映画とライフデザイン

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映画「別れる決心」タンウェイ&パクチャヌク

2023-02-20 05:09:14 | 映画(韓国映画)
映画「別れる決心」を映画館で観てきました。


映画「別れる決心」は韓国映画界の巨匠パクチャヌク監督の作品。中国から「ラストコーション」の演技で世界をアッと言わせたタン・ウェイを迎えているミステリー仕立ての映画である。評判が良いので注目していたが、タンウェイが韓国映画に出るのはどうして?と思っていた。今回は悪女を演じる。


役所の職員が岩山の山頂から転落死する事件が発生する。中国人の妻ソレ(タンウェイ)が、夫の死に落胆していない様子を見て、ヘジュン警部(パクヘイル)はソレが犯人ではないかと疑い取り調べをはじめる。ソレにアリバイがあり、捜査は一段落するが、ヘジュン刑事はスマホの解析である事実に気づく。同時にもう一度ソレを問い詰めるという話である。

比較的難解な映画である。
スマホの解析が捜査のポイントになっている。スマホ機能を巧みに使った現代のIT事情に即した話だ。この映画を理解するには2度以上観ないと難しいかもしれない。いったんアリバイで取調べが終了しているのに前半戦でスマホである事実がわかる。それでもいったんはそのまま無実となる。

意外にアッサリしてこんなもんかと思いきや、後半戦に入り一気におもしろくなってくる。まさに、映画の構造はアルフレッドヒッチコック「めまい」である。あの時は、一度は死んだと思わせたキムノヴァク別人になって再び姿を現すのには驚いた。この映画ではタンウェイはすぐは死んでいない。いったん捜査は終了していたので地方に異動していたヘジュン警部の前にソレが突然姿を現したのだ。しかも、また何か起こるのかと思ったら、起きてしまうのだ。


映画を観終わった後に、ネタバレサイトに行くと、え!こういうことだったのかと思うことばかりである。観ている最中には気づかないことが多い。数多くの伏線がいろんなセリフや行動に含まれているのだ。比較的称賛の声が多いけど、一度観ただけでみんなわかるのかな?と率直に思う。

⒈パクチャヌク
衝撃的だったのは名作「JSA」で、「シュリ」とともに韓国映画のレベルが高くなっていることを日本人にも知らしめた。ソル・ギョング主演でカンヌ映画祭グランプリを受賞した「オールドボーイ」の表現は残虐そのもので、日本占領下の朝鮮を舞台とした「お嬢さん」エロそのものである。米国映画デビューのサイコスリラー「イノセントガーデン」にもえげつない要素がある。


でも、この映画では、残虐、エロティックという表現はほとんどない。殺人が絡んでも韓国映画独特の残虐な場面はない。どうもそれは意識したようだ。「ベニスの死」でも使われたマーラーの交響曲で情感を高める。あくまで、刑事と被疑者の交情に焦点をあてるためなのだろうか。空間を感じさせるカメラワークは終始一貫してうまい。山と海の両方で見どころをつくる。

映画では「高級寿司」が会話のネタになり、実際に寿司の折詰弁当が出てくる。「お嬢さん」戦前の日本統治を話題にするくらいだから、パクチャヌク監督もそれなりに日本に関心を持っているのかもしれない。

⒉タンウェイ
アンリー監督「ラストコーション」ではトニーレオンとの絡みが本当にやっているのでは?と思わせるような激しい演技だった。あの当時から15年ほど経っているが、変わらぬ美貌を持つ。まさにサイコサスペンスとも言えるこの作品で、表情の変化だけでセリフなしでも何かをわれわれに感じさせる「悪女映画」の系譜に加えられる作品になった。


映画を観る前に、韓国映画だけど中国語で話すのかな?と思っていたら、韓国語のセリフをきっちり話していた。うまい下手は自分にはわからないが、韓国語を勉強したようだ。その上で、自動翻訳機に向かって中国語で話して、それを機械が韓国語で伝えるシーンがいくつかあった。今後はこういうハイテク機器の利用が増えてくるかもしれない。真意は母国語でないと伝わらないことも多い。最後に向けて、ディテールは違っても物語構造「めまい」と似ているので、キムノヴァクと妙にダブって見れてしまう。

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