「仲良くしよう!」と彼女は言った。
顔面蒼白なキム・チョルの前で。
<俺らは一つも噛み合わない>
「・・・・」
半ば呆れたような顔のキム・チョルの前で、ファン・ミエは目を輝かせていた。
「ね?ね?」
[”こいつは一体何なんだ?”]
[とキム・チョルが考えていたら、]
ミエの視界の端に、学生らしき人影が見えた。
ミエは、咄嗟に壁に身を寄せる。
ダンッ!
[こいつはまたおかしな行動を取る]
ぐいぐい来るかと思えば急に隠れたり、チョルにはミエが全く理解出来なかった。
そんなチョルの胸中を知らないミエは、ニカッと笑う。
「あーびっくりした!誰かに見られたらどーしよ!」
「そんな風に人目気にすんなら、なんで俺に話しかけんだよ」
「それに俺、知り合いヅラすんなって言ったよな?忘れたか?」
「え?」
「知り合いヅラァ?!てゆーかうちら知り合いじゃん!それこそ小さい頃からの!」
「・・・・」
まるで宇宙人と話をしているかのように、ミエには言葉が通じない。
チョルは真正面からぶつかるのを避け、一人家に帰ろうとする。
「変なこと言ってないで家帰れよ」
突然チョルが立ち止まったので、ミエはチョルのリュックに顔をぶつけた。
けれどそんなことに構っていられないくらい、事態は深刻だった。
チョルの視線の先にいる人物は通話中だ。
「おう、ここ百済中の近く。通話料かかるから切るぞ」
チョルの記憶の中にあるその人物は、因縁の男の腰巾着だった。
「よぉガク・テウク!」
「も〜何よ!」
文句を言うミエを、とにかく自分から離そうと背を押した。
「なんで?!なんで無理やり押すの!一緒に勉強しようって言ってるじゃん!」
チョルの意図など全く察さないミエは、大きな声でチョルに食って掛かる。
チョルはミエのリュックを掴むと、とにかくこの子を黙らせることにした。
「分かったから!」
「するぞ、勉強!はよ行け!」「おっ」
「良かったぁ!」
二人は一緒に歩いて行った。
ガク・テウクの腰巾着が、その方向を向く。
そこにはもう、二人の姿は無かった。
ミエはまるで首根っこを掴まれているような格好で、チョルに連れられついて行く・・。
一人で歩けるのに〜
<大魔王の城>
「お邪魔しまーす!」
大きな声で挨拶したミエだったが、家の中はしんとしていた。
「誰もいないね」
「うわ〜!あんたんちキレー!」
ミエはそう言うや否や、色々なところを見物する。
「同じアパートなのに感じが全然違うね!なんかいっぱいある!」
「こっちがチョルの部屋?」
そう言って部屋に入ろうとするミエを、速攻でチョルは制止した。
ガッ
ストン
「勉強しに来たんなら大人しく勉強しろ」
そう言ってチョルは自室へと入って行ってしまった。
「ちぇっ」と唇を尖らせるミエ。
「・・・・」
一人になって退屈なミエは、キム家をキョロキョロと観察し始めた。
子供の頃見た時とは全然違うな
数年ぶりに見たキム家は、置いてあるものがなんと言うか、洗練されていた。
ミエは前の住人が住んでいた時の、この場所を思い出す。
「筆箱返せ!」だの「ブッコロス!」だの言って、大騒ぎした記憶も。
前に住んでたあいつの家とも全然違う
なんか素敵なものが沢山あるな
だからまだ使えるタンスやら椅子やらも捨てられるのか
さっきはうちに連れて行こうとしてたけど・・
「それじゃ家おいで!スニーカーも持って帰って・・」
そこまで言ったところで、ミエは自分の部屋にある椅子とタンスのことを思い出した。
元チョルの家にあったと思われる、その家具のことを・・。
それを見せたらチョルがなんて言うのか、なんてことまで想像出来た。
「なんだ?お前、俺が使ってたの拾って来たのか?」
「あっ!」 ビクッ
「うち全然掃除してないんだった!あんたの家行こ!あんたの家!」
「??」
スニーカーは後で渡そ・・
・・と言う一連の流れがあり、二人はチョルの家へ行くことになったのだった。
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第十四話①でした。
おお〜〜〜面白くなって来た
今回は扉絵がそのまま物語の流れの中で使われていました
キム家はなんだかおしゃれな感じですね。探索するミエが可愛い
第十四話②に続きます
韓国語の学習者ですが, もしかしたら「大魔王の苗字」ではなく「大魔王のお城」?
初めまして!
yuehwenさん、以前からいいねを押してくださったり応援ボタンを押して下さってましたよね^^
お気持ちありがたく思っておりました。この場でお礼を言わせて下さいね。
ありがとうございます〜〜!
なるほど、大魔王の城!
シックリ来ました〜〜!直ちに直させていただきますね^^
ありがとうございます!
韓国語勉強のつもりで本家の漫画と照り合わせながらよんでましたが、Yukkanenさんの解析、絵に対する説明を読むのが楽しくて何度も繰り返し読んでいます。外国人がこう言うのは変かもしれませんが、Yukkanenさんの綺麗で繊細でときめきを呼ぶ日本語が好きです。。
元留学生で、日本から離れてすでに15年も立とうとし、日本語で書くのも段々面倒くさくなり、いいねだけで失礼します。
こちらこそ今後ともよろしくお願いします。
チートラの方からいらっしゃったんですね!ありがとうございます。
というか日本語お上手すぎて!!十五年離れててもここまで書けるものなのですね・・!
素晴らしいですね^^
これからもお時間ある時に遊びにいらして下さいね〜♪