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今日の筆洗

2016年04月12日 | Weblog

 軍拡や核兵器を痛烈に風刺した『猫のゆりかご』などの米作家カート・ヴォネガットさんは晩年、人間の振るまいにあきれ果て、半ばサジを投げていたのかもしれない。最後のエッセー集『国のない男』の中で悲観的な見方をしている▼<そう、神ではなく悪魔がこの地球を創造し、「ろくでもない人類」というやつを創造したのだ>。疑うのならと、こう続けている。<朝刊を読めばいい。どの新聞でもいい。いつの新聞でもいい>▼否定はしにくい。テロ、紛争、殺人。新聞を静かに閉じ、ため息をつきたくなる日もある。されど、被爆地・広島を訪れた経験もあるヴォネガットさんも昨日はほほ笑んでくれたか。原爆を投下した米国のケリー国務長官が広島市の平和記念公園、原爆ドームを初めて訪問した▼おわびや被爆した方と言葉をかわすことはなかった。それでもである。原爆投下から七十一年たって、足を踏んだ側の人間が、踏まれて傷つき今なお痛み続ける相手の足を直接見たのである▼「核兵器なき世界」に向けて小さな歯車が回る「カチャ」という音がかすかに聞こえた気がした。そう信じたい▼オバマ大統領の広島訪問もささやかれる。大統領退任前の「修学旅行」ではなく核廃絶という人類全体の「旅行」のスタートとしたい。そうでなければ、またあの作家から「悪魔」の話を持ち出されることになる。

 

カート・ヴォネガット(Kurt Vonnegut、1922年11月11日 - 2007年4月11日)は、アメリカ小説家エッセイスト劇作家。1976年の作品『スラップスティック』より以前の作品はカート・ヴォネガット・ジュニアKurt Vonnegut Jr.)の名で出版されていた。

 

人類に対する絶望と皮肉と愛情を、シニカルかつユーモラスな筆致で描き人気を博した。現代アメリカ文学を代表する作家の一人とみなされている。代表作には『タイタンの妖女』、『猫のゆりかご』(1963年)、『スローターハウス5』(1969年)、『チャンピオンたちの朝食』(1973年)などがある。ヒューマニストとして知られており、American Humanist Association の名誉会長も務めたことがある。20世紀アメリカ人作家の中で最も広く影響を与えた人物とされている[2]