④今回のシリーズは、豊臣政権の五大老の一人、加賀藩主・前田利家についてお伝えします。―――――――――――――――――――――勝家も激昂(げっこう)した三田村勢に斬りつけられ、やむをえず数人を倒した。「喧嘩じゃ、尾張衆を皆殺しにしてやれ」浅井勢の長屋から大勢の足軽衆が得物(えもの:武器)を手にしてあれわれ、柴田勢に襲いかかる。尾張衆はついに総崩れとなり、浅井長政の寄宿(きしゅく:他人の家に身を寄せ . . . 本文を読む
③今回のシリーズは、豊臣政権の五大老の一人、加賀藩主・前田利家についてお伝えします。―――――――――――――――――――――その後、拾阿弥(じゅうあみ:織田氏の側近として使えた僧)は信長の威光にかばわれていると知って、利家を侮蔑する態度が露骨になってきた。家中の侍たちのあいだでも、武辺(ぶへん:いくさの経験が豊富なこと)をもって知られた利家が意地をつらぬくか否かが話題になった。たとえ主君の意に反 . . . 本文を読む
②今回のシリーズは、豊臣政権の五大老の一人、加賀藩主・前田利家についてお伝えします。―――――――――――――――――――――利家がいう。「いま思いだしてござりまするに、それがしが六兵衛に槍を打ち落され、とっさにあやつの槍の柄をつかみ、太刀を抜いて斬りつけしところ、引きはずされ腰帯をつかまれ投げ飛ばされて、気が遠くなりかけてござりまする」「ほう、そのときに斬り棄てられなんだものよのう」「さようにご . . . 本文を読む
①今回のシリーズは、豊臣政権の五大老の一人、加賀藩主・前田利家についてお伝えします。―――――――――――――――――――――藤八郎(利家の実弟)は首実検の場へでかけるまえ、利家に告げた。「馬廻り衆のあいだにては兄弟がはたらきをほめる声が高うござるでなん。儂(わし)も肩身が広いというものでや。さすがは又左が槍だわ(槍の又左衛門:前田利家のあだ名)。冑首(かぶとくび:兜をかぶった、身分のある武将の首 . . . 本文を読む
中国の儒学に照らしても、信長の天下取り行動は、明らかに、「放伐(ほうばつ)の思想」(放伐:暴君や暗君を討伐して都から追放するという行為)に依拠していたことは間違いない。だからこそ、信長は、明智光秀にも討たれた。明智光秀もまた教養人であり、当然、放伐の思想を知っていた。彼から見た信長は、「悪徳王」であって、決して徳のある王とは思えなかった。だから、天命に従って、信長を討つことこそ、この国のためになり . . . 本文を読む