ぶら・のび

自分のために何か楽しいことやってますか?

ジフとアルミの力

2023年02月24日 | Weblog

皆さんは既にご存知だと思いますが、IHコンロの表面が焦げてなかなか落ちないですよね

たまたまユーチューブを見ていたら「こんな頑固な汚れも簡単」とやっていたので本当に取れるか試しました

このようにジフを焦げた部分に塗りつけるんですが、過去に何度かやっても取れなかった原因がわかったんです

それは、表面をキツく擦ると傷が着くのでは?と、ジフを塗ってスポンジで擦っていたんです

ところが、それではいくら擦ってもわずかしか取れないですよ

スポンジじゃなく、アルミホイルをクシャクシャと丸めて丸く擦るんです

するとわずかな時間で綺麗に取れるんです、ビックリ!

もし、まだそのまま放置している方がいたら一度やってみて下さい(^^v

受け売りですみません(ーー)

 

 

 

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コロナ・デビュー

2023年02月23日 | Weblog

とうとう私もコロナの仲間入りをしました

熱は大したほど出ず、ただ鼻が若干詰まり気味と少々の咳ぐらいです

そしてコロナ特有の嗅覚が完全になくなりました

所が、食べるものについては左程影響も出ず、主夫としては大助かり

というのも、家内と母親もコロナにかかり誰かがご飯を作らなければならず

これだけは助かりました

 

変な話、ぷ〜とオナラをしても臭話ないのはいいですね(^^v

そう言えば・・・・

当時、職場の先輩が鼻の手術を受けた事がありました

先輩には当時彼女が・・・いわゆる不倫関係ですね

術後、今までのように偲んで接吻をしたらしいです

そこで先輩が言ったのは

「手術するまではわからなかったが、口が臭かった」と

なんと失礼な事を言うでは有馬温泉!

もしかしたら彼女も先輩の臭さを我慢して接吻してたかもわからないのにね

 

まさに今の私の嗅覚と一緒です

困ったもんです(^^;

 

 

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猫の被害

2023年02月17日 | Weblog

最近野良犬は殆ど見かけなくなった

親戚ではたくさんの牛を育てているので見張り役として大型犬を数匹飼っていたが加齢と共にその役目が果たせなくなってくる為

新たに若い犬を飼おうとするも最近では小型犬の方が需要が多くなかなか探すのに困難らしい

またドラ猫の数も減って来ているようだが昔ながらの住宅街では未だあちこちで繁殖を行っている

減っている地域は新たな住宅街となった所

何を食べて生き延びているのか不思議だ

餌をあげる優しい人や燃えるゴミ収集の際の袋から生ごみを漁っているのか

時期が来たら発情と共に子猫の声が聞こえてくる

そんな猫で困るのは、糞尿被害

私の周りの人はとにかく困っている

花壇・家庭菜園・人の住んでいない家の床下、その他で糞尿をしたりする

猫は愛護動物なので危害を加えることができない

ネットを貼ったりペットボトルを並べたり、またコーヒーの出涸らしやタバコの吸い殻など色々と手を尽くしてみたが全く効果なし

ネットで調べたら様々な対処法が紹介されているが一番いいのは電熱線かも知れないがこれはちょっと危ない

猫の嫌がる音声機や薬、これはあまり効果はない

なんかいい方法はありませんかね

 

 

 

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日本国銀行

2023年02月15日 | Weblog

ご存知でしょうか?

日銀の国内保有株式額を・・・・

1日30億円売却するのに約71年かかるって?

2021年9月末現在の時価総額は約50兆円とか・・・

凄いですね(@@)

これだけあったらどれだけ日本国民が少しでも生活が楽になるのにな〜

でも絶対売らないそうですよ

 

政治家達が自由奔放に借金している国債発行額が約1200兆円

しかし日本が持っている外国債は約126兆円

売ればの話ですがね(^^;

一番多い外国債はアメリカですって

そんなアメリカの国債発行額が世界第一位で約2400兆円

で、2位が日本

なんや、持ちつ持たれるか

 

では日本国民の資産総額は約2000兆円

また平成19年の貯蓄のある世帯数は約87%で、一世帯当たりの平均額がなんと1143万円らしいです

これを見越して国は国民のケツの毛まで抜こうとしているのか

怖いマイナンバー

 

最近、日本でも騒がれている少子化問題、中国でも大きな問題となっているようですね

それによって高齢化がますます進み老後の生活にも大きな影響が出ているそうですよ

特に農村と都市の貧富の差

例えば、農村の年金月収は約3700円で、都市は約75000円とか

だから今、農村地域で自殺者が増加しているようです

日本昔話のような『姥捨山』現象?

だから中国は今では親を大事にするという習慣が薄れ自分が生きていくのに精一杯

また親は将来面倒を見てもらう為に子供を大事にしてきたが、そんな習慣も今では子供に面倒をかけたくないと自殺

方や都市部では老人ホームに入居し悠々自適の生活をしている人もいる

日本と比べ人口というスケールは違えどもこのままだと将来の日本もこうなるかも知れませんね

 

 

 

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初めての確定申告

2023年02月15日 | Weblog

またこのシーズンがやって来ましたね

勤めている時は会社が全部やってくれて、あと医療費控除だけはわずかな金額と言えども自分で最寄りの税務署で順番待ちをし申請をしてました

 

そして会社を定年して初めてこの確定申告をするのにどうすればいいのかちょっと迷いましたが今は本当に便利になってますね

国税庁のホームページを開いて確定申告作成をクリックし記入するだけ、そして免許証とマイナンバーカードのコピーを貼り付けと完成です

後は税務署に持参するか郵送するか・・・

※収入・保険・医療費その他の書類は税務署によっては持参しても「これはご家庭で保存しておいてください」という所もあります

また郵送でもOKですが、その際はその書類は同封しなければなりません

 

とは言え、どのように記入して行けばいいのかわからない!

しかしこれも今ではユーチューブなどで具体的な説明をしているページがあるお陰で本当、簡単にできました

そして申告書が完成すると、還付される金額まで出てくるので「こんなもんか?」とため息も出ますがわずかでもやっておかないと損です

 

ちなみに私が参考にしたユーチューブ動画は

サンデーマネーチャンネル「退職後の確定申告のやり方完全ガイド」です

丁寧な説明をされていますよ(^^)

 

 

 

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世界経済が・・・

2023年02月12日 | Weblog

光熱費・食材から何から何まで値上がり

生活困窮者にしてみれば死活問題と言えるだろう

これ全てある一人の男が引き起こした現象だ

当事国の国民ですらこの原因を未だ正しいものだと理解していない者もいる

大国は自給自足で国民の飢えを多少なりとも耐え凌げれるかも知れないが

後進国においては何の手立ても無く死を待つのみ

2021年の飢餓人口は約8億2800万人とされており前年より4600万人増えているそうだ

約10年後の中国の人口と同じぐらいの人が飢えてしまう事になる

こんな状況下の中でも平気で数千万円〜数億円というミサイルをバンバン飛ばし人の命を失わせていく

ロシアにおいても北朝鮮においてもこの状態が大きな貧富の差を生み生きるか死ぬかの生活を送っている国民がいると言うのに

当主はそんな人々は顧みず国家の為と狂いまくっている

 

世界には様々な宗教があるが象徴にしか過ぎない

武力で制圧しそれが勝てば正義で負ければ悪

現在自国を守るためと核を保有する国は「アメリカ・ロシア・フランス・イギリス・中国・インド・パキスタン・北朝鮮」

もし核戦争が起これば日本が受けた被害の数十倍、或いは数百、数千倍の被害が世界に拡散するだろう

 

例えば、南極の氷が全部溶けたら海面が40〜70cm上昇し、温暖化が2〜3倍のスピードで上昇すると言われ、陸地面積は減り食物連鎖が起こり人は生きていけなくなるかも知れない

早くどこかで歯止めをかけない事には例えが現実のものとなってしまう

国連、京都議定書って何の為にあるのだろう

これも例えであって現実を逃避している

世界が一丸となって平和な国づくりを模索しない限り地球は崩壊の一途

昨日、今日生まれてきた子供達には何の責任もないのに大人たちは・・・・

 

 

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男やもめ(最終回)

2023年02月09日 | Weblog

40になっても今未だ女っ気なしの男やもめ『紀男』

終業のサイレンが鳴る

 

「あ〜今日は疲れたな、早よ着替えて帰ろ、今日は娘の誕生日やから帰りにケーキを買うてってと嫁はんに言われてるからな」

「娘さん幾つになったんや」

「10歳や、もう嫁はんそっくりや」

「そっくりって、何が」

「顔も性格もや、寝てる時ぐらいかな、可愛いのは」

「あれで大きなったら貰い手あるかな〜と思うは」

「そりゃ大丈夫や」

「何でや」

「お前自身、そんな嫁はん貰ってるやんか」

「ま〜な、若い時は可愛いかったんやけどな〜」

「それって、猫被ってたんや」

「そんなヤツはおらんやろ、猫を被って歩いてるヤツ見た事ないわ」

「も〜え、さいなら」

 

従業員達は順にタイムカードを押し会社を出て行く

ちょうど郁夫が押しに来た時、社長が呼び止めた

「郁夫、ちょっとえ〜か」

「はい」

「あのな〜、この間の件やけどな、紀男に話ししたらな、やっぱり聞いて欲しいと言うんや、世話かけるけど一度聞いてやってはもらえんか」

「は〜、わかりました、そしたら明日にで聞いてもらいますけどよっぽど彼女の事が気に入ってるんやね」

「そうやろな、子供がいるって言うても初めはちょっと動揺している様やったけど、やっぱり諦め切れんねんやろな」

「わかりました、どうなるかわかりませんが聞いてみます」

「悪いな〜」

「いいえ、同僚の為ですから」

 

そして次の日、早速郁夫は徳芝工業の美嘉へ電話を入れた

「もしもし、美嘉、この間言ってた件な、悪いけど一度聞いてみてもらえんやろか、うちの紀がどうしても諦め切れへんみたいなんや」

「へ〜、そんなに早苗の事が気に入ってるの」

「子供の事も話ししたんやで、でも、それでもえ〜からって言うもんやから」

「わかったわ、どうなるかわからへんけど、そこまで思い詰めてはるんやったら聞いてみるわ、でも、嫌やと言うたら知らんよ」

「そりゃそうや、そうなったら紀も納得すると思う、できたら早めに返事、頼むわな」

「うん、わかった」

 

それから数日後・・・

「もしもし、郁夫君、あれから早苗に聞いてみたんやけど・・・」

「けど」

「折角やけどこの話は遠慮したいって言うんや」

「やっぱり」

「ご主人が亡くなった時にそう決めてたんやて」

「決めてたって」

「そう、再婚はしないって、よほどご主人を愛してたんやと思う」

「なるほどな〜、わかった、そしたらそのように言うわ、世話かけたな、ありがとう」

「こちらこそごめんね、期待に添えなくって」

「何言うてるんや、こっちが無理言うてるんやから」

 

そして早速この事を社長も交え紀男に話をした

「紀、ま〜こんな事なんや」

「紀男君な〜、それほどご主人の事が好きやったんや、だから彼女の意思を尊重してそっとしておいてあげる方がいいんちゃうかな」

「・・・・・・・」

「紀、お前も知ってるやろ美嘉の事、俺も好きやったんけど告白する間も無く婚約が決まっていた時はショックやったんや、暫くは辛かったけど今は逆にえ〜友達として続いている、だから紀もそんな感じで気楽にやって行ったらどうや」

「そうやな〜でも・・・」

「また前の様に集まって飲み会やってもいいし」

「その時はワシも混ぜてや」と社長

「社長、その時は社長の奢りという事で」

「あははははは〜」

 

その後、郁夫は前島電機の娘と見合いをし、結婚への運びとなった

紀男はそんな郁夫を心から祝福し、結婚式では自分の事のように感動した

 

それから数年後、既に前島電機の役員となった郁夫には、二人の子供を授かり家族みんな元気でやっていると写真を添えた手紙が送られてきた

その写真を見ると、郁夫も役員らしくなり子供は母親に似たのか美男美女、幸せそうに写っている

 

紀男も今年で47、両親は健在とは言いながらも高齢になり母親が今は父親の介護をしている

だから紀男も自分自身の事も考えなければならないが、いつ母親もそうなるともわからないので、今の社宅から自宅通勤にしようかと考える

不便さはあるがやはり長男としてやるべき事を考えたら自然に決断する事ができたのでこの事を社長に申し出た

「そりゃそうやろ、紀男君がそう考えたんならワシは何も言わん、それこそ賛成や、偉いと思う」

「そんな大袈裟な事はないですけどね」

「いやいや、そんな事ある、ワシなんか次男やから両親は兄貴に任せっきりや、だからお前は気楽でえ〜なってよう言われる、その点紀男君は偉い、親孝行したい時に親はなしって言うわな、大事にしたり、何やったら勤務時間も相談に乗るで」

「ありがとうございます」

 

数日後

自宅通いになった紀男はいつものように朝食の準備と両親の昼ご飯と自分の弁当の用意、そして洗濯物を干してから出かけるが、まだ社宅にいる同僚二人の弁当作りは今も続いている

休みの日は母親に代わって父親の介護をしながら古くなってきた家の補修や掃除と、結構やる事が多い

通勤手段はバス、田舎だから本数も少ないので乗り遅れないようにしないといけない

乗っている時間は約50分、その間は爆睡状態、幸にして会社へは終点なので乗り越す事は無いが、帰りは寝過ごしてしまうと大変な事になる

でも大変だけれど住めば都、我が家が一番落ち着くし幸せと感じる

後は嫁さんぐらいかな

 

終わり

 

 

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男やもめ(9)

2023年02月08日 | Weblog

40になっても今未だ女っ気なしの男やもめ『紀男』

今日は朝から雨が降っている、この社宅もかなり老朽化が進み二、三箇所雨漏りがする

その度に洗面器やバケツで雨を受けるこの音が、素材や大きさによって音が違う

ポッチャンポッチャン、カンカン、トントンと、この音が耳に付き気になってなかなか寝付けない事がある

初めは布なんかを敷いて置くからいいものの、雨水が溜まってくるとこんな音がしだす

そんなこんなんで朝起きて見ると洗面器は表面張力で一杯水が溜まっているので、少しずつ鍋にお玉ですくい流しに捨てる

このまま今日1日降り続くようなら昼休憩の時にまたすくいに来なければならない、参った事です

来年には今はとたんの屋根を瓦に葺き替えてくれるそうだが・・・

 

 

紀男は工場の施錠担当だから出社はいつも一番乗り、タイムカードを押して持ち場の旋盤の用意をする

「社長おはようございます」

「お〜おはようさん、雨漏りはどうや」

「も〜最悪ですよ、社長、昨日夜中に4回ほど気になって起きましたよ」

「すまんな、もう少し辛抱してか」

「おはようございます」と次にやって来たのは隣部屋の郁夫

「郁夫の部屋の雨漏りはどうやった」

「はい、先月大きなバケツを買ってたんでおかげさんでこぼれずに助かりました」

「おいおい、そんな嫌味言わんでもえ〜やろ、もうちょと待って、今業者に葺き替え頼んでるからな」

「おはようございます」と次に来たのは信雄だ

「おはようさん、信雄雨漏りどうやった」

「あ〜、昨日また新たに一箇所増えましてね、朝起きたらちょうど股間の辺りがびしょびしょになってましたわ」

「え〜、それって寝小便じゃなくって」

「まさか、この年になってそんな事しませんよ」

「そらすまんすまん、まさかな、今もみんなに言うてたんやけどもうしばらく待ってくれって」

「わかりました」

そして全員持ち場に行き、工場が動き出した

 

 

前島家

 

「洋子ちょっといいか」

「なあにお父さん」

「前から言っていたお見合いの事やけどな、朝日工業の社長、誠司君知ってるわな」

「はい」

「その誠司君に誰かいい人がいたらとお願いしてたんや、そしたらそこの従業員さんでとてもいい方がいるから、もしお前さえ良かったら見合いさせてもらわれへんかと連絡があったんやけどな〜」

「従業員さん?、別に私はいいけど、でもお母さんが何と言うか」

「そうだな、お母さんは結構世間体を気にするからな、ワシの見合いの時もどんな経歴の人って親に聞いてたらしいからな」

「へ〜、そうなの」

「しかし結婚は当人同士が決めるもんで親が勝手に決めるものじゃないからな」

「私もそう思うわ、好きでもない人と無理矢理なんて絶対嫌だもん、だってこれから共に生きる人生だからね」

「そうだな、じゃ〜この話進めていいんだね」

「え〜」

「わかった、母さんには私からちゃんと話をしておくからね」

「はい」

 

朝日工業

 

グワ〜ン、旋盤で鉄パイプを切りながら加工する緻密な作業

他の部品との組み合わせの際、100分の1ミリ単位で削らなければならないこの作業は、朝日においては元々手先が器用な紀男が入社3年目で習得した

精密部品の加工を得意とする朝日工業が生き残れてきたのもこの完成度の高さが評価されてきたお陰だ

元々先代の社長が頑固なまでの製品作りにこだわって来た技術を二代目である社長に厳しく伝えてきた事が、時代と共に信頼され今日に至っている

そんな製品作りにおいて朝日社長は1日の半分は工場に入り一人一人の作業をチェックしながらアドバイスをしている

 

「紀男君、ちょっと話があるんや、手が空いたらでえ〜から事務所に来てくれるか」

「はい、もうちょっとで終わりますから」

紀男は手に付いた油と顔を洗い事務所に向かった

「社長、何でしょうか」

「ちょっとこっちの会議室に来てくれるか」

「は〜」

「あのな〜、この前の話やけどな」

「はい」

「あれから郁夫がな、友達へ連絡入れてくれたんやけどな」

「は〜」

「びっくりせんとってよ」

「は〜」

「実はな、その桐島さんやったかな」

「はい」

「子供がおるらしいわ」

「えっ」

「でもな、旦那さんはだいぶ前に亡くなったらしいんや」

「は〜」

「それで今はお母さんと三人で暮らしているそうなんや」

「・・・・・・・」

「ワシもその話聞いてビックリしたわ」

「・・・・・・・」

「だから、もし、紀男君がそれでもえ〜と言うならやで、その桐島さんの気持ちを改めて聞いてもらおか、と郁夫と相談したんや」

「・・・・・・・」

「紀男君もまさかこんな展開になるとは思わなかったやろ、どうする、と言うより暫く考えてみてはどうかな」

「・・・・・・・」

「社長、いいです、それでも僕は構いませんので聞いてもらって下さい」

「えっ、いいのかい」

「お願いします」

「わかった、そしたら郁夫に聞いてもらうわ」

 

次回はいよいよ最終回

紀男と早苗の行方はどうなるのだろうか・・・・

 

 

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牡蠣

2023年02月07日 | Weblog

昨日赤穂の坂越へ牡蠣を食べに行って来ました

さすがシーズンという事もありめっちゃたくさんの人があちこちから来らていましたよ!

ここはテレビでもよく紹介されている『しおさい市場』です

そして最近のメニューはこちらです↓

牡蠣食べ放題もありますが、ここは大人3600円でした

別なところでは3000円というところもありますが、これもTVの影響でしょうか?

 

ここで食べたのが『坂越御膳』

量的にはお腹一杯になりますが、せっかくの牡蠣の味はイマイチでした

カキフライはジューシーさが無い

酢牡蠣は水臭い

牡蠣土手鍋は味が濃ゆすぎて辛い

蒸し牡蠣は出汁が少なく乾きかけ

そして刺身の身は柔らかすぎる

全くイマイチでした

ここで強いておすすめは自分で牡蠣を焼いて食べる!これぐらいですかね?

 

牡蠣の土産物は向かいにあるここ↓

観光客相手になっているので価格もちょっと高め

しかし遠いところから来られている方はそれなりに購入されていました

 

今回は坂越まで足を伸ばしてみましたが、普段は相生で食べたり買ったりしています

たまには日生も行く事がありますが、やはり相生の方が良質の牡蠣が多いように思います

また量・大きさ・価格においてもできれば食事処が併設されているような所はちょっとお高いようですね

私が買って帰る所はこんな店です↓

 

さ〜今日は買って帰った『むき身』で「牡蠣のお好み焼き」と「牡蠣飯」

『殻付き』は約4〜5日この寒い季節は外に置いていても大丈夫なので2〜3日後に「蒸す」か「焼いて」食べようと思います

 

 

 

 

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男やもめ(8)

2023年02月07日 | Weblog

40になっても今未だ女っ気なしの男やもめ『紀男』

今日はよっちゃんが休みなので朝早起きをして自分の分も含め、4人分の弁当を持って出社

「社長、おはようございます、昨日は色々とありがとうございました」

「いやいや大した事はしとらんよ、でもうまく行ったらいいのにな〜」

「はい」

すると郁夫が出社してきた

「社長、おはようございます」

「今日は何かと世話をかけるけどよろしく頼むな」

「任せといてください」

「ほら郁夫、弁当、今日は張り込んでるからな、頼むな」

「上手いこといったら、1ヶ月分の弁当代タダやな」

「え〜よ、それぐらい」

「あははははは・・」

 

会社が始まって1時間ぐらい経った頃、前島電機の車がやってきた

「社長、前島電機の社長がお越しです」と事務の女性が知らせに来た

「社長が、こんな時間に何の用やろ」と早速出迎えに行った

「社長、今日は何かお約束してましたか」

「いやいや、表敬訪問っちゅうやつですわ、じっと会社にいてても退屈でね、それとこの前の話の事もあるしね」

「あ〜、はいはい、ま〜どうぞお入り下さい」と社長はちょっと困ったな〜と思いながら、どう今日のところを収めようかと考えた

「最近だいぶ涼しくなって来ましたね」

「そうですね、朝日さんとこは火を扱った仕事場なので夏場は大変だったでしょ」

「もう従業員達も汗だくになって働いてくれてますわ、しかも今は光熱費や材料費の高騰で会社そのものもまさに火の車です」

「お互い大変ですね、それはそうと誠司さん、この前の件どうなりましかな」

やっぱりその件の方が主だったんやな、と思った

しかしこの際や、もう紀男がダメなら郁夫で行くかと、ダメもとで進めてみようと考えた

どうせ見合いなんや、我々じゃなく本人同士の問題やからと、人ごとのように考えを改めることにした

「その件でしたら、本人も是非と申しております、は〜」

「そうですか、よかった、じゃ〜いつ頃がよろしいでしょうかね」

「は〜、今ですね会社の方もちょっと立て込んだ仕事が入っておりますのでもう暫くお待ちいただけませんか、片付き次第すぐにこちらから連絡させてもらいますんで」

「そうですか、わかりました、では無理をいいますが早目の返事お待ち致しております」

「わざわざすいませんね」

あ〜あ、適当な事言ってしまったと思いながらも気持ち的には楽になった、紀男がダメなら郁夫、郁夫がダメなら信雄でと

 

 

終業のサイレンが鳴った

早速郁夫は公衆電話で美嘉の勤めている会社に電話を入れてみた

暫く待つと美嘉が電話口に出た

「もしもし、どうしたん、会社へ電話なんて珍しいわね」

「いや、他でもないねんけどな」

「な〜に」

「もしよかたらこの間の四人でもう一度飲まないかな〜って」

「いつ」

「いつでもえ〜ねんけど、できれば早目の方が」

「何それ」

「美嘉、実をいうとな、俺の友達の紀がさ」

「あ〜この間一緒に来てた人ね」

「そう、その紀がな、お前の友達の桐島さんに一目惚れしちゃったんよ」

「えっ、早苗に」

「そう、ところがあいつ、人見知りで口下手やから自分からキッカケを作るのが下手なんで、俺に頼んできたって訳、その代わり今度は自分の口でちゃんと話すからと言うもんやからな」

「そういう事」

「確かあの時、桐島さんは独身と言ってたよな」

「そう、独身よ、今はね」

「えっ、今はねって、と言うことはバツイチって事」

「別れといっても亡くなられたのよ」

「へ〜、それは気の毒に」

「だから今は子供さんと自分のお母さんとの三人暮らし、子供はまだ小学生だったかな」

「へ〜、そうなんや、そりゃ大変やな」

「どうする、誘うの」

「いや〜、ちょっと待って、これは一度持ち帰って相談してみるわ、すまんな」と電話を切った

え〜、まさかこんな展開になるとは想像もしてなかったな〜

こんな話、紀が聞いたらめっちゃショック受けるやろな〜

まずこの話は先に社長にする方がえ〜な

 

そして会社に戻った郁夫は事務所に行った

「社長、いてはりますか」

まだ残っていた事務の女性が

「社長やったらさっきまでいてたんやけど、組合の人と数人で確かよっちゃんへ行くとか言ってたわ」

「よっちゃん」

「そう」

「えっ、よっちゃん確か今日休みのはずやけどな〜」

「今日は開いているらしいわよ」

「そうですか、わかりました、お疲れさんです」

郁夫はこのままよっちゃんへ行くべきか、明日にするか迷ったが、いずれにしても銭湯は行かないといけないし、晩ご飯も食べないといけないので結局銭湯の後で覗くことにした

 

よっちゃん(臨時営業)

 

「こんばんは」

「あら郁夫ちゃん、いらっしゃい、信雄君らもう来てほらあそこで飲んでるわよ」

「善子さん、今日は休み違うの」

「そうなんやけどね、今月ちょっと用事があって休まなあかんので開けたんよ」

「そうなんですか」

「お〜郁夫、遅かったな」

「お前ら今日開いてるの知ってたんか」

「この前来た時善子さん言うてたやんか」

「そうやったかな〜」と自答

そして郁夫は狭いながらのよっちゃんの店内を見渡すと社長も来ていた

やっぱり今日はやめとこと、せっかくいい気分で飲んではるのに水を刺すようなことになったらお酒も美味しくないやろと、やや身を隠しながら信雄らと飲んだ

 

「何してたん、遅かったな、残業か」

「いや、ちょっと用事があったんや」

「用事って、もしかして女でもできたとか」

郁夫は一瞬ドキっとした

「違うよ、今やっている仕事の事や」

「ま〜え〜、それより今日も一日ご苦労さんでした」と乾杯をした

「そうや、今日、前島社長が来てたやろ、また追加の注文でも持って来てくれたんかな、うちは前島電機で持っているようなもんやからな」

「確かに、そういえば前島さんとこにお嬢さんがいてはったな」

「俺は一回しか見てないねんけどめっちゃ綺麗な人やったな」と信雄が言った

「独身なんかな、もしそうやったら俺の嫁さんにしたいな〜」

「何言うてるんや、お前なんか分不相応や、釣り合いが取れんわ」

「それもそうやな、高嶺の花や」

「それより郁夫、お前美嘉ちゃんとはどうなってるんや」

「美嘉はもう親が決めた人がおるんや、大学でのボンボンで、徳芝工業の息子や」

「やっぱり美人は得やな〜、俺も女に生まれてたらよかったわ」

「お前が女に、あははははは〜、想像しただけでも気持ち悪いは」

「何言うてんねん、あははははは」

 

店も時間と共に客が少なくなりかけた時、信雄の大きな馬鹿笑いが聞こえたのか、社長が寄って来て

「何や君らも来てたんか、よかったらワシらも仲間に入れてくれるか」と言った

「何や偉い盛り上がってたけど、何かあったんか」と社長がみんなに聞いた

郁夫はさっきと打って変わり急におとなしくなり

「大した話じゃないんです」と誤魔化すかのように

「信雄がね、今度生まれ変われるんだったら女になりたいと言うから、想像するだけでも気色が悪いと、みんなで笑ってたんです」

「信雄が女に」

「意外に個性的な女性になるかも知れへんな」

「社長、その個性ってどういう意味ですか」

「味のあるというか、人には無い特徴、魅力、珍しい、マ〜そんな感じかな」

「よ〜わかりませんわ」

すると郁夫がすかさず言った「お前が女に生まれ変わってもブスという事や」

「何やて、ひどいな、寄ってたかって俺の事を不細工やなんて」

「信雄、誰も君が面倒いとか言ってない、君には愛嬌という人を和ます顔をしてると言うてるんや、これは福顔といってなかなか誰もが持てるもんと違うんやで、だからもっと自信を持たんと、な」

「何や、わかったような、わからんような、マ〜社長がそう言うてくれはるんやから、そうしとこ」

「ほんじゃもう一度みんなで乾杯しよか、今日はワシの奢りやからどんどん飲んで、また明日頑張ってもらわんとな」

「は〜い」

 

そして店を出て会社へ到着するやいなや郁夫が

「社長、ちょっとお話しいいですか」と言った

「どうかしたんか、ま〜事務所で聞こか」

「あの〜この前の件ですけどね」

「あ〜紀男君の事か」

「はい」

「どうやった」

「今日同級生の美嘉に電話したんです」

「うん」

「そしたらその桐島って子、バツイチでしかも子供がいるんですよ」

「えっ、バツイチ」

「バツイチといっても旦那さん事故で亡くなったそうなんですよ」

「へ〜、それは気の毒な事やな」

「今、彼女は自分の母親と三人で暮らしているそうで・・・だから紀にどう話ししたらえ〜もんかと」

「・・・・・・・・よっしゃ、ワシに任せとき、こんな話はやっぱり本人に正直話たる方がいい、変に遠回しに言ってもし本人がそれに気付いたら余計苦しむやろ」

「そうですね」

「ワシに任せとき、そうや、郁夫、こんな時に言うのも何やけどな、お前、見合いしてみいひんか」

「えっ、藪から棒に、僕がですか」

「そうや、申し分ないえ〜子がおるんや」

「そんなん急にいわれても」

「今すぐにとは言わん、ちょっと待ってや」と社長は預かっていたアルバムを郁夫に見せた

「どうや、綺麗な人やろ」

「わ〜ホンマに綺麗な方ですね」

「この子な、うちの取引先の娘さんなんや、気立もいいし、嫁さんにするならもってこいの人やで」

「そやかて社長、僕みたいな一工場の人間とは釣り合いが取れませんし、ろくにちゃんとした行儀もできませんからね俺は」

「それはそれ、もし見合いして付き合い出すようになってから話たらいいことや、お互い他人同士が一緒に暮らすとなったらあり得る、な、とりあえず考えてみてくれるか」

「社長も大変ですね、紀男の事や俺の事まで」

「そりゃ社長として大事な君らを親から預かってるんやからワシの息子も同然やからな、また嫁さん貰ったら仕事にも一段と身が入るっちゅうもんや」

「わかりました、そしたらちょっと考えさせてもらいます」

「頼むで」

 

 

つづく

 

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男やもめ(7)

2023年02月06日 | Weblog

40になっても今未だ女っ気なしの男やもめ『紀男』

今日もいい天気だ、まだ気温は高いといってもこの前までのようなジメッとした感じは無くなった

これから秋に向かう、そして冬になると今度は工場の中がとても寒くなってくる

そんな時は冷暖房の聞いた職場が羨ましいと思う

でも僕にはそんな事務的な職場より体を使っての力仕事の方が性に合ってる

自分の親父もそうだった、子供の頃、親父が仕事から帰ってきたらその仕事着の匂いがぷ〜んとし、それが親父の匂いだと思ってた

頑固な性格だけれど真面目で正直で、賭け事や女遊びもせず、仕事が終わったら真っ直ぐ家に帰ってきた

それだけならまだいい親父なんだが、酒は浴びる程飲んでおまけに酒癖が超悪い、だから酒の買い置きが無くなったら「酒はないんか」と良く買いに行かされたものだ

 

退院してからまた暫く実家へ帰っていないな〜

最近はもう諦めたんかな〜、電話もかっかてこんようになったし、久々に今度の連休にでも帰ってみようかと紀男は思った

 

事務所

 

「紀男君、徳芝工業へ図面をもらいに行ってきてくれるか、新たな車体部品の製造の依頼や、昼までに渡したいと先方が言うてるからすぐ行って来てくれるか」

「わかりました、そしたらすぐ着替えて・・」

「かまわん、かまわん、もうその格好でもえ〜からすぐ行って」

社長をこんなに急かせるのも珍しい、余程いい注文なんだろうなと僕まで嬉しくなった

「じゃ〜行ってきます」

「頼むで」

 

最近、僕が入社してきた頃に比べ仕事が忙しくなってきたような気がする

これって会社の景気が上がって来たって事なのかな〜と思った

ましてや今年新たに新入社員が3人入ってきたし、給料もほんのわずかだが上がった

もしかして日本の経済が良くなって来たのかな〜と、色々考えてるうちに徳芝工業へ到着

 

あっ、この前来た時は普通の扉だったのに自動ドアに変わっているのに紀男は驚いた

やっぱり日本の経済はここまで来てるんだな〜と感心した

「こんにちは、朝日工業所の者ですが」

「あっ、紀男さん、この前はごちそうさまでした」

「いや〜、あんなの大した事ないですよ、ところでちゃんと帰れました、閉店まで飲んでましたからね」

「はい、二人でタクシーで帰りましたから」

「そうですか、でも本当楽しかったですね」

「え〜」

「良かったらまた」

「はい、ところで今日はどんなご用事で」

「望月さんと言う方から図面を渡したいと連絡があって伺ったんです」

「わかりました、じゃ〜すぐ連絡取りますのでお座りになってお待ちください」

そして桐島は望月に連絡を入れた

暫くして望月が現れ図面を受け取り「早速に見積書を作成してお持ちいたします」と一礼し直ぐに会社に折り返した

 

帰る途中、新規注文の大事な図面を抱えながらも頭の中は彼女の事ばかり

もう一度会いたいな〜、できれば二人だけで、でもあの時は四人だったから良かったけど、もし僕が誘ったら勘違いしてるのでは、と変に思われるかも

もう紀男の頭の中は彼女の事で悶々としていた

その時

「お〜、紀さん、どこへ行くの」と声をかけてきたのは八百屋の勝次郎さん

「なんか浮かれたような感じで歩いていたね」

「えっ、そうですか」

「そうだよ、普段の紀さんとは全く違ってなんか嬉しそうな感じ」

「そうですか、それは勝次郎さんの勘違いですよ」

「そうかな、だったら俺の気のせいかも、まっ、いいか、そうそう、今日いいブリが入ってるよ」

「わかりました、仕事帰りにでも寄らせていただきます」

「そう、じゃ〜待ってるよ」

 

紀男は思った、僕、そんなに浮かれた感じで歩いていたのかな〜

これは僕にとってはもしかして、恋の始まりかもと、空を見上げニヤッと笑った

すると通り掛かりの人が「変な人やね、気色悪いわ〜、おかしいんちゃう」などと言われながら通り過ぎて行った

 

さ〜仕事中や、大事な品物を預かってるん、もっとシャキッとしないとと自分に言い聞かせ急いで会社へと向かった

 

「戻りました」

「あ〜、お疲れさん」

「社長、これが図面です、それで望月さんが1週間ぐらいで見積をもらえれば、と言っておられました」

「1週間か、ちょっとキツイな〜、山口どないや、できそうか」

山口は渡された図面に目を通し

「何とかやってみますわ」と

「できるか、じゃ〜頼むで」

「はい」

 

「そうや、紀男君、ちょっと話があるんや、ちょっと来てくれるか」

「は〜」

「この前の話ししてた件やけどな」

「話し」

「あの見合いの話やがな、考えてくれたか、今日またな、前島さんからどうなったかと電話があってな、取り敢えず今日でも本人に聞いてみますと言うてしもたんや、紀男君どうや、考えてくれたか」

紀男は困った、社長が僕の為に世話しようとしてくれてるのに、その気持ちを押し留めようとするもう一人の自分にほのかに恋を抱く女の子が現れたと、社長にどう正直に言えばいいのか迷った

「気に入らんか」

「いえ、そんな滅相もないです、ましてや僕には勿体無い人です」

「それやったらな、取り敢えず一度会うてみて、もしどうしてもあかんと思うなら断ったらいいんや、相性というもんもあるしな」

「社長」

「何や」

「あの〜」

「何や」

「実は・・・」

「はっきりいいな」

「実は、僕、好きな人がいるんです」

「えっ、好きな人、恋人って事」

「いえ、まだそんなんじゃないんです」

「そんなんじゃ無いって、どういう事」

「話せばちょっと長くなるんですが・・」

「ま〜それは別にいいけど、もしかして片思いって事か」

「そんなところです」

「何や、それでその片思いの子ってどんな人なんや」

 

そして紀男は初めて見た時から最近出会った話などをした

「ふ〜ん、でその桐島さんという方には彼氏とかは」

紀男は俯き加減で頭をかきながら

「まだそこまでは〜、緊張していて郁夫らの話を聞いていただけなんで」

「それじゃ一言も会話せずただボ〜と見惚れてただけって事」

「は〜、ま〜そんな感じです」

「それやったら海のもんとも山のもんとも分かれへん訳や、それやったら郁夫に言うてもう一度会ってみたらどうやねん」

「は〜」

「なんかジレったいな〜、そしたらわしが郁夫にもう一度会う機会を作れてっやっくれと言うたろか」

「は〜」

「わかった、わしに任せ時、今日仕事が終わったら郁夫に話ししたろ」

「すんません」

「ま〜紀男君は口下手でおとなしいし、なかなか自分が思とっても口に出さんところがあるからな〜、ま〜それが紀男君のえ〜ところかもしれんけど、女性にしたら逆にそこが男らしくないとか、頼りにならへんと、思われるからな」

「そこは自分でもよ〜わかってるんですが、何でか・・・」

「わかった、郁夫とちょっと話してみるけど、全部言うてもかまわんな」

「あっ、はい」

「よっしゃ」

 

そして終業のサイレンが鳴り従業員達は持ち場を片付け順番にタイムカード押して帰って行った

社長はそれを見送りながら「ご苦労さん、また明日頼むで」とみんなに声をかけた

そして郁夫が「お疲れさんで〜す」と事務所に入って来た時

「郁夫、ちょっと」と社長が声をかけた

「は〜い、なんでしょうか」

「ま〜ちょっとここに座ってんか」

「はい」

「あのな〜、紀男君のことやけどな」

「紀が何かあったんですか」

「いや他でもないねんけどな、ここだけの話やで」

「は〜」

「紀男君な、好き女の子ができたそうなんや」

「えっ、紀に、ですか、へ〜、どこの子ですか」

「それがやな、郁夫も知っている桐島って女の子や」

「桐島」

「桐島ね〜」

「それ誰です」

「知らんのかいな」

「う〜ん、ちょっと記憶に・・」

「確かこの前紀男君らと一緒に飲み行ったんやろ」

「は〜、いきましたけど・・」

「その時一緒にいた・・」

「あっ、はいはいその子ね、わかりました、僕の同級生の友達ですわ、へ〜やっぱりな」

「やっぱりって」

「社長ね、僕と紀、そして同級生の美嘉という子と、その友達の確か桐島早苗とかいう女の子と4人でいつも行くよっちゃんで飲んだんですよ、二人は後から来たんですがね、それまでよく喋ってた紀が急に喋らなくなってね、なんかモゾモゾしているだけやたんですよ、やっぱりそうやったんですね、僕もなんか様子がおかしいな〜とは思ってたんです」

「映画館で見た時にビビビと来たらしいわ、2回目は得意先の徳芝工業でビビビ、そして君らと行った時に3回目のビビビや」

「それやったらその時に、この前お会いしましたね〜とか言ってキッカケを作ったらよかったのにな〜」

「郁夫、そんな事紀男君にできると思うか、ましてや口下手でおとなしい性格やで」

「それもそ〜ですね」

「だからこうしてお前を呼んだんやがな」

「もしかして社長、俺に愛のキューピットになれっていうんですか」

「そうや、もう一度その飲み会をやってやな、お前がうまくフォローしてやって欲しいんや」

「ま〜それはいいですけどね、でもその桐島さんですか、どう言うかわかりませんよ」

「そこはお前の同級生の美嘉さか、なんやったら正直に言うてやな、四人で集まれるよう頼んでもろたらえ〜がな」

「ま〜社長がそこまで紀の事考えてくれてはるんやからね、ほな、やってみますわ」

「郁夫、すまんな」

「任せといてください」

 

つづく

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男やもめ(6)

2023年02月05日 | Weblog

40になっても今未だ女っ気なしの男やもめ『紀男』

朝日鉄工所

 

数日後、朝出勤すると社長が「紀男君、お父さんの具合どうだった」と心配そうに声をかけてくれた

「はい、お陰様で何とか無事に退院する事ができました、ご心配をおかけしてすいませんでした」

「あ〜、それは良かった、また何かあったらいつでも相談しなさいよ」

「ありがとうございます」

そして紀男はいつものように持ち場に行った

 

それから仕事が終わって郁夫が声をかけてきた

「紀、明日休みだから久しぶりによっちゃんへ飲みに行かないか」と誘ってきた

色んな事もあったし暫く飲みにも行ってなかったので「そうだな〜、久しぶりに行こうかな」と快諾した

「じゃ〜先に銭湯へ行ってその帰りにでも行こうか」

「そうだな」

 

居酒屋『よっちゃん』

 

よっちゃんはいつものように常連さんでほぼ満席だったが、前もって予約を入れておいたのでいつも飲んでいる3畳の間を用意してくれていた

「こんばんは」

「いや〜紀さん久しぶりやね」と、よっちゃんこと、善子さんが声をかけてきた

「ほんま、お久しぶりです」

「なんや聞いたらお父さん具合が悪かったそうやね」

「もうそんな話が・・・お陰さんでもう退院しました」

「それは良かったね」

 

「郁夫、お前が話ししたんか」

「ま〜その〜、すまん、それより何飲む」

「ま〜って、そしたら生にするわ」

「了解、よっちゃん、生二つとおでんの盛り合わせお願いしま〜す」

「あいよ」

「しかしこうして二人で飲むのもほんま久しぶりやな」

「現金なやつやなお前は」

「それより今日な〜友達呼んでるんや」

「友達」

「そう、学生時代の友達や、町で偶然会うてな、良かったら飲みに行かへんか、と誘ったら友達も連れって行ってもいい、と言うからえ〜よって言うたんや」

「誘ったって、そんなん聞いてないで」

「ま〜それは別にいいやんか、たくさんで飲む方が楽しいしな、ほら言うてたら来たわ、こっちこっち」

「こんばんわ、あら、お友達、いいの」

「かまへん、かまへん、紀、この子が同級生の美嘉ちゃん、そして君は」と、郁夫が聞いた時、紀男は「あっ」と思った

確かこの子、映画館で見た女の子やと、紀男は急に緊張と共に鼓動が激しく鳴った

「早苗といいます」

「早苗ちゃんね、ま〜どうぞどうぞ、そしたら君ら何飲む」

「じゃ〜私はビール、早苗ちゃんは」

「私もビールを頂きます」

早速、郁夫はよっちゃんにビールを頼んだ

「そしたらせっかくやから自己紹介といこか、俺郁夫40歳独身、この近くの朝日鉄工所に勤めてるんや、そしてこいつは俺の同僚で紀男、なんかお見合いみたいやな」

「あははははは」

「じゃ〜私は郁夫君の同級生で山﨑美嘉です、徳芝工業で事務をやってます、この子も私と同じで一緒に事務をやってる桐島早苗ちゃん」

「よろしくお願いします」

「じゃ〜これかあらもよろしくって事で乾杯しよか」

「乾杯」

「美嘉ちゃん何年ぶりや」

「う〜ん、10年ぶりぐらいちゃうかな」

「もうそんなになるかな〜、ところで美嘉ちゃんはもうお嫁に行ったんか」

「何よ急に、ほら指を見たらわかるでしょ、なんか相変わらずといっていいのかデリカシーにかけるね郁夫君は」

「俺って何、そのデリカって、紀男、お前もそう思うか」と尋ねると

紀男は下を向いてモジモジとしながら取分け皿に乗せたハンペンを箸で細かく切り分けていた

「おい、紀男、お前何してんねん、そんな細かく切ったら旨ないやろ、あっ、お前緊張してるんか、さっきからずっと黙って」

「郁夫君、私たち初対面でしょ、共通の話題がないから仕方ないわよ、ね、紀男さん」

「ま〜・・・・・・」

「それもそうやな、桐島さんも同じやもんね、ところで桐島さんて独身」

「郁夫君、また〜、初めての女の子に何でそんなそんな事聞く、ほんまデリカシーってもんがないのね」

「だから何や、そのデリカって」

「心配り」

「心配り、俺にはそのデリカってないか」

「だから今だに独身なのよ」

「何やその言い方、角があるな」

「だってそうでしょ、初めて会った女性に独身かって聞くなんて失礼と思わない」

「・・・・・・・」

「ま〜ま〜、そんな喧嘩腰で言わなくても、せっかく集まったんだから楽しく飲もうよ、ほら郁夫も、な」

「うん」

「さ〜もう一度、みんなで乾杯しよう」

それから会社での出来事や趣味の話し、友達の話しなどして楽しい時間があっという間に過ぎていった

そしてまたいつか一緒に集まろうと別れた

 

二人はだいぶ酔っての千鳥足

「紀男、どうだった、楽しかったか」

「あ〜久しぶりに楽しかったよ、家の事で色々あったからさ、もやもやしてたんだ、でもそんな気持ちも吹っ飛んだよ」

「そうだ、紀、お前さ、なんか桐島さんをかなり意識してたんちゃうか、何せ俺は鈍感でデリカが無い男やからな」

「俺が」

「だったらお前は美嘉さんに対してはどうなんだ」

「美嘉、あいつにはもう決まった男がいるんだよ、真一って男前で頭が良くってスポーツ万能、徳芝工業の息子さ」

「あの得意先の、へ〜、だったら将来は社長夫人か、凄いな」

「美嘉も立派な家の娘でさ、お互いそれで丁度釣り合いが取れてるんよ」

「もしかしてお前、美嘉さんの事」

「ないない、俺ってさっきも言ったけど鈍感でデリカが無いからな、さ〜帰ってもうちょっと飲もうや」と二人は懐かしい坂本九の”上を向いて歩こう”を歌いながら歩いた

 

翌日 

目覚ましのけたたましいベルの音で紀男は起こされた

昨日はだいぶ飲み過ぎたので頭が割れるように痛い、そして日本酒の飲み過ぎで喉がかっらからだ

そんな中、今日はよっちゃんが定休日なので今から4人分の弁当を用意しなければならない

取り敢えず材料は前もって準備していたので、先にご飯を炊いて、それからおかずに取り掛かる

今日の献立は卵焼き、ほうれん草の胡麻和え御浸し、ちょっと可愛くウィンナーを炒めマカロニサラダを少々、最後にご飯の横に大根の漬物を添えてお子様弁当の出来上がり

後は自分の支度を済ませて出勤

さ〜今日も頑張ろう

 

 

つづく

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男やもめ(5)

2023年02月04日 | Weblog

40になっても今未だ女っ気なしの男やもめ『紀男』

終業のサイレンがなった、そして今日の仕事が終わり明日は定休

社宅に戻った紀男は明日の休み久しぶりに映画でも観たいと思い新聞の映画情報欄を見ていたらマイケル・J・フォックス主演の「魔天路はバラ色に」が今放映中となっていたので明日1番の放映で見に行くことにした

子供の頃から田舎暮らしだったので大きくなったら都会に出て一旗上げたいな〜と思ってたけど現実は大違い

この映画のように片田舎から片道切符と困った時の知り合いの電話番号だけを親からもらい大都会へ行く、しかし現実は厳しく就職先では全てNO,そんな時親から預かった知り合い先へ電話を掛け要約郵便係の仕事を与えられる、そこからがこの映画の摩天楼、アメリカンドリームを掴む話し、現実はそう映画のようにはいかないが、人それぞれ価値観は違えど今こうして就職もできて僕は僕なりに満足している

映画のFINと共にエンドロールを最後まで見て出た時、何気なしにロビーを見渡した、すると待合の長椅子に女性が座っていた

僕はその女性に対して何かわからないが一瞬釘付けになった

そのうち胸の鼓動が緩やかに大きく響くような感じになり熱くなってきた

どうしたんだろうと自問、もしかしてこれって恋というものなのだろうかと暫く女性を眺めていたが、女性はゆっくりと立ち上がり回転扉を押して去って行った

暫くして紀男も要約我に帰り映画館を後にした

 

そして帰り道、いつもの八百屋へおかずの材料を買いに行った

「いらっしゃい、紀さん」

「あ〜、希美ちゃんこんにちは、今日はお手伝い?」

「そう、最後のご奉公かな」

「北海道へはいつ行くの」

「来週よ」

「お父さんも寂しくなるね」

「そんな事はないない、早く行っちまえと言うんですよ」

「希美ちゃん、それは逆、本当は寂しいけれど意地を張ってるだけだよ、男って者はね、そんなメソメソした所を見せたくないから強がってるだけ」

「そうかしら」

「紀さん、もうそんな話いいよ、ところで今日会社休みだったんだろう、天気もいいしデートでもしてたんじゃないの」

「前にも言いましたが、そんな人いないです」

「希美、誰かいい人いないか」

「もう勝次郎さん、僕もそんな話いいですから、それより今日のおすすめは何ですか」

「そうだな、商売、商売、今日はね、このイワシなんかどう、確か同僚の弁当も作ってあげてるとか言ってたでしょ、確か明日よっちゃん休みだし、これで蒲焼弁当なんてどう、旨いよ、それと今日は大根が安いからこれもどうかな」

「じゃあそのイワシと大根と豚肉を頂きます」

「イワシは開いておくね、いつもありがとね」

紀男は社宅に戻るとイワシは弱い魚なので早速下地の準備に取りかかった

 

次に日の朝事務所にタイムカードを押しに行ったら社長から「紀男君、この見積書を徳芝工業へ届けてくれへんか」と頼まれ普段あまり着慣れないスーツに着替えその会社へと向かった

この暑い時期のスーツにネクタイ姿は超暑い、結局徳芝工業へ着いた時にはクーラーは効いてるもののワイシャツの襟は汗で濡れ額からの汗は暫くおさまらなかった

 

受付で要件を言い担当者を呼んでもらった

暫くして担当者が「朝日工業所様、大変お待たせいたしました、どうぞこちらへ」と案内された時

一瞬「あれ〜、どこかで見たような方だな」と思ったが、初めての会社訪問だったのでそれ以上は詮索す事はなく、発注担当者が待つ応接室へと案内された

「いや〜どうも、わざわざお越し頂かなくても郵送して貰えばよかったのに」

「いえいえ、ご注文頂いてるのは我が社の方なので直接お届けするようにと社長から頼まれまして」

「ま〜どうぞお掛けください」

するとさっきの女性がお茶を入れて持ってきた、その時ハッと思った、やはり映画館で見た女性だと

女性は先に私の前にお茶を置き、そして担当者の前に置き退室して行った

「どうぞ」と担当者に勧められるもその彼女の事が気になり話半分、あとはうわの空

会社を出てからも何故か彼女の事が頭から離れない

やっぱりこれって恋、片想いというものだろうと思いながら会社へ戻った

 

「社長、渡してきました」

「それはご苦労さん」

「それで納期をもう少し早くならないかと言われたので改めて連絡しますと言ってきましたが、それで良かったでしょうか」

「うん、それでいい、後はまた私から電話入れとくよ、しかし暑かっただろう、お茶でも飲んで涼んで行きなさい」

紀男は一旦社宅に戻って作業着に着替えながらまた彼女の事を思い出した

 

それから数日経ったある日

事務員の清水さんから「紀男さん、電報がきたよ」と手渡され、すぐ開いてみると「チチ キトク スグカエレ」と印字されていた

紀男は一瞬電報に目が釘付けとなり呆然としていた所へ社長が現れ「紀男君、どうかしたのか」と言われ、我に帰ると共に事情を話した

社長は「紀男君、すぐ支度をして帰りなさい」と、わざわざタクシーまで手配してくれた

「落ち着くまで暫く休んでもいいからな」

「ありがとうございます」とタクシーに乗り込んだ紀男はすぐ携帯で実家へ電話をかけた

すると親戚の叔母さんが出たので「親父どうなんですか」と聞いた

「急に何だか苦しくなってな病院へ運ばれたんよ、お母ちゃんも妹さんも付いて行ってるわ」

「そうですか、それでどこの病院ですか」

「嵯峨之原病院よ」

「叔母ちゃんありがとう」と言って、運転手さんに病院へ行ってもらうよう頼んだ

 

病院へ着くやすぐに救急搬送で運ばれた処置室へと走ったら、既に母と妹が心配そうに経過を見守っていた

「母さん、お父さんはどうなんや」

「心筋梗塞らしいのよ、朝起きた時は普通だったんだけどね、ご飯の後散歩に行ってくると出かける矢先に玄関先でバッタンて音がしたんで行ってみたらお父さんが苦しそうに倒れていたんよ、それで慌てて救急車を呼んだんよ、何せこんな事って初めてだから私もびっくり」

「それでどうなんや」

「今治療中だからわからないけど、お医者さんが念の為身内の方には知らせておいた方がいいと言われてね」

「前からそんな兆候ってあったん?」

「お父さんは病院嫌いだったからね、多少具合が悪くても市販の薬だけで治してきた頑固な人だからね」

そんな話をしている時、処置室の手術中のランプが消え執刀医がやってきた

「先生、どうでした」

「何とか一命は取り留めましたがまだ油断はできませんね」

「ありがとうございます」

「それより皆さんもお疲れでしょう、後は私達が対応しますので今日はこのままお帰りになってゆっくり休んでください、また何かあったらこちらから連絡を差し上げますので」

「それではよろしくお願いします」と紀男らは病院を後にした

 

つづく

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男やもめ(4)

2023年02月03日 | Weblog

40になっても今未だ女っ気なしの男やもめ『紀男』

八百屋

「こんばんは」

「お〜紀さん、いらっしゃい、風呂の帰りかい」

「はい」

「今日も暑かったね」

「そうですね」

「今日は何にする?」

「実はね、変な安請け合いをしちゃってね」

「安請け合い」

「そう、同僚の弁当3人前を作ると約束してしまったんですよ」

「へ〜弁当をね」

「ただ毎日じゃないんでよかたんですけど、週2回は作るんです」

「そりゃ大変だね、コンビニ弁当とかではダメなのかい」

「それは後で気がついたんですよ」

「そりゃ参ったね、じゃ〜これから週2日の弁当屋さんだね」

「ま〜そんな所です、しかも早速明日がその弁当の日なんです、なんか良い物ないですか」

「そうだな〜、紀さんとこは鉄工所だから結構汗もかくし体力も必要だろう」

「ま〜そうですね」

「だったらさ、まとめてできるおかずとして、唐揚げなんてどうかな、男の人でまず嫌いだという人はいないと思うよ」

「そうですね、それにキャベツを多めに刻んでおけばいいかも」

「いいね、いいね、それと冷蔵保存できるおかずの作り置きをやってたら少しは手間も省けると思うよ」

「じゃ〜今日はこの鳥の胸肉とじゃがいもとキャベツを下さい」

「へい、毎度」

 

 

前島家

 

「あなた」

「何だね」

「洋子のお見合いの件どうなりましたの」

「それがだね、もうしばらく考えさせて欲しいと言ってるんだよ、洋子が何か言ってるのか」

「言ってませんけど相手の方ってどんな方なのかな〜と思って」

「言ってなかったかな」

「聞いてませんわよ私」

「朝日鉄工所の方だよ」

「朝日さんといえば確か、貴方がいつもおしゃってらっしゃる大変お世話になった方ですよね」

「そうだ」

「じゃ〜洋子のお見合い相手というのはそこのご子息さんって事」

「朝日さんには娘さんはいるけど息子さんはいないよ」

「じゃあ一体誰なんですか、まさかそこの従業員さんって事じゃないわよね」

「その従業員だ」

「えっ、従業員、どうして洋子の相手が従業員なんですか」

「ま〜ま〜落ち着きなさい」

「落ち着いてなんかいられませんわ、その縁談お断りになって、もし貴方が言わないなら私が先方へ行ってお断りして参りますわ」

「どうして従業員じゃダメなんだ」

「家柄というか釣り合いが取れませんわ」

「なんて事を言うんだお前は」

「だってそうじゃありませんか、うちは言っても前島電機、あちらは朝日鉄工所という中小の会社でしょ、もし縁談となれば世間の笑い物ですよ」

「バカもん、なんて事を言うんだお前は、前にも言ったが今こうして前島電機があるのも朝日さんのお陰なんだよ、だから娘をやるとは全くお角違いも甚だしい、そんなに人を見下げたような言い方はやめなさい」

「だって洋子が可哀想だと思いませんか、要約お嫁に行く気になっているのによりによって従業員だなんて、私は絶対反対ですからね」

「もういい」

前島は部屋と庭の間の廊下に座り、洋子が1歳の時に植えたエゴノキを眺めながらタバコに火をつけた

「あれから31年か、早いものだな〜」と、物思いにふけった

 

 

社宅201号室

 

朝5時にセットした目覚ましが鳴る前に紀男は既に起きて、せっせと弁当作りに励んでいる

まずは鳥胸肉を食べやすい大きさに切り味付けと薄力粉をまぶし熱い油に投入

ジュワ〜という音と共に鶏肉が泳ぐ

しばらくして取り上げ次はキャベツを細く切って特製ドレッシングをかけ唐揚げの横に添える

もう一品はポテトサラダ、これは昨日の晩飯のおかずを多めに作っておいた物で、あとはご飯が炊け上がったら詰めて出来上がり

容器は彼らに好みの弁当箱を100均で準備させたものだ、これで3人分で1500円

安いのか高いのか、それともどこまで続くのか、いづれにしても僕の負担が一番大きいだろう

 

朝のサイレンと共にいつものように仕事が始まった

今日も朝から既に28度を超えている

扇風機はフル回転しているが生暖かいだけで、既に額や首周り、そして背中も汗が流れ出している

昼までに何倍の冷茶を口にする事だろう、既にキンキンに冷えていた麦茶までがぬるくなっている

 

しばらくすると船村造船のトラックが加工品の集配にやってきた

「こんにちは、船村造船です、注文していた部品を頂きに参りました」

「あ、ど〜も、いつもありがとうございます、こちらの木枠で囲ってるのがそうです」

「それじゃ頂いていきますね」

「ご苦労様です、ところで船村社長は元気にしてはりますか」

「え〜元気ですよ、今日もこれだけ暑いと言うのに朝から組合のゴルフ・コンペに行ってはりますわ」

「そら達者やな、よう儲かっているという証拠や、ほなあんたらも気い付けて帰ってよ」

「ありがとうございます」

 

昼のサイレンがウ〜ンと鳴った

いつものように作業場の従業員達が順番に洗面所へと向かい、上着とシャツを脱ぎ石鹸で手と顔を洗う

それが終わったら待ちに待った昼食の時間だ

弁当を持って来た者は事務所の横にある狭い会議室で食べる、でも狭いながらもクーラーがあるのでこの時だけは天国の瞬間だ

そして紀男は今朝早起きして作った弁当を郁夫らに配った

「わ〜めっちゃ美味しそう」

「お〜、俺唐揚げ好きやねん」

「ほんまやうまそ〜」

その状況を見ていた従業員の一人が「何でお前ら今日は弁当なんや、いつもよっちゃんとこで食べてたんちゃうんか」と聞いてきた

「そうなんやけどな、ところがよっちゃんが休みの時にはちょっと離れたコンビニまで行くのもこの時期暑いやろ、だから紀に作ってって頼んだんや」

「俺なんかいつも出勤前にコンビニによってから出社してるんや、それやったら俺も紀男君に頼もかな」

「じゃ〜私も頼んじゃおうかな」

「ちょっ、ちょっと待ってえな」

「紀男さん、3個作るのも5個作るのも手間は一緒でしょ」

「それはそうかも知れへんけど」

紀男は作ってやりたいのは山々だけれど、もし自分のを含め6食ともなれば1台の炊飯器ではご飯が炊けないし

買ってきた食材の保存のための冷蔵庫も小さすぎるので絶対無理だと思った

「ところで郁夫、その弁当いくらで作ってもらってんねん」

「500円や、ただし途中キャンセルしたら罰金で1,000円取られんねん」

「500円とはちょっと高いな〜、コンビニなら350円からでもあるからな〜」

「そうね、コンビニだったら種類もたくさんあるしね、私は今度にするわ」

「じゃ〜俺も今まで通りコンビニ弁当でいいか」

紀男は取り敢えず良かったと胸を撫で下ろした

そんな涼しい中での唯一楽しい昼食気分も始業のサイレンと共に現実に戻された

 

つづく

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IOCバッハ、オリンピック

2023年02月02日 | Weblog

今、ウクライナ・ロシア・ミャンマー他、世界がややこしい時にIOCがロシア・ベラルーシのオリンピック参加を検討している話が浮上

開催地はフランス、西側諸国のメンバー

 

オリンピック、いわゆる五輪憲章には、人種・宗教・政治・性別など差別なく誰もが参加できるものとなっているようだが果たしてどうなんだろう

個人・グループといっても国の国旗を背負って競うスポーツ

いま戦争中の国や国内で争い事が起こっているそんな国が、平和の祭典でもあるオリンピックの開催期間中は争い事を一旦中止にして参加選手を応援しようなんてちゃんちゃらおかしいと思う

政治と切り離すという憲章とは一体どういう意味なのか

もし、選手として戦地に行って人を殺しても国同士の争い事なので個人には関係ないと言うのだろうか

そんな国もオリンピックの時は神のご意志によって参加を許すとでも五輪憲章に記載されているのだろうか

私が思うには、選手としては開催に合わせ一生懸命その目標に向かって努力しているのは良くわかるが、逆に私達には関係ない事だと考えるのもどうかな

この両国の戦争に伴い多くの国が直接ではないが間接的に深く関わっている

これを平和と呼ぶのだろうか

またオリンピック開催にはかなり大きなお金が動く

これも問題となっている

4年に一回、必ず開催しなければならないものなのだろうか

また気候変動によって世界が今後どうなってしまうのか

オリンピックがどうのこうのよりもっと地球全体の事を考えて行かなければならない時に来ているのでは

 

 

 

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