読者諸賢は停電時の備えについて、何か考えておられるだろうか。
台風などの被害によって停電になることは、年に1度か2度ある。そういう時は当然、家電類が全く使えなくなる。その時には、どうすれば良いのか。
我が家でもいつだったか、そういうことがあった。このときは自然の災害ではなく、近所で行われた電気工事の影響だった。
冬の寒い日で、エアコンや電気ストーブなどの暖房器具が使えず、身体が冷え切ってほとほと往生した憶えがある。
それだけではない。このときはちょうど昼時だった。我が家では調理はすべて電子レンジとIHコンロで済ませているので、このときは昼食の支度がお手上げ状態になり、空腹に堪りかねて往生した。
台風が近づく季節でもないのに、そんなことを思い出したのは、きのうの夕食のテーブルで、妻が住宅メーカーのパンフレットを取り出し、こんなことを言ったからである。
「太陽光発電を使えば、停電しても困らないわね。ここに工事の案内が載っているわ」
「屋根に太陽光パネルを取り付けるという、あれだな。高いんじゃないか」
私が言うと、妻が答えた。
「えーと、工事一式、全部込みで240万円かしら。けっこうな値段だわね」
「ふーん、やっぱりなあ」
会話はそれきりになったが、私はこの件について、自分なりに頭をひねり始めていた。停電時の備えについて、ネットで調べれば、もっと上手い工夫が見つかるはずだ。バカ高い工事などやらなくても良い、もっと安直なやり方があるのではないか。ひとつそれについて調べてみよう・・・。
もちろん、オール電化の基本は崩さない。数年前の寒い冬の日、停電で冷え切った私の脳裏に「やっぱり、冬は石油ストーブかなあ」という考えがよぎったが、私はすぐにこの考えを退けた。
石油ストーブには、火事の危険性がつきまとう。操作ミスなどで私が火事を引き起こす可能性は、齢を重ねるとともに高くなるだろう。逃げ遅れて炎の餌食になる可能性も高くなる。多少の不便はあっても、命あっての物種だ。私はそう思い直した。
だから、オール電化の基本は崩さない。崩さないまま、凍死しない工夫を考えてみよう。
私は、こういう工夫についてあれこれ頭を搾るのが、嫌いではないのである。
(つづく)