FXと暗号資産(Crypto)とゴールド(金)についての随想です。コメント欄は承認制になっています。
やまはFX・Crypto



#(追補)文中、金価格の予測部分を若干修正

さて雇用調整をきっかけに二つの動きが起きた。二つは論理的に別のものであり、それぞれを個別に見てみよう。

1 ドルストレートでのドル高および金下落
 豪ドルドル(AUDUSD)やユーロドルや金の下落である。これは、やはり米国の復活=利上げ=ドルキャリーの減退、という連想が働いたと考えるのがよさそうである。実際に当人がそう考えるかどうかは別として、そういう思惑が出るのではないかということで、利のあるうちに売ろうという動きである。

2 ドル円の上昇
ドル高でドル円が上がるのに乗じて、円売りの投機的動きが出てきた。これはここしばらくの円高の揺り戻しをオーバーシュートさせる動きである。米系銀行では円キャリーの再開をとなえるレポート(ロンドンFXさんの記事)も出ていると言う。

次に、それぞれについて、今後を予測する。

1 ドル高の今後
これはほぼ間違いなく来週以降も継続するだろう。年末要因もあり、どこかで何かのきっかけがあればドル安の調整は入るべきであった。今回はいい機会と見る。ここまでドル安を牽引してきたのは金価格であるが、P&Fチャートでは、昨日は「High pole warning(天極注意)」が出た状態になっている。これはしばらくの安定した上昇のかなりの部分を反転する動きが出た場合のことであり、しばしばその反転方向に強く動きだすことがある。今回は昨日書いた値の1150という数日前の反転点までほとんど全戻しをしており、きわめて明確な「警告」である。こうなると、すでに述べた本格的なエリオット4波の下落が起きた可能性が出てくる。その場合は1000ドル程度までの下降はあり得るのであり、極めて注意すべきだ。一応、4波の標準的な下落幅であるところの3波×0.382で計算すると、次の底は1095となる。日足のMA50も1100あたりを走っており、当面今回の金の下げの底値予測を1100としておく。それこれ含め、今回のドル高はかなりしっかりとしたドル高であると考える。前に予測したようにここから2週間程度はドル高に覆われた調整状態が続くと見ている。なお、その後はまた資源・商品への投資=ドル安が再開するという見方も変えていない(マネタリーベースの状態から)。

2 円安の今後
円安は、上のドル高に比べて、より投機性が高い動きである。円キャリーの再開、日米金利差の変化などが材料視されるが、ドル高よりも状況への論理的整合性は弱いと考える。またこれからある5年サイクルボトムのこともあり、ここから円安に戻るのはサイクルの形成上も具合がわるい。また、ユーロドル・豪ドルドル等が強く下降すれば、クロス円も下降あるいは横ばいになるはずであり、ドル円の上昇を抑制する。ということで、自分としては、来週のどこかから円高になるという方に重点を置いている。8月の雇用統計時と同じく、当日大きく円安に振れたが、その後反転、という形を想定したい。もし万一円安になるとすれば、次の円高への助走としてのある程度の円安はあるかもしれない。トレンドの根本的転換はひじょうに考えにくいと思う。
 
以上、来週からはドルストレートにおけるドル高を重視すれば、自然に途中から円高が加わるはずだと考えているが、もちろん、円安への方向性も頭に入れつつ慎重にみていくつもりである。前回エントリーのコメント欄にも数々の有益なご意見をいただいているので、ぜひ御併読を御願いしたい。



コメント ( 10 ) | Trackback ( )



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コメント
 
 
 
ご本尊 (酔いどれ)
2009-12-05 17:09:07
こんばんは
ドル円はご本尊の方々の戦略次第ですが、12月は決算明けのスタートダッシュ狙いとクリスマス休暇を前にして短期決戦に出てくるのではないでしょうか。大きな指標がないのも好都合でしょう。来週は調整安が88ミドルに留まると93台を目指すようなシナリオかな。
 
 
 
Unknown (Surly)
2009-12-05 17:28:33
現金を用意して来週は事件を待つ事にします(笑
ドバイか、ギリシャか、英国か、はたまた別の何かが?
民主党の米国債売却なんて怪しい話もあるみたいです^^#
 
 
 
はじめまして (恵次)
2009-12-05 18:53:28
ブログ楽しく拝見しました^^
色々参考になるところがありました。
また来ますね♪
 
 
 
ドル円 (たけし)
2009-12-05 19:40:49
ドル高にはなるけど、ドル円は下がるということでしょうか??
 
 
 
Unknown (モロヘイヤ)
2009-12-05 22:10:40
こんばんは、今回の金の調整幅をやまはさんのブログに触発されて自分でも過去の事例から検証してみました。

ちなみに私は「金鉱株の虎」という中国の金鉱株専門のブログをやっている者です。
http://3330t.blog23.fc2.com/

以下、私のブログからの転載になりますが、過去の金高騰相場から今後のご参考までに

最近、金価格が暴騰していますが、これらの暴騰は最近だと2005年末から2006年高騰相場、2007年末から2008年高騰相場と2年おきでありました。つまり2009年から2010年の金高騰相場も考えてみれば、もともとあって当然だったと今から考えればつじつまが合います。

さて、過去の年末年始の金高騰相場を検証してみました。

2005年末から2006年高騰相場
450⇒500ドル 約10%高騰(12月は年内最高値540付近から安値490付近で微調整)調整幅10%
500⇒720ドル 約40%高騰(5月初旬に720ドルの天井)
合計騰落率60%

2007年末から2008年高騰相場
670⇒800ドル 約20%高騰(11月は年内最高値840付近から安値780付近で微調整)調整幅8%
800⇒1020ドル 約27%高騰(3月初旬に1020ドルの天井)
合計騰落率52%

今回の金高騰も9月から起こったということで、過去の相場と似ています。
(多分世界の金相場トレーダーも意識していると思います)
で、過去の例から考えると今後の動きは

2009年末から2010年高騰相場
1000⇒1200ドル 約20%高騰(12月は年内最高値12XX付近から安値????で微調整)調整幅6~10%?
(年末終値は1200付近か?)
1200⇒????ドル 約27%高騰(?月に1420~1720ドルの短期天井?)
合計騰落率42%~72%?

ここでまず驚いたのが相場の起点(いずれも9月付近)から終了まで過去二回とも50%~60%
上げているということです。
そして問題の今回の12月の調整ですが、調整幅10%なら1100付近が最安値、調整幅8%なら
もうほぼ今回で終了ということです。
ただ、過去いずれのパターンでも年内は高値付けてからウダウダした形で終わり、年始から
また上げトレンドに入りました。
逆に1000ドルまでの暴落は難しいのではないかと言うのが私の実感です。過去いずれの相場も
起点まで調整はしていません。
ただ、私は金鉱株の分析はしても金相場の分析はあまりしないので、正直どうなるかは全く分かりませんのであしからず。
 
 
 
お久しぶりです (チャーリー)
2009-12-05 23:18:09
こんばんは。お久しぶりです。

来週末はメジャーSQ日なので、それまで円安かも知れませんね。ドル高になろうとドル安になろうと、いずれにせよ一時的な円安だと思いますので、パターン的には、4月6~10日、6月8~12日、あるいは8月10~14日といったところでしょうか?(ドル円は月曜日高値が一番高く、水曜日にかけて下げ、木曜日に少し上がるが、いずれにせよ月曜日の高値は越えない)。とくに来週は大きく窓を開けて始まるはずなので、やまはさんがおっしゃるとおり、8月のパターンかもしれません。

ところで、株の世界では、騰落レシオが株価に先行することが知られています。すなわち、騰落レシオが天井(または底)をつけた後に株価が天井(または底)をつけるということです。天井(または底)の値段が幾らになるかは分かりませんが、その時期がいつ頃になるか、その日柄を推し量る指標として役に立ちます。まだ上がるか、それともそろそろ天井か、売買参加者全体の心理を反映した値とも言えます。
なお、騰落レシオとは市場全体の繁閑度を判断する指標のひとつで、値幅には関係なく、単純に値上がり銘柄数と値下がり銘柄数のそれぞれ総数から算出される指標です。
(参考:騰落レシオの算出法)
http://www.sevendata.co.jp/shihyou/jukyuu/touraku.html

(既にご存知かも知れませんが)チャート分析をしていて気付いたのですが、東証一部の13日騰落レシオチャートとドル円チャートを比較すると、大きな相関が認められます。ここ1年は株価以上に明確です。感触として13日ぐらいの騰落レシオがベストです。ドル円の大天井(または大底)に対して2~5日(営業日)程度先行しています(13日より日数を大きく設定すると遅くなり、小さく設定すると早すぎてしまいます)。特に株が買われ過ぎ(値:150付近、4月初旬、8月初旬)、あるいは売られ過ぎ(値:50付近、10月初旬、11月末)のときの反転サインとして有効です。一方、そうでないとき(値:75~125)の反転は当日になったり、後日になったりすることもあるので曖昧です。別の指標に頼った方がよさそうです。12月4日現在の13日騰落レシオは95.92であり、(まだ)後者の曖昧なパターンです。
ドル円のほか、香港ドル円も似たような動きです。その他の円の絡む通貨の組み合わせでは相関は認められるものの、ドル円ほどではないようです。

参考になれば幸いです。
 
 
 
Unknown (なな)
2009-12-06 08:48:54
いつも楽しみにしています。私も豪ドルは一度下がると思います。下記に為替について、記載していましたので添付しました。来年は円安予想がおおいようです。

http://cyberbizkiz.blog.shinobi.jp/

12/05 17時分
ゴールドマン・サックス 2010年推奨トレード
5)ポーランド・ズロチ買い/円売り

12/06 18時分
某米系投資銀行 来年 ドル円 100円目標レポート



 
 
 
豪ドルは上がる (Stein)
2009-12-06 10:32:30
やまは様 おはようございます。

豪ドル、資源国通貨は上がるでしょう。理由は簡単です。ドルの信用が我々の想像以上にないからです。来年は円は60円台かな。

ドルはデノミでしょうな。そうしないとやっていけない。副島氏が著書で言っているように途中でオバマさん辞職に追い込まれるかもですね。

ドルは紙屑ですね。もちろん物質としての紙屑としての価値はありますが。
 
 
 
Unknown (FUYU)
2009-12-06 12:31:57
こんにちは~ドル円の行方が気になりますね。
私も8月の雇用統計同様、騙しだと思ってSしてますが(あの時は絶対騙しだ!という自信がありましたが)円キャリーレポートの出されたタイミングといい不安ですw 5年サイクルのボトムはもう打っちゃったのでしょうか? とにかく週明けのドル円に注目です。91.20くらいまでは上がりそうですけど・・。
 
 
 
Unknown (やまはくん)
2009-12-06 15:32:10
酔いどれさん、
今回もドル円相場は「ご本尊」次第になりそうですね。こちらはカモにならないよう気をつけて参ります。

Surlyさん、
金の下げは前もそうでしたが、一瞬になる様子もあります。私も1100あたりからは狙います。

恵次さん
専業FXトレーダーの方なんですね。初めまして。ブログの方も行かせていただきます。今後ともよろしくご教示ください。

たけしさん、
そうなんです。ドル高・円高というパターンを第一シナリオとしています。

モロヘイヤさん
貴重なご高察の転載ありがとうございます。ひじょうに説得的ですね。値も1100ということで私自身の予測とも合致するので心強いです。ブログの方もブックマークさせていただきましたので、折々にお訪ねします。よろしく御願い致します。

チャーリーさん
お久しぶりです。お元気そうでなによりです。騰落レシオは株特有の概念なので今ひとつ使い切れていないのですが、とてもおもしろいですね。VIXと近い動きだと思いますが、先行的性格が強いみたいですね。今後見ていきたいです。ありがとうございます。

ななさん、
こんにちは。なぜかここにきて円安という声が出てきてますね。日本の財政懸念の声も海外で大きいようですし連動していると思います。気をつけてみていきます。

Steinさん
長期的には私も豪ドルは買いと思います。ここ数年のうちにどこかのタイミングでしっかりと買いたいです。

FUYUさん
5年サイクルボトムは80円近くまで行くと思っていますので、これからではないかな?というのが現在の見通しです。当面は円売り仕掛けに気をつけつつショートのタイミングをはかります。


 
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