さが じんじんしている冬の夜
   そのうえにぶらさがっている月
   天のほんとうの十字架から引きはがされて
   きりきりと きりきりと
   凍えはじめた月

   さぁ ぼくも帰ろう
   ぼくのこころのありかへ
   ぼくのなつかしい愛の港へ

   
  
              [POEM-『愛と癒しと』以前の詩から]


問う者がある

2005-06-04 00:18:55 | POEMS-詩集『愛と癒しと』以前

     問う者がある

   わたしに問う者がある
   わたしに わたしの十字架を
   問う者がある
   おまえの十字架は何か?
   おまえの十字架の重さはいかほどか?
   いえ おまえはほんとうに
   おまえの十字架を背負ったか?
   いな いな いな
   わたしも答えを否んで
   三度否んで それから泣いた
   ペトロのように泣いた
   鶏は鳴かずに
   鴉があきれたように
   三度声を交わした
   震えている高圧線の上の
   そのまた上に広がっている
   天の国
   
     こんなにも憧れているのに
     こんなにも夢見ているのに
   
   わたしに問う者がある
   わたしに わたしの十字架を
   問う者がある
   おまえの十字架はつらいか?
   おまえの十字架はどれだけ悲しいか?
   いえ おまえはほんとうに
   おまえの十字架を信じたか?
   いな いな いな
   わたしも答えを否んで
   三度否んで やっぱり泣いた
   ペトロのように泣いた
   とがめは届かずに
   人らがからかうように
   三度笑いさざめいた
   ゆれている高い梢の上の
   そのまた上に青くて深い
   天の国
   
     こんなにも憧れているのに
     こんなにも夢見ているのに

              [POEM-詩集『愛と癒しと』以前の詩から]