北野進の活動日記

志賀原発の廃炉に向けた取り組みや珠洲の情報、ときにはうちの庭の様子も紹介。

北アルプス国際芸術祭を訪れて ~見直しを求める市民の動き~

2017-07-26 | 奥能登国際芸術祭
   

「何なの?これ」
「アート」
「え、こんなことやっていいの?」
「うん、だって、アートだから」

大野左紀子氏の著書「アート・ヒステリー」の帯からの引用だ。

   

ちなみにこれは街中の建物。
アートではない。

   

木沢湖の遊歩道で。
これもアートではない。

何がアートで、何がアートでないのか。
アーティストが 「これはアート」と 言ったから、これもアートの 仲間入り(詠み人知らず?)

さて、現代アートについては好き嫌いもあれば、作品の評価もさまざま。
なじみのない作品に身構えるところから始まり、芸術祭自体を問う市民の動きが大町市では存在する。

北アルプス国際芸術祭の視察報告の最終回No.4は、芸術祭の問題点を提起する活発な市民の動きを紹介したい。

   

芸術祭自体よくわからない、地域振興策として果たして妥当なのか疑問、開催の経緯がよくわからない、アーティストの選定・契約など作品制作を委託するアートフロントギャラリー(AFG)との契約内容が不透明などなど、芸術祭に対して様々な市民の疑問や批判の声がある。
大なり小なり、珠洲でも同様の声があると思うが、大町市ではこうした市民の声を受け「大町の芸術祭を考える会」が発足し、活動している。

市民の意見交換会や実行委員会を招いての説明会、問題点を指摘したチラシの配布など様々な活動を展開している。
さらにその中心メンバーは、芸術祭に関わる諸々の予算執行に関して住民監査請求を行い、現在は行政訴訟を提訴している。

確かに大町市が財政的には中心を担うとはいえ、実行委員会を組織し、その中で芸術祭全体を仕切るのは北川フラム総合ディレクター。
そして、参加アーティストの選定や契約は北川フラム氏が代表取締役会長を務めるAFGに委託する。
市の事業と異なり、お金の流れが議会や市民の側からは見えにくいのは事実。
珠洲市の場合も同様の課題を抱えている。

問題点や疑問点を市民に問いかけ、課題によっては住民監査請求や訴訟で徹底追及し、連携する市議が議会で取り上げ、市長の見解を質していく。議会でも芸術祭に関わる実に多くの課題が取り上げられている。
ちなみに大町市議会(定数16)では、芸術祭予算に反対する議員は4人いる。

さらに驚いたのは、「考える会」の芸術祭に対する「住民アセス」の取り組み。
「考える会」が連携するNPO地域づくり工房はエコプロジェクトなどで2度の環境大臣賞受賞の経歴をもつ。
この地域づくり工房のノウハウを生かして、芸術祭について景観や温暖化防止、生活環境、防犯・防災、バリアフリーなど11項目の指標で全ての作品展示場所を評価していくそうだ。

人によっては芸術祭成功に向けて議会や市民が一致結束すべきなのに・・・と顔をしかめる人もいるようだが、確実に議論に幅と深みが出ている。

北アルプス国際芸術祭は奥能登国際芸術祭よりわずか3カ月先の開催地だが、市民の動きは確実に先進地である。



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