耳寄りな話を聞いた。きょう読んだ新聞記事の中で、私が注目した記事のタイトルは、
「(科学とみらい)気候工学、温暖化対策の特効薬か 微粒子まき日射阻む、環境への影響懸念も」
というものである。
記事本文にはこう書かれている。
「遠くない将来、さらなる気温上昇によって干ばつが特定地域で数年続くなどの重大な影響が表れた場合にどうしたらいいのか。一つの対応策として期待されるのが、比較的低コストで気温を一時的に下げられる可能性のある気候工学だ。」
(朝日新聞5月17日)
「(科学とみらい)気候工学、温暖化対策の特効薬か 微粒子まき日射阻む、環境への影響懸念も」
というものである。
記事本文にはこう書かれている。
「遠くない将来、さらなる気温上昇によって干ばつが特定地域で数年続くなどの重大な影響が表れた場合にどうしたらいいのか。一つの対応策として期待されるのが、比較的低コストで気温を一時的に下げられる可能性のある気候工学だ。」
(朝日新聞5月17日)
「気候工学(ジオエンジニアリング)」。聞き慣れない言葉だが、これは記事によれば、
「人工的にまいた化学物質や粉末で日射をはね返す技術の総称」
だという。
この技術は「比較的低コストで気温を一時的に下げられる可能性」を持つため、今、地球温暖化対策の有力候補として注目されているというのだ。
原理は簡単である。火山の大規模噴火の後では、噴出物が日射をはね返すので、一時的に気温が低下する。こうした事象が一つのモデルとなって生まれたのが、気象工学だという。
もっとも、この技術が生まれて間もない現状では、さまざまな懸念が伴い、なかなかこの技術が受け入れられないのも事実である。
一つは、この技術を実践することによって生じると予想される、生態系や我々の生活への悪影響がある。この技術の実践は1国や1企業によっても可能だが、その影響はグローバルな範囲に及び、しかも不可逆的なものになる可能性が高いのである。
事実、91年のフィリピンのピナトゥボ火山の大規模噴火の後には、その影響で日本でも93年に記録的な冷夏となった。米は大凶作となり、店からお米が消えるなど、社会的な混乱にもつながった。
気象工学の導入と実践は、これと同類の被害をもたらすのではないかと懸念されているのである。
気象といえば、明日の天気の予報すら満足にできないのが現状である。その気象をコントロールするなんて、蟷螂の斧ほどの無謀な企てであり、その悪影響にも心配は尽きないが、無謀な企てほど逆にワクワク感が伴うものである。
この新技術の導入を見送り、CO2の排出削減に取り組むだけでは、地球温暖化は食い止められず、やがては人類が生存できないような過酷な地球環境になる、と大真面目で語られながら、温暖化対策の有効な手立てが他にまったく見つからない今現在、一か八かでこの「気象工学」の新技術を試してみるのも、一つの手ではないだろうか。