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イギリスのEU離脱、その後の世界

2016年07月01日 | 外国

大きな歴史の流れのなかで見たときに、現代は文明の端境期に当っています。そして、ヨーロッパ文明というひとつの西洋文明が、日本を中心として東から出る新しいアジア文明と、西南アジアを中心として新たに西のほうに興ってくる文明という、新しい二つの文明の挑戦を受けて衰退してゆくという大きなシナリオが見えてくるのです。

 

そのなかでどのように世界が動いてゆくかは、その将棋をさすことを任されている人たちの仕事にもかかっているわけです。

 

EUの崩壊はイギリスから始まりました。イギリスという国はもともとはEUの通貨的な統一、政治的な統一に反対したサッチャー元首相を退けてEUに加盟したのです。しかしながら、今となってはサッチャーの霊的な直感そのものは当たっていたのではないでしょうか。

 

サッチャーは当時、「お互いに独立した主権国家が自らの意思で積極的に行動することこそが、EC(現EU)を成功裡に建設する上で最善の道となる。欧州は、それぞれの国が、自らの習慣、伝統、アイデンティティを保つから強力になる」と述べ、欧州連邦のような枠組みに強く反対したのでした。

 

首相引退後、女男爵として貴族院議員を授けられたサッチャーは、EU条約、とりわけ経済通貨同盟(EMU)に激しく反対し、保守党内に反欧州の「ブリュージュ・グループ」が生まれ、彼女の主張の賛同者を増やしていったのです。

 

首相を辞して20年以上も経った2013年1月、保守党のキャメロン首相が、2015年に予想される総選挙に勝利すれば、EU加盟条件について再交渉をした上で2017年までに「英国がEUに残留すべきか否について」国民投票を行うと述べた。これもまた彼女の影響とみなすことができる。今回の国民投票の結果は、死してなおサッチャーの執念が実を結んだと言えないだろうか。

 

このEU統合のなかに呑み込まれると、イギリスは確実に衰退するのです。

そして、次に衰退するところはフランスです。フランス自身は、密かにEUのなかでイニシアチブを取ってゆけると思っているのですが、実際には失敗します。

 

そして、歴史のすう勢は、ドイツを中心として動いてゆくことになります。ただ、ドイツが強くなったときにはヨーロッパの危機になります。過去すべてそうなっています。ドイツが強くなったときは、ヨーロッパの均衡が破れて危機になる時期となるのです。

 

みなさん方は、この後に来る世界はいったい何だとお思いでしょうか。

世界制覇・領土拡大を目指す中国、自国民が飢えているのに核兵器開発を目指す北朝鮮、イスラエルとアラブ諸国との対立、テロにより世界を牛耳ようとする組織など等、世界の秩序を破壊しようという動きがあるのです。世界を混乱させる勢力がはびこっているのです。

 

世界というものは非常に複雑な諸国民の論理に基づいて動いています。それを私たちはよく見極めなくてはなりません。世界の百数十ヶ国の国の大部分が、今後、戦争、あるいは飢餓、天変地異によって飢えてゆくことになりますが、こうした飢えた国家は、放置しておくと必ず共食いを始めるのです。これが各地で起きる戦乱です。これからは、隣の国を奪うぐらいは平気でするようになってきます。だから、今、中国や北朝鮮の動向に懸念を示しているのです。

 

それは国家レベルの話であるために、なかなか信じ難いことでしょうが、一歩、国家から離れて、企業の世界を見てみると、今のアメリカなどで起きている企業の買収、M&Aというのは、結局、国家を乗っ取ることと同じなのです。

 

これは手っ取り早い経済なのです。乗っ取ってしまうのです。会社ごともらって、自分の会社に入れてしまうわけですから、これは国を併合してゆくのと同じ論理なのです。かつてのその会社の歴史や文化というようなものは関係がないのです。トータルで利益が出れば、会社を買収して併合してしまうわけですから、これは国の併合とまったく同じ論理なのです。

 

では、経済論理としては通用していて、国のレベルではなぜ行われないのでしょうか。それは、国が大きな軍事力を伴っているために、リスクが大きすぎることもあって行動としては鈍っているだけなのです。

 

しかし、諸国民が飢えるような状況が出てきますと、これから、このようなことは日常茶飯事になってくる可能性があります。国家の分断、奪取、このようなことが行われてゆきます。

 

そのときに現われてくるものは何でしょうか。それは、世界の混沌であります。このような段階の時期においては、強力なリーダーが出てこない限り、世界をまとめることはできないのです。

 

多くの人びとは平和平和と言いますが、それは何もしたくないという「厭戦(えんせん:戦争をいやに思うこと)」というだけの平和では済まないのです。そういう状態になってきたときには、それでは済まないのです。その平和の理念を具体化する行動を取らない限り、実際に平和を愛することにはなってゆかないのです。

 

しかし、日本の経済の現状を見て、いかがでしょうか。あのアフリカが、中東が、ロシアが、飢えたときに、日本はこれらの国々を支えられるでしょうか。

 

一方、パートナーであるアメリカは今、国家衰退の危機にあります。アメリカという国家はスーパーパワーのままでいられるかどうかは、極めて厳しい局面にあるでしょう。

 

さらに、世界を見渡すと、今後の国際社会においては、とても難しい局面が考えられます。

現実にヨーロッパの失業率は高くなっています。しかし、EUが採っているような緊縮財政、すなわち、通貨の量を絞っていって財政再建型の生活をすると、失業者はもっと出るのです。

 

したがって、緊縮財政を中心とするドイツのメルケル首相の考え方は、大きな意味においては、残念ながらメジャーな考え方ではありません。この人は旧東ドイツ出身の物理学者であり、その点、旧民主党の政権のときの菅直人元首相と同じようなものの考え方をする人です。

 

現在のギリシャの首相は急進左派で、かなり極端なことを言っていますが、メルケル首相も国際経済が分かっていないようです。つまり、両方の言い分はあるでしょうが、両方とも問題があるわけです。そういうことで、ギリシャに関してもEUに亀裂は入っています。

 

また、このギリシャに対しては、中国やロシアが援助の手を差し伸べて、EUの分裂を進めようとする可能性があります。アメリカは、もちろんEU側のほうを応援していると思いますが、ここに、世界が再び二つに割れる流れが出てくるわけです。

 

この日本という国は、長らく、世界で主導的な立場に立てる位置にいたにもかかわらず、的確なる価値判断を世界に発信することができませんでした。

「リーダーとして意見を発信できる国」であることが大事であり、そのように「意見を発信できる国に変身していくこと」が大事なのではないかと思います。

 

世界を、これから待ち受けているものは、平和と安定の時代ではない」ということです。

世界はいま最も危険な時期を迎えつつあります。人類の滅亡をも招く危機を内包しているのです。

この暗雲たなびく世界社会を救うべき日本のリーダーシップが大きな鍵になるのです。

 

「正義とは何か」ということを、常に追求しなくてはいけません。

今、必要なのは、勇気と行動力、そして、現実に、世界の人々を愛そうとする気持ちなのです。

 

---owari---

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