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フランシスコの花束

 詩・韻文(短歌、俳句)

ぼくら ほんとうのたたかいを

2005-05-10 15:51:57 | 詩集『愛と尊厳と』から
 不幸がないと
 人は燃え立たないのか
 逆境でないと
 人は団結しないのか
 不条理の大きな圧力のなかでなければ
 人は人と手を結び自らの力を
 奮い立たせないのか
 公民権運動が そうだった
 ヴェトナム反戦運動が そうだった
 環境主義の運動が そうだった
 人々は手をつなぎ
 歩き 座り込み
 身を横たえて そして
 大きな声で歌った ほら
 いまも耳の底に聞こえる
 We shall overcome あるいは
 Where have the flowers gone? また
 Blowing in the wind それだけじゃない
 ほら まだぼくらの
 ああ インターナショナルが
 ああ 原爆ゆるすまじが
 大きな足音のなかで歌われていた
 けれどぼくら
 テロリズムに対しては立ち上がれない
 テロリズムは憎いけど
 やさしい心は知っている
 テロリズムの底にねじれているもの
 愛する心は感じている
 テロリズムのなかにゆがんでいるもの
 けっして力では 武力では
 解きほぐせない 生きるということの
 切ないほどの願い
 希望を手に入れるための激しい苦しみ
 ただ人の心を知らぬ国家だけが
 ひとにぎりの軍事産業と結んで
 武器の消費を加速させるだけ
 新しい武器の実戦テストを繰り広げるだけ
 本当のことに
 真実の愛に目ざめている人は ただ
 何もできずにうつむく
 mea culpa mea culpa mea maxima culpa
 (我が罪なり 我が罪なり 我が大いなる罪なり)
 こぶしで胸を激しく叩き
 ただこう心に叫ぶ
 反テロのたたかいは
 反差別のたたかい 反抑圧のたたかい
 反排除 反貧困 反独占のたたかい だと




[POEM-愛と尊厳と(4)から]