アメリカのバイデン大統領は相当なヘタレだと知った。
こんなニュースを読んだのは、つい先日のことである。
「バイデン米大統領は8日、避難民が集中するパレスチナ自治区ガザ南部ラファでイスラエルが大規模な軍事作戦を強行すれば、武器や砲弾の提供を制限すると表明した。米政権として従来より踏み込んだ形で、イスラエルに対して政治的な警告を発した。」
(朝日新聞5月10日)
イスラエルの執拗で残虐なパレスチナ人虐殺。その気狂いじみた非人道的な振る舞いに憤りを覚えていた私は、この記事を読んだとき、「おお、さすがアメリカの政治家は違うな。立派なものだ!」と感激したものだが、残念ながら、これは見込み違いだった。
思い違いに気づいたのは、きょうの朝日新聞(休刊日のため、号外)に、こんな記事がのっていたからである。
「米紙ワシントン・ポストは、米バイデン政権がイスラエルに対し、イスラム組織ハマスの指導者らの居場所についての情報を提供することと引き換えに、ラファへの本格侵攻をやめるように求めていると報じた。」
(朝日新聞5月13日)
何だって!この記事を読むと、イスラエルに対する米バイデン政権の態度が、だいぶ違ったニュアンスのものに見えてくる。
「なあ、ハマスの幹部らの居場所を教えてあげるからさあ、ラファへの本格侵攻はやめてくれよ。」
バイデンはなんと、イスラエルのネタニヤフ首相に対して、そう頼み込んでいるのである。
最初のニュースを読んだとき、私はバイデン大統領がこう警告していると勝手に思い込んでいた。
「おい、いいか。ラファへの侵攻を強行すれば、武器類の提供はやめるからな、覚悟しろよ!」
ところが、今にしてわかるが、バイデン大統領は実はこんな具合に哀願していたのだ。
「なあ、ラファへの本格侵攻を考え直してくれないか。そうでないと、おたくへの武器類の提供は、やめざるを得なくなってしまうのだ。だから、なあ、考え直してくれよ」
こう頼み込んだとき、おそらくバイデン大統領の頭の中にあったのは、イスラエルの軍事侵攻に対する米大学生たちの大規模な反対運動である。イスラエルへの武器提供をやめなければ、熱(いき)りたった大学生たちの反対運動を宥めることはできない、ーーバイデン大統領はそう考えたに違いない。
今にして思えば、次の記事を読んだとき、私はバイデン政権のヘタレぶりに気づくべきだった。
「米国のバイデン政権は10日、パレスチナ自治区ガザでのイスラエルの軍事作戦について、民間人の保護が不十分だとする報告書を議会に提出した。イスラエル軍の武器使用について『国際法に矛盾すると評価するのが妥当だ』とする一方、情報不足などから具体例の特定には至らず、米国の軍事支援は継続可能だとした。」
(朝日新聞5月12日)
ここからは、イスラエルに対するバイデン政権の2通りの姿勢を読み取ることができる。一つは、言ってみれば強硬姿勢である。イスラエルの軍事作戦は「民間人の保護」を軽視しており、国際法に違反している。
ゆえに、イスラエルに対する米国の軍事支援は中断すべきだ。
ーーそう結論づけるべきところだが、
な、なんとバイデンの報告書は、「情報不足などから具体例の特定には至らず」という理由で、「米国の軍事支援は継続可能だ」と結論づけているのである。
なんという腰砕けぶりか!これでは、「国際法違反だ」とイスラエルを糾弾する当初の強硬姿勢が、国内向けの単なる「ポーズ」でしかないことを自白しているようなものである。バイデン政権は初めからイスラエルに対して警告を発する気などなく、「お願いだ、ラファへの本格侵攻は思いとどまってくれないか」と縋(すが)る姿勢で臨んでいたのである。
ラファへの本格侵攻をやめなければ、イスラエルへの軍事支援を停止する、ーーバイデン政権の表立ってのそんな警告のメッセージを、イスラエルのネタニヤフ首相が屁とも思わないのは、考えてみれば当然のことなのである。
それにしても、アメリカほどの大国が、どうしてイスラエルに対してそれほど弱腰なのか。
これは推測でしかないが、おそらく莫大なユダヤ・マネーが物を言っているのだろう。カネは力なり。
悲しいかな、いずこも同じ初夏の夕暮れである。
こんなニュースを読んだのは、つい先日のことである。
「バイデン米大統領は8日、避難民が集中するパレスチナ自治区ガザ南部ラファでイスラエルが大規模な軍事作戦を強行すれば、武器や砲弾の提供を制限すると表明した。米政権として従来より踏み込んだ形で、イスラエルに対して政治的な警告を発した。」
(朝日新聞5月10日)
イスラエルの執拗で残虐なパレスチナ人虐殺。その気狂いじみた非人道的な振る舞いに憤りを覚えていた私は、この記事を読んだとき、「おお、さすがアメリカの政治家は違うな。立派なものだ!」と感激したものだが、残念ながら、これは見込み違いだった。
思い違いに気づいたのは、きょうの朝日新聞(休刊日のため、号外)に、こんな記事がのっていたからである。
「米紙ワシントン・ポストは、米バイデン政権がイスラエルに対し、イスラム組織ハマスの指導者らの居場所についての情報を提供することと引き換えに、ラファへの本格侵攻をやめるように求めていると報じた。」
(朝日新聞5月13日)
何だって!この記事を読むと、イスラエルに対する米バイデン政権の態度が、だいぶ違ったニュアンスのものに見えてくる。
「なあ、ハマスの幹部らの居場所を教えてあげるからさあ、ラファへの本格侵攻はやめてくれよ。」
バイデンはなんと、イスラエルのネタニヤフ首相に対して、そう頼み込んでいるのである。
最初のニュースを読んだとき、私はバイデン大統領がこう警告していると勝手に思い込んでいた。
「おい、いいか。ラファへの侵攻を強行すれば、武器類の提供はやめるからな、覚悟しろよ!」
ところが、今にしてわかるが、バイデン大統領は実はこんな具合に哀願していたのだ。
「なあ、ラファへの本格侵攻を考え直してくれないか。そうでないと、おたくへの武器類の提供は、やめざるを得なくなってしまうのだ。だから、なあ、考え直してくれよ」
こう頼み込んだとき、おそらくバイデン大統領の頭の中にあったのは、イスラエルの軍事侵攻に対する米大学生たちの大規模な反対運動である。イスラエルへの武器提供をやめなければ、熱(いき)りたった大学生たちの反対運動を宥めることはできない、ーーバイデン大統領はそう考えたに違いない。
今にして思えば、次の記事を読んだとき、私はバイデン政権のヘタレぶりに気づくべきだった。
「米国のバイデン政権は10日、パレスチナ自治区ガザでのイスラエルの軍事作戦について、民間人の保護が不十分だとする報告書を議会に提出した。イスラエル軍の武器使用について『国際法に矛盾すると評価するのが妥当だ』とする一方、情報不足などから具体例の特定には至らず、米国の軍事支援は継続可能だとした。」
(朝日新聞5月12日)
ここからは、イスラエルに対するバイデン政権の2通りの姿勢を読み取ることができる。一つは、言ってみれば強硬姿勢である。イスラエルの軍事作戦は「民間人の保護」を軽視しており、国際法に違反している。
ゆえに、イスラエルに対する米国の軍事支援は中断すべきだ。
ーーそう結論づけるべきところだが、
な、なんとバイデンの報告書は、「情報不足などから具体例の特定には至らず」という理由で、「米国の軍事支援は継続可能だ」と結論づけているのである。
なんという腰砕けぶりか!これでは、「国際法違反だ」とイスラエルを糾弾する当初の強硬姿勢が、国内向けの単なる「ポーズ」でしかないことを自白しているようなものである。バイデン政権は初めからイスラエルに対して警告を発する気などなく、「お願いだ、ラファへの本格侵攻は思いとどまってくれないか」と縋(すが)る姿勢で臨んでいたのである。
ラファへの本格侵攻をやめなければ、イスラエルへの軍事支援を停止する、ーーバイデン政権の表立ってのそんな警告のメッセージを、イスラエルのネタニヤフ首相が屁とも思わないのは、考えてみれば当然のことなのである。
それにしても、アメリカほどの大国が、どうしてイスラエルに対してそれほど弱腰なのか。
これは推測でしかないが、おそらく莫大なユダヤ・マネーが物を言っているのだろう。カネは力なり。
悲しいかな、いずこも同じ初夏の夕暮れである。