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Obama ducks and punts (オバマ大統領の記者会見映像を追加)

2011-02-17 04:48:20 | アメリカ政治
昨日、オバマ政権は2012会計年度(11年10月~12年9月)の予算教書を発表した。歳出が $3.729T (約310兆円)、歳入が$2.627T (約218兆円)、よって赤字が $1.102T (約92兆円)。歳出は、GDP の 23.6% になると予想されている。

単純に言うと、オバマはタフな選択を避け(duck)、問題を先送りどころか、遠い未来に蹴飛ばした。(punt: 先送りの表現 kick the can down the road に引っ掛けて、もっと遠くに蹴飛ばす意味で使っている)

オバマ大統領は、先月の一般教書演説でも財政の建て直しをすると言っているだけに、悪い冗談のような予算教書となっている。

本格審議は、4月には共和党案が出てからなのだが、オバマは何を考えているのか、本当に疑いたくなる内容である。(詳細は、審議でフォロー予定)

しかし、予算関係で2012会計年度の前に重要な事とが二つある。一つは、2011年会計年度の予算が確定しておらず、現在、暫定予算の延長で凌いでいる事と、国債の発行上限に再び迫りつつある事である。

まず、現在の暫定予算は3月4日で期限切れ、又、3月末に国債の発行上限に達すると予想されており、両方とも可決しなければ、連邦政府がシャットダウンすることになる。

このような中途半端で不安定な状態になった最大の要因は、昨年11月の中間選挙での不利を予想した民主党が、より不利になることを恐れて予算関係の審議を放棄した事にある。ObamaCare 成立後、オバマ政権及び民主党の弛み切った財政運営への風当たりが強く、ブッシュ減税延長を含む全ての予算審議を放棄したのである。

さて、共和党はこの冗談のような2012会計年度予算教書を受けて、態度を硬化させている。以前から、2011会計年度でも歳出削減が出来る事を強調しており、本格的な財政再建の道を探っている。

オバマ政権と民主党は、1995年のクリントン政権と共和党議会の対立で連邦政府がシャットダウンした時は、結果的にクリントン政権に有利に働き、クリントン大統領の再選と民主党の議席拡大となった。オバマ大統領も、連邦政府のシャットダウンの責任を共和党に押し付けて、政治的に利用しようと考えているようだ。(これもマネッ子)予算教書提出に伴い、オバマ大統領は昨日緊急の記者会見を行ったが、連邦政府のシャットダウンの可能性にも触れ、しきりに共和党を牽制していた。

2012会計年度どころか、向こう10年一回も単年の予算がバランスすらしないのに、オバマは、この予算教書は今後負債を増やさないと言う発言をし、記者に突っ込まれていた。(追加オバマ大統領の記者会見映像、17分25秒からの質問と回答の所)それでも、言い訳をしていたのには笑ってしまった。(冗談抜きで、オバマは、自分が嘘つきである事も分からない、人格障害を患っていると思う)

しかし、今回は世間の関心度合いが1995年とは違っており、もし、連邦政府がシャットダウンしたら、オバマ政権に不利に働くとの予想が多い。オバマも民主党も完全に世論を読み間違えている。

一方、共和党は、シャットダウンを人質にしているわけではなく、危機的な財政状態を真剣に何とかしようとしている。オバマ大統領も口先では同じ事を言っているのだが、この予算教書を見る限り、この期に及んでも予算までも、政治的に利用しようとしている。(予算カットは当然福祉の削減を伴うので、共和党案を非難するだろう。既に、民主党の幹部は、その旨の発言を始めている)

オバマは、間違いなく、間違っているので、絶対にリーダーではない。これまでの大統領で、国の危機を政治的に利用しようと考えた上で、取り組んだ大統領は1人もいないだろう。と言うより、取り組む気が最初から無いのであろう。


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