ジャガイモのつぶやき

割れて　歪に育って・・・

ジャガイモさんはいいました・・・ああ、しんどい、と。

仕方が無いやと思いつつ、それでもやっぱりキツイなぁ～と言うのでありました。

ジャガイモさんは畑の隅の石だらけの場所で芽を出したのです。

いやいや、好きでそんなところに転がったのではありません。

昨年の秋の収穫の時に形の悪い、いわば出来損ないが放られのでありました。

もともとそこは畑から出る石を捨てる場所だったので作物が育つ場所では無かったのです。

でも、ジャガイモさんはそこで芽を出すしか無かったし、生まれたからには必死で育ったのでした。

ジャガイモさんは一生懸命育ちました。

土が浅いので根を伸ばす事ができず、浅いところで大きくなるしか無かったのです。

それはまだ良いのです。

辛かったのは、育っていくと石に当たることでした。

丸くてつるんとしたジャガイモになろうと頑張りましたが、どっちへ伸びても石に当たるので困ってしまいました。

そして今日、昨年の秋に自分を放り投げた人がやってきて「ほほぉ、結構育ったもんだな」と言って自分と仲間たちを掘ったのでした。

丸くて形の良いジャガイモはカゴに入れられましたが、自分と同じように不格好だったり割れたイモはまた放り投げられました。

そして、さっき掘られたところに近い場所に転がされ、土をかけられました。

ジャガイモさんは「ああ、カゴに入れられなくて良かった」と。

仲間は茹でてバターで食べられるのかカレーライスになるのかはわかりませんがもう芽を出すことは無いのですから可哀想だと思ったのでした。

そっかぁ～去年もそうだったけれども、形が悪いからこうして生き延びているんだもんな、と小さな声でつぶやいたのでした。