久子さんのところで 安達が原の鬼婆のお話を作って語っている方を知りました
そのお話は
http://www.fukushima-net.com/sites/other/7
こちらで↑
この方の活動は↓
http://www.fukushima-net.com/sites/content/136
鬼の話は
色々探っていくと
本当に都の恐ろしさの中からはじき出されて生まれ
悪を皆引き受けさせられた存在だと
それが 潜んでいるということに
改めて 感じさせられます
ついでに
私の酒呑童子も原稿は決定したので
載せておきます
かくとだに えやは息吹のさしもぐさ さしも知らじな 燃ゆる思いを
百人一首でおなじみの歌ですが
この伊吹山にはヤマタノオロチの末裔ともいわれる
伊吹の弥三郎という大男の化け物がいて
麓では
台風が暴れても弥三郎風などと言っては恐れたそうでございます
この男が里の大野木殿の姫君に心惹かれ
見目良い男に化けては姫君のもとへ
夜な夜な通ってきていたそうでございますが
うっかりした事に、母君様も乳母様もこれに全く気付かなかったそうでございます。
ところが、そのうち姫様のおなかが膨れてまいりました。
驚いた母上様は姫様に針のついた苧環を渡し、男の衣の裾に縫いつけるようにとお言いつけになりました。
朝になって帰っていった男のあとを糸をたどっていってみれば
そこは、伊吹の弥三郎のすみかであるとわかったのです。
この弥三郎は何しろヤマタノオロチの末裔といわれるほどですから
大酒のみであるのは有名なことでした
大野木様は大いに酒を用意して、
それをすすめるようにと姫に言いつけました。
その酒を飲みすぎて息吹の弥三郎は死んでしまいます。
姫様が悲しんだかどうかは伝わっておりませんが、
三十三か月のちには異様に大きな男の子が生まれ落ちたのです。
髪は長く、歯は生えそろい、手足も太くたくましい赤子は、乳母に抱かれるや、虎のように光る眼を見開いてあたりを見回し「父は、いづくにましますぞ!」と、いきなりはっきりと話したそうでございます
さて、大野木殿はこの子があの伊三郎の血を引いていると、思うだけでも恐ろしく、とうとう伊吹山の谷底に捨てたさせたのですが、
谷の底からは童子の泣き叫ぶ声がいつまでも響き渡っていたそうです。
やがてその声は消えていきました。
さて、童子がどうしたかと申しますと、
まあ虎やらオオカミが大事に育て、伊吹山の霊験あらたかという薬草、さしも草の露をすすって育ちまして
人を見抜く力、空を飛び移動できる霊力を得て若々しい童子の姿のままぐんぐん大きくなっていきました。
これが、伊吹山から比叡山へ飛び、そこでは伝教大師と法力争いをして負け
さらに西へと空を飛びあちこちさまよいましたが、京の丹波の大江山に住みつき茨木童子を副将として、
何百匹もの鬼の棟梁 酒呑童子となったのでございます。
酒呑童子は黒雲・大嵐ととともに空を飛んでは都に現れ、美しい姫君たちをさらっていくという噂がささやかれておりました。
ある日のこと 池田中納言殿の姫君の行方が分からなくなってしまいました。
都では
かの阿部の清明に頼んで占ってもらったところ大江山に連れ去られいったことが分かりました。
池田中納言は越後の国司として茨木童子のふるさとでたいそうな権力をふるった方で
人々には過酷なまつりごとを行ったということでございます。
姫を略奪したのは池田中納言殿への仕返しかもしれませぬ。
このことは天皇にも奏上され、内裏では源の頼光、藤原の保昌のほか
坂田の金時、渡辺の綱、など四天王と呼ばれた豪傑たちに酒呑童子征伐の宣旨が下されました。
六人は出陣前に三つに分かれ、
熊野、住吉、八幡様に戦勝祈願の祈りをささげ、行く末の加護をお頼みしました。
山伏の姿になって、修験道の霊山大江山に行き
道に迷った風を装い鬼の館に乗り込もうというわけです。
恐ろしいような険しい山 岩の切り立つ崖の道もないようなところを超えて進んでいくと、日もとっぷりと暮れてしまいました。
一行はそこで三人の翁に行きあいました。
娘を大江山の酒呑童子にさらわれたと語るその翁の家に、その晩は休ませてもらいました。
この翁たち、実は出発する前にお参りした熊野、住吉、八幡様の神様の化身だったのでございます。
神様たちは
「この酒は神便鬼毒といい神の方便、鬼の毒酒という意味です、御身たちが飲めば薬となるが、鬼が飲めば毒となりその霊能力を奪うものである」といいながら
それぞれに竹筒に入れて持たせてくれたのです。
さらに帽子兜というものを下さり
これをかぶっていれば正体を見破られない。また身を守ってくれるものだといいます。。三人の神様は、いざというときには必ず手助けをするとまで約束をして頼光一行を送りだし
渡れぬような谷には、大木を倒して橋にしてくれるなど、鬼の館まで行きつけるようにしてくれたのでした。
鬼の館に近づくと、川のほとりで血染めの衣を洗っている美しい若い女房がいました。
一行はこれは鬼が化けているのか?と用心をしましたが
「わたくしは花園中納言の娘ですが鬼にさらわれてこのような情けない有様でございます。どうぞ助け出して都に連れて行ってくださいまし」と切々と訴えるのです。
洗っている衣は池田中納言の姫君のもので鬼にかわいがられている姫君が血を吸われ、肉をそがれてむしられ、血だらけになった衣だといいます。
それでも美しい姫は殺されることはなく酒呑童子のそばに侍らされているというのでした。
花園殿の姫君は頼光たちを鬼の館まで案内をしてきました。
門番の鬼たちに、旅の山伏たちが今夜の宿をお頼みですと取り次いだのです。
鬼たちはこれはうまそうな人間が来た食ってやろうなどと集まってきて騒ぎましたが、頼光たちはびくともせず、酒呑童子殿に会いたいと堂々としているのをみて、
勝手に食ってはまずいことになろう
まずは酒呑童子に知らせねばと奥へと報告に走っていきました。
酒呑童子はこの話を聞いて、
「どのようなやつらじゃ 会おう」といい、
頼光ら六人は中へと招じ入れられました。
酒呑童子は疑り深い目を向け
よもや都から差し遣わされた武将どもではないかと
血の酒が入っている大徳利をもって、
試すように
これを飲めと勧めてきます
杯を受けた頼光は
「これは忝い」と平然と飲み干します。
肴にと勧められた人間の手足の肉も、そぎ取って食べて見せます。
酒呑童子はここまで入り込めるとは大したものだ。噂に名高いかの頼光や綱ではないかとまだ疑いをかけますが、帽子兜をかぶっていますので
酒呑童子にはどうしても見抜くことができません。
頼光たちは、私たちも酒を持ってきた。と
神便鬼毒酒を勧め、
まず、「毒見を」と言って飲んで見せます。
酒呑童子も飲んでは、これはなかなかうまい酒じゃ。
呑兵衛の鬼たちも大喜びで神便鬼毒酒を飲むわ、飲むわ。
酒盛りは続きます。
酒呑童子も普段は酔うこともないのに
いつもとは違いとすっかり酔いつぶれ、
我慢がならず
「一寝入りしてまいる」と寝所に退いてしまいました。
神便鬼毒酒の枯れることのない竹筒から、鬼の子分も、飲む、飲む、飲む。
飲むほどにへべれけ。
とうとうみな酔いつぶれてしまいました。
さあ、頼光たちは帽子兜の上から鎧兜に身を固め酒呑童子の寝所へと向かいます。
そこへ神様が現れ、いくら酔いつぶれていても酒呑童子を侮ってはいけない、と手足を縛って張り広げる綱を四本授けました。
寝所を襲った頼光たちは、酒呑童子の手足を四方に貼り広げて動けないようにしてから寄ってたかって切り付け、エイッとばかりに首を切り落とします。
あたりは血の海。
雷鳴もとどろき閃光が走ります。
胴から離れた首は
カッと虎の目を開いて、おのれ、騙されたとばかりに牙を噛み頼光の頭にがぶりつく。
あわや、
と思いきや
帽子兜を兜の下に重ねてかぶっていたので平気の平左。
館の内外では大乱闘となり茨木童子の首もはね
他の鬼もすべてたたき伏せ
ことごとく捕えました
さらわれてきた姫君たちも探し出して、みなを連れて都へと引き上げていきました。 一方 童子の目は相変わらずカッと見開いているが
足の弱い姫君たちを引き連れての険しい山を下りていくのは
それはそれは難儀なことだったそうでございます。
迎える都は頼光の凱旋を一目見ようと大騒ぎ。
大勢の人々の集まる中を酒呑童子の首が行く。
その他の鬼の首もいく。後ろ手に縛られてかなくま童子、いくしま童子も引きずられていく。
そのまなざしの行先には・・・・・
群衆に紛れてあやしいようすの顔が・・・・・・