つい先日のエントリーにも書いたが、VIX(NY株S&P500のボラティリティ指数)とGSR(金銀比価・ゴールドシルバーレシオ)のチャートは非常に動きに平行性がある。今回は週足を平行して並べた画像を作ってみたので、よくわかると思う。あまりにも細部まで山と谷が一致しているのに驚かれるだろう。
まったく無関係の二者であるが、いずれも株式あるいは信用の「恐怖指数」という点で共通することは前にも書いた。ところが、現在は、不思議なことに、VIXは下降(恐怖度減少)しているのに、GSRは上昇(恐怖度増加)しているのである。平行すべき指標が背反した動きをすることをテクニカルチャートではダイバージェンスというが、まさにVIXとGSRのダイバージェンスと言うべき動きだと思う。
ダイバージェンスは一般的に次に起こる動きを暗示するとされる。つまり、相反した動きの片側が実はおかしくて、いずれ、どちらも同じ動きになるというのが基本だ。たとえば、価格の動きと、そのオシレーター指標であるRSIなどはよくそのような使い方をされる。ただ、価格とRSIは平行して動くのが当然であるが、ここでのVIXとGSRのように原理的平行性がわからないものについては、これをそのまま適用することにはもちろん問題も残る。
とは言え、ここまで平行性を持ってきたものがずれてきたことにはやはり注目しておきたい。普通に考えれば、株式市場はまだ安心感を持って買い上げてくるが、金融の信用の世界には暗転する予感が大きくなっていていると見ていいと思う。このダイバージェンスが耐えられなくなったところで、株式も再度の大きな下落となるはずであり、今後GSRの動きには特に注目してゆきたいと思う。
ただし、VIXの動きから見る限り、株の大きな崩れはすぐには起きないだろう。年末年始にあまりにも総悲観になってしまったため、その反動は大きい。次の極めておおきなイベント(GMの破綻か、それ以上)がないと相場の動きは変わらないと考えている。VIXとGSRの差に見られるVIXの強さは、もしかしたら、米国その他の政府機関による買い支えによるかさ上げ効果かもしれない(GSRはかさ上げが不可能)。とすると、まだそれはしばらく続くという点も見逃せない。売り方も上げてから売った方が利幅が取れるということもあるだろう。
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GSRのお話が増えて理解が深まります。
ありがとうございます。
去年の春は松藤さんが「ワーニング!」と無料ブログで発表したあとの2ちゃんねるでは何も起きなかったと「ブーイング」の嵐だったのを思い出します。
GSRは一時的にワーニングになった痕跡がありますが現在のほうがはるかに危機的状態なんだとしみじみわかります。
だとすると、今の株価は人為的な匂いがするので、GSRの方が現時点での実態を示してるような気がするのですが・・・・
ダイバージェンスしてるってのがVIXの数字が実態から少し離れてる証拠のような気がします。
まあ、どっちが正しいのかは僕にはわからんですが・・・
松藤氏はあれからあんまりGSR言わなくなったようですが、これは面白い数値です。しつこく探究してます。
ダンボさん、
私もそう思います。
よっくんさん、
GSRはこのチャートで割り算で算出してますように、取引対象にはなってないはずです。
ぐばぐばさん、
そうなんです。株もここから下がるのは中途半端じゃないでしょうかね。
みなさま、
このダイバージェンス、チャートをご覧になるとわかるように昨年の7月~8月にも見られます(VIXは下降、GSRは上昇)。この時期は株もやや上昇してました。が、そのあと、9月から、株が大下落になっています。ということで、この時はGSRがふた月くらい先行して、その後の恐慌的な動きを暗示していたわけです。現在はダイバージェンスして一月になりますので、あと一ヶ月くらいしたら株が変調を来すということかもしれません。