相場はドル円の下降がやや予想より大きかったがいずれにせよ自律調整の範囲で動いているようなので、ちょっと別の話題を。
このところ、銀価格の高騰でGSR(ゴールドシルバーレシオ)の下降が著しい。それに比してGPR(ゴールドプラチナレシオ)はそれほどでもなく上下しており、GSRとGPRはかなり異なった動きをしている。この二つの比較だけではその差の持つ意味を理解しにくいので、もうひとつの比較対象を持ってくる。それは金銅比(ゴールドカッパーレシオ・GCR)である。金は通常の1オンスドル建て価格、銅はCOMEXの先物100ポンドあたりのドル価格(現在450ドル程)でその価格比を求めることにする。ストックチャートの機能でその比の月足の動きを示したのが掲示画像である。
ご覧のように、サブプライム前は2.0から2.5あたりだったのが、6.0まで跳ね上がり(金の割高)、その後戻っているが3.0程度になっているのが現状である。実は、この断層的なチャートは、前に示したGSRとGPR(左のリンク集にあり)と比較すると、GPRの動きに極めて近い。つまり、現在までの値動きは、プラチナが銅と近く、逆に銀は銅とはあまり似ていないというわけだ。プラチナも銀も工業原料の側面があることはよく言われるが、現在の値動きが反映するものとしては、プラチナはそう言えるが、銀はあまりそうではない。
この銀の性質の「変貌」をどう解釈するかはなかなか難しいが、私は、今の特殊な経済状況が生み出した、〈状況による価格〉と見たい。つまり、今は、明らかに将来の危機の予感があるが、といって危険度全開というわけでもない、きわめて中途半端な時期だ。そのような時には、貴金属や通貨の性質もあり、また工業原料の性質もある、銀の二面性が魅力的ということではないだろうか。(それに比して、プラチナは通貨性が弱い。)この中途半端な時期の「半端さ」はQEがもたらした性質であり、QEが続く限り、銀の上昇の勢いは止まらないということになるだろう。
しかし、それは銀の性質が根本から変わったことは意味していないだろう。もしQEが終わり、株価が私の予測のように本格的に下落すれば、原油などとともに、工業製品原料の性質を持つ銀も暴落すると思う。そこでGSRもまた暴騰するだろう。つまり、QEの最後、つまり出口までには、銀の継続的高騰、金・銀の下落(銀の一相場の終了)、金の再上昇(GSRも上昇)という経過をたどると予想できるのではないかと思っている。
以上のように、GSRを見るにあたって、GPRとGCRも同時に観察することで、GSRの特異性を明らかにすることができることを述べた。これらを使って、なんとか相場の転換点を見つけるようにしていきたい。
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そんなに早く一相場が終わってしまうのですか?アメリカのロバートキヨサキ、ジェームスターク、ジム
ロジャース、日本では投資小僧氏も銀はまだまだ3~5年または、10年、それもとてつもない上昇をすると言っていますが(投資小僧氏は今の5倍でもおかしくない)、そうなんでしょう?ちなみに私は全財産の90%を銀現物に投資しています・・>
こんにちは。ひと相場が終わって、しばらくして再度盛り上がるということもありますので、なんとも言えませんが、短期的には山がみえているという見方です。というのは現在の銀相場はGSR主導型ですが、GSRは100から20まで動くうち、現在35ですので、ここから先はあまりありません。長い歴史でGSRが35以下の時期はごく短いです。それは間違いないです。
もしタークたちのいうような銀の長い上昇があるとするなら、金が上がることで、GSRはたいしたことがなくても銀が上がるということになるはずです。こちらについてはまだ判断がつきにくいですが、わたしはこれも懐疑的です。
が、これについてはさらに考えたいです。
続きです。ハント兄弟の銀買い占めが失敗した理由は、銀が高騰したところで、欧州の膨大な銀器コレクション(古い家なら必ず持っている)が放出されて、鋳つぶされたために、銀価格が暴落したためです。
銀の絶対価格がさらに上がってくるとこの動きが必ず出てきます。これは豊島氏がリサイクルに注意と言っていることですが、私も賛成です。私ですら、金の食器は持っていませんが、銀の食器なら持っていますから。
とんでもない事になってますね
マネタリーべス(通貨の量)が莫大な量である事と今、ちまたで話題になっている貴金属現物と紙で発行された貴金属の証券の量(現物は100分の1)があかるみになってきている事。あと銀じたいが工業用として莫大に使用されてきて、昔よりあまりないことあとこれからソーラシステムなどいろいろな電気機器の使われるであろう事。世界中の通貨価値の減少がはっきりしてきている事。これらの事がハント兄弟が買占めを行ったときの状態とだいぶ今までの時代と違うと思うのですが、どうでしょう・?
確かに三空になってますねえ。P&Fではまだ上げ余地がありますので、対ドルではまだまだ上げそうです。
スーさん
面白い問題ですので、週末にでも改めてエントリーを設けて書いてみます。ちょっとお待ち下さい。
またコメントしてしまって、すいません。
あと少しだけ言いたい事を付け加えたいのでコメントさせていただきました。
銀の流動性は日本ではいまいちですがアメリカ、中国
ヨーロッパでは金におとりがないぐらい流動性があります。今アメリカの株式市場の裏側ではインサイダー
取引が大会社のCEOクラスでも問題になっていていますが、今年度のはじめに今までにない莫大なインサイダー取引がありその代わりに銀貨のシルバーアメリカンイーグルが買われ、去年の売り上げの3分の1ぐらいの売り上げがが1月のはじめの2週間の間であったとアメリカ造幣局から発表されたそうです。あとあの2兆ドル近い資産を債権で運用しているPIMCOのヘッドマネージャーのビルグロース氏も米国債はガンだと言ってすべて
売り払ったそうです。そして彼自身がアメリカは契約的なディフォルトはないが通貨の切り下げ、ハイパーインフレの様なディフォルトは確実(もしQE3をしなければ)と言っています。だから遅かれ早かれ何らかのディフォルトがあり米国債をたくさん持っている世界中大変な事になると思います。だから6千年(金と銀の比率平均1.10~20)の本当の金と銀の通貨システムに戻るのではないでしょうか?ながながとすいません・・・・。
ありがとうございます。いただいたコメントを生かして週末に書いてみます。