私の別の活動地点である某コミュニティで、為替相場予測には、為替先物の動向を見ることも重要という指摘を受けた。たしかに、商品取引などではそれは常識であり、為替の場合にあまり指摘されていないのは言われて見れば、ちょっと不思議である。
で、以下は素人のにわか勉強なので、誤りがあったらぜひご注意いただきたい。
商品先物では、取引の期限(限月)があって、それぞれ現時点に近いもの(期近)から、真ん中のもの(期中)、遠いもの(期先)まであり、価格もいろいろである。そのそれぞれの価格の差のことを、日本語では「鞘(サヤ)」と言う(ちなみに語源は「差異」(さい)から来たという説が有力だ)。このサヤは、債権金利の長短のイールドカーブの解釈と同じようにいろいろなタイプがあるが、期先が高い場合(順ザヤ・コンタンゴ)と、期近が高い場合(逆ザヤ・バックワーデーション)とがその基本だ。その読み方については、例えばこのサイトなどが詳しい。興味深いのは、このサヤを読むさいに、需給を元として読む方法をファンダメンタル的とし、市場の関心を元として読む方法をテクニカルとしていることだ。確かに、商品先物のサヤにはその二面性があると思う。商品価格は、需給と投機の両方から決まるものであり、昨年の原油などのように、需給無視のバブル相場もあり得る。
さて、こう考えてくると、当然、為替先物にもおなじように、サヤの概念があり、需給で読む方法と、市場の人気で読む方法とがあることになる。為替先物の場合は、価格を単純に見るのではなく、一旦、通貨のもたらす金利に置き換えて、その金利を使って、近い物(直物)と遠いもの(先物)との金利差(直先スプレッド・スワップレート)を計算して、価格に演算するという方法をとるようだ。ということで、それを簡単に見ることのできる一般向けサイトをなかなか見つけることができていない。
ただ、擬似的なものとして、CMEにおける、為替先物のデリバティブのサイトがあり、これで来年までの先物の価格を表示しているので、ある程度の、先高感、先安感は知ることができる。CMEの為替先物のサイトはここである。ここではUSD/JPYを表示した形としてリンクしたが、通貨ペアは自由に選択できる。
このCMEのサイトで見る、為替の今後の動向は、たとえば、豪ドル・ドルなどは先物ほど安くなっており、ドル高を示唆している。円・ドルは、先物ほど高くなっており、円高を示唆している。これはなかなかおもしろい。もちろん、先物一般に言えることだが、この予測はあくまで現時点での予測であり、大きなファンダメンタル的変動があれば一晩でひっくりかえることもある。それを勘案した上でも、需給・投機の両面から、為替のサヤ的現象を観察するのは必要なことであると思う。
むかしから、ファンダメンタルとテクニカルの区別はどこにあるかという課題を常に意識して考えているが、この先物の価格動向のことはひじょうに重要な研究課題となった。
以上、あらためて、ご教示を乞う次第である。
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為替先物の件ですよね。一覧できるよいサイトがあったら是非お教えください。
為替は初心者向けの本はいくらでもありますが、それ以上はダメですね。著者である、引退トレーダー達の知識に偏りがあることが問題です。こういう場合は、共著の形で得意分野を分担執筆するのがいいのでしょうが、まとめ役もまた不在です。これもトレーダーが一匹狼なのが原因でしょう。いずれにせよ、全体まんべんなくわかる人がいないとまとまりませんからね。^^