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CHICK COREA / Friends

2006年06月13日 23時42分20秒 | JAZZ-Fusion
 76年に続いて78年もチック・コリアは非常に多作だった。RTFの最終作にして総決算ライブ、「妖精」の続編のようなコンセプトで作った「マッド・ハッター」、オールスター・セッション的な「シークレット・エージェント」、ハンコックとのデュオなど、ほとんど乱発といってもいいような状態だったようだ。このアルバムもそうした78年に発表された1枚だが、比較的以前からCD化されていたことからも分かるとおり、この時期のアルバム群の中でも、頭一つ抜けた知名度と仕上がりをもった作品として、認知されていたということなのだろう。もちろん、私も大好きな作品である。

 さて、この「フレンズ」というアルバムだが、その良さを一口でいうとすると、やはり「口当たりが良い」ということに尽きるのではないか。チック・コリア人のひとつの側面として、技術偏重指向みたいなものがあって、時にそうした面が行き過ぎてしまい、オーバー・トリッキーな曲芸大会みたいになってしまうところがなきにしもあらずなのだが、このアルバムでは当時勃興していたポップなフュージョンに歩調を合わせたのか、単なる気まぐれだったのかはわからないが、アルバム全体がリラックスしており、かつポップなメロディーに満ちているのである。アルバム冒頭を飾る「ジ・ワン・ステップ」など、一聴するとボブ・ジェームスと勘違いするほどだ。

 メンツはリズム・セクションにスティーブ・ガッドとエディ・ゴメスという当代随一のテクニシャンを揃えているが、これまでも何曲かこの二人とは共演済みだったのは周知の通りだが、フルアルバムを作ったのはおそらくこれが初めてだと思う。これがその後マイケル・ブレッカーを迎えての「フォア・カルテット」などに発展していく訳だが、このアルバムでは前述のとおり、比較的穏やかなトーンで統一されているので、前述の「フォア・カルテット」の予告編ともいえる「サンバ・ソング」が比較的フルパワーでテクニックを全開している以外は、ご両人ともあまり派手な活躍はしていない。

 むしろ、このアルバムでは初期のRTFでの盟友ジョー・ファレルの清涼感あるフルート・プレイが全体のトーンを決めているように思える。ファレルらしいちょいとエキゾチックでモノトーンなフレージングとコリアのエレピのか絡みがなんともいえない浮遊感を醸成するのは、RTFで実証済みだが、「シシリー」など、さながら「スペイン」のご両人のプレイを思い出しているかのような仕上がりであり、実に楽しめる仕上がりとなってる。
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