YS Journal アメリカからの雑感

政治、経済、手当たり次第、そしてゴルフ

Filibuster

2009-10-28 12:36:46 | アメリカ政治
テッドケネディーの偽善で、テッドケネディー(というか民主党)がなぜ上院の60議席目(計100議席)に死ぬ間際まで拘った事を書きました。で、60議席を持っているとなぜ、法案が通るかという議会運営の事については、はっきり理解していなかったので、改めて調べてみました。

上院で60の賛成(100分の60)があると審議打ち切りが出来、強制採決に持ち込める規則がありました。これを阻止する事をFilibusterと呼ぶそうです。元々、Filibusterはスペイン語源で審議妨害の意味があるそうです。

今回の健康保険改革に関して、法案審議の最初からFilibuster Proofという言葉が繰り返し出てきておりました。民主党は、60議席を確保して上院で強行突破を最初から考えていたようです。

が、ここにきて、民主党内も分裂気味になってきました。政府運用の健康保険を設けるかどうかで意見統一が出来ません。骨格となる上院の委員会案では、政府運用保険をしない事で、共和党委員の一人が賛成に回って、一応超党法案というカッコはついたのですが、その他の委員会案と統合しているうちに、確信犯的に政府運用保険が復活してきました。既に賛成に回った共和党委員も反対を表明しており、民主党中道の2議員も反対表明をしております。

一方で、政府運用保険は各州の選択肢がまだ残されている事、加入義務への強制力が弱い事などで、民主党の中でも左翼にとっては生温いという事で、反対を表明する議員も出てきております。

結局どっち付かずでFilibuster Proofには至らない様相を呈してきました。今更ながらにオバマ大統領の指導力不足を批判する声が民主党の中からも再び出始めました。

いろいろ矛盾だらけの法案だし、中身を詳細に討議すると永遠に紛糾する事は間違いありません。一つの例として、政府運用保険で中絶出来るのかと言った、カソリックの人々には重要な問題も含まれています。Filibuster状態になれば、理論的にこれらの討議を永遠に続けられます。

オバマ大統領と民主党首脳陣は、民主党(というか革新左翼)の何十年もの悲願であった健康保険改革法案が成立が目前にあります。法案内容的には多少曖昧であっても、政府運用の保険を盛り込めば、究極のゴールである政府独占の健康保険提供(Single Payer System)への道が出来ると考えております。

政府独占の健康保険提供(Single Payer System)への道筋が出来る事こそが、今回の健康保険改革で揉めている本質です。つまり、政府が健康保険ひいては市民の健康、生命をコントロールする事に対する賛否です。

まだまだ予断は許しませんが、オバマ大統領と民主党首脳陣の暴走にストップが掛かりそうな気配が濃厚になってきました。


最新の画像もっと見る

コメントを投稿