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ティエリー・ラング&フレンズ/リフレクションズ3

2010年01月16日 18時21分36秒 | JAZZ-Piano Trio
 エンリコ・ピエラヌンツィを聴いたところで、ふと思い出してこちらも聴いてみた。私の持っているティエリー・ラングのアルバムとしてはたぶんこれが最後の1枚だ。2003年の作品で、ここまでのんびりとレビューしてきた「リフレクションズ」シリーズの第三作でこれが完結編となる。第1作がピアノ・トリオ、第2作がテナー・サックスとトランペットを加えたオーソドックスなクインテット編成で演奏だったのに対し、こちらはピアノ・トリオにアルトサックス、ヴァイオリン、ハーモニカという3人のソリストが曲毎に参加して、ヴァリエーションに富んだ曲を並べている。ピアノ・トリオ+アルトサックスという編成は、まぁ普通のジャズに聴こえるだろが、ヴァイオリンやハーモニカだと、ジャズの響きとしては多少ユニークなものになる....本作ではそうした表現の拡大みたいなところを目論んでいるのだろう。

 1曲目の「チョコレート・ブルース」は、かなりアーシーなセンスを持ったアルト・サックスをフィーチャーしたブルージーな作品で、これまでのラングが持っていた透明感だのヨーロッパ的抒情とかいうイメージからすると、こういう音楽性はちらほら出てはいたものの、さすがにしょっぱなからこうだと「かましているな」という感じがする。2曲目の「ヌンツィ」はヴァイオリンのディディエ・ロックウッドをフィーチャーした作品(彼はある種のロック・ファンにはとても有名な人で、私も彼の名前をみたときちょっと懐かしくなった)。原曲は「プラベート・ガーデン」に入っていたメランコリックな曲だが、ここでのヴァイオリンはかなり技巧的で、途中スイッチして展開されるピアノ・ソロもよく、こちらはラングのイメージを裏切らず、しかもジャズ的感興溢れる仕上がりになっている。3曲目の「ブルヴァール・ペロール」はハーモニカをフィーチャー、ジャズでハーモニカというと、私はトゥーツ・シールマンスくらいしか知らないのだが、ここで聴けるオリヴィエ・ケル・オウリオという人のハーモニカも、彼と同じ都会的な場末の哀愁みたいなブルーなイメージである。この楽器とラングのピアノとの相性は非常に良く、後半を受け持つピアノ・ソロとも違和感がなくいいムードを演出している感じだ。

 一方4曲目「オンリー・ウッド」は、ハーモニカとヴァイオリンをフィーチャーしたクインテット編成。かなりボサノバを基調としたエキゾチックな曲というせいもあるが、さすがにここまでくるとアンサンブルはかなりユニークな響きである。7曲目の「トイ・ボックス」はアルトサックスとハーモニカが加わったクインテット編成、こらちは新主流派風のスタイルをとっていて、先行するのがソロもアルトサックスだから、けっこうオーソドックスに楽しめる。ラストの「プレイヤー・フォー・ピース」はピアノとハーモニカによる瞑想的なデュオである。こうして聴いていくと、このアルバムではやはりハーモニカの出番が一番多く、またサウンド的にも目立つものになっている。ラングはピアニストとしてだけでなく、アレンジャーやコンポーザーとしての自負心もかなり高いと見受けるけれど、こういう情景系の楽器を多用したがるところにもそうした片鱗が感じられると思う。ところで、先も書いたとおり私の持っているラングのアルバムは一応これが最後なのだけれど、最近の彼は何をしているのだろう。このシリーズの流れからすると、ピアノトリオはもう見限っているようにも感じなのだが....。

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