ひろし君の読書や旅日記

昨日より今日が少しは面白くなるかな て思って

「星条旗」の国体に怒る白井聡の講演を聞いた

2019-05-25 17:27:05 | 日記
「永続敗戦論」「国体論ー菊と星条旗」などの著書がある白井聡の講演を、甲府で聴きました。講演のテーマは「天皇代替わりと改憲問題」でした。2時過ぎから4時までのかなり密度の濃い内容だったと思います。内容は「国体論」に沿って、現代の日本の根本的な価値観をどの様に捉えるべきということででした。
     現代日本の国体は「星条旗」だ!
要約すると、敗戦直前日本はあれ程までに犠牲を払って軍部と官僚が「国体護持」と叫んでいたのに、戦後その言葉はほとんど死語と化したのは何故なのか?それは、戦後国体の考え方が消滅したのではなく、国体の内容が変質したのだと指摘する。天皇は、戦後マッカーサーの占領政策に協力して「人間化」して生き延びを計った。その結果、国体に空白が生じたがその空白を「星条旗」が埋めていったのだと指摘します。だから今日、ウヨクは「反米」を叫ばなくなったのですね。その結果として、トランプは令和の初めての国賓となって天皇に会い、国技の相撲の令和の初めて優勝者を褒め、アベを引き連れて空母「かが」でステルス戦闘機F35Bを観閲するのです。
     白井聡はそんな事を当然視する市民に怒ります
彼の著書を読んでも、彼の怒りの部分に付いてはほとんど気が付かないで読んでいたと思い読み返します。しかし、この41歳の社会学者の講演での語り口は、明らかに激し怒りを含んでいました。その怒りは、右とか左に向かうのではなく、私達が今生きている市民社会の現状に鋭く向いています。彼の著書「永続敗戦論」は
「私らは侮辱のなかに生きている」から始まっています。そして「ゆえに、われわれの大部分が侮辱の被害者であると同時にに加害者でもある。われわれの出発点は、この認識であらねばならない。」と、アメリカの植民地化している日本の権力者とともに、それを当然視している市民社会の現状に激し怒りを向けています。
このアメリカの植民地の現状は、東京・横田基地の横田空域をみれば明らかです。日本の首都圏の空域の大部分は、日米地位協定によって米軍管理空域で治外法権となっています。この中は日本の航空機は、原則として飛行出来ません。また横田基地に出入りするアメリカ人は、日本に連絡することなく軍人や政府関係者は自由に日本国内に立ち入れるようなっています。問題なのはこのような状況が、1952年のサンフランシスコ条約締結や戦後の冷戦終結(1989年以降)以降もそのまま維持されたことです。そして、今日ではその様な状態を当然視すらし始めている傾向もあります。アメリカ人から見ると、日本はアベを先頭におもてなしをしてくれる居心地の良い植民地に見えるでしょね。
久しぶりに思想的な激し怒りに触れて、本当に考えさせられました。

大人の社会科見学・靖国神社など

2019-05-18 14:35:57 | 旅日記
先日、いつものお馴染みの友人たちと大人の社会科見学をしてきました。今回はマスコミなどでも取り上げられる東京・靖国神社築地場外市場、そして川崎コリアタウンへ行きました。
    雨の靖国神社参拝でした
JR市ヶ谷駅から靖国通り沿いに、雨の中靖国神社を目指しました。靖国神社は、ご存知の様に極東国際軍事裁判で処刑された戦争犯罪人14人を1978年10月に、合祀したことによって政治的な主張を明確にしました。この東京裁判については様々な評価が有りますが、戦後日本はこの裁判の結果を国が受け入れる事に依って成り立って来たといえます。
その様な経過を否定する神社が、どの様なものなのかを知りたいと思い参拝することにしました。市ヶ谷駅の方からですと、入口に当たる大鳥居は外れにあたります。大鳥居を抜けて大村益次郎の像を仰いで神門に至ります。そして中門鳥居を抜けて、拝殿になります。本殿は、拝殿の後ろに有りますが見えません。全体的な印象としては、境内の一部の「慰霊の泉」などの施設を除けば、他の神社と変わりはありません。むしろ、国会議員達や首相が参拝するには小さい様な感想を持ちます。
    本番は遊就館に有りました
拝殿の横の所に、遊就館があります。ここには明治から第二次世界大戦までの戦争資料や遺品・兵器などが陳列されています。歴史的な経過としての展示と、靖国神社が考える戦いの評価が添えられています。この靖国神社の考え方を、じっくりと読んで行くと所謂「歴史修正主義」といわれる人々の考え方に触れられるように思われました。簡単にまとめてみると「第二次世界大戦で日本は負けたから悪く評価されるので、アジアの人達の列強からの解放に多大の尽力をして来たのだ」と言う感じになるのではないでしょうか。この様な考え方は、侵略され収奪・殺害された側の人達はどの様に感じるのでしょうか?
そんな感じでお勉強をして、お昼は遊就館の食堂で「海軍カレー」を食べました。カレーにソースをかけて食べた昔の味で、何故か懐かしく味わいました。
     築地場外市場と川崎コリアタウン
靖国神社に比べると、あまり書くことは無いのですがテレビなどで見るのとはとても違う感想を受けました。どちらも映像に現れくるよりは、現実は小さく感じられます。昔、北京の天安門広場に行った時にも、もっともっと大きいと思っていたのに小さくて拍子抜けしたことを思い出します。やはり現場に直接触れないとだめですね。

恐怖の予言書?『ホモ・デウス』を読む

2019-05-05 14:06:41 | 読書感想
イスラエルの歴史学者ユヴァル・ノア・ハラリの書いたホモ・デウス』上下を、読みました。彼の前作『サピエンス全史』は、全世界で800万部も発行されたそうです。日本では昨年10月末で『ホモデウス』が30万部で『サピエンス全史』が70万部発行されたそうです。歴史書としては、凄い人気ですよね。
    歴史書と言うより、読み物としての面白さ
通読して感じる事ですが、所謂紀元何年に何が起きた的な歴史書とは異なり、逆に人の営みの時間的な経過の意味や価値を問い直す本だと思います。ですから、50年や100年の時の経過がグイグイと書かれます。そして、その時の流れの中でどの様な価値や意味が生まれて来たのかを考えます。例えば、この4000~3000年の時の経過を「農業革命が宗教を生み出したのに対して、科学革命は人間至上主義の宗教を誕生させ、その中で人間は神にとって代わった。有神論者が神を崇拝するのに対して、人間至上主義は人間を崇拝する。」と言う感じに展開されて行きます。
     私達が「無用者階級」になる恐怖?
この本の著者が、本当に書きたいと思っている事は過去の事ではなくてこれからの事なのだと思います。それも、コンピューター(AI)による意識と知識の分離が急速に拡大し、人間の意識は企業や軍事にとって必要ないと思われているらしです。AIと人間の戦いについては、今までもチェスや将棋・囲碁などが報じられていますが、もう人間の完敗と言えます。これらの傾向は、今後更に拡大する事が予想されているそうです。アメリカの研究者の予想では2030年代半ばには、現在の仕事の47%が深刻な危機にさらされると考えられています。そして、その後もAIの進歩は続くので、その急激な変化に対応できるのは極々一部の人間に限られて、多くの人達は対応出来ずに無用の階級(存在)になってしまうと書かれています。

恐ろし未来の世界が、さらさらと書かれると「ああ、そうなんだ」とつい、納得してしまいます。どんなものでしょうか?でも、「日本の首相で国家主義者の安倍晋三」と云う記述は、正しいと思いました。