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今日の筆洗

2016年04月03日 | Weblog

 国家の代表たちはこんな条約に署名したそうだ。<国境はもはや存在しない><軍隊、銃砲や爆弾はすべてなくす。戦争はもはやおこなわれない>-▼現実の条約ならば良かったが、ドイツ人作家ケストナーの『動物会議』(高橋健二訳、一九四九年)である。戦争をやめようとしない人間に対し、業を煮やした世界中の動物たちが国際会議を開催するというおはなし▼ワシントンでの核安保サミットが閉幕した。二〇〇九年四月、「核兵器なき世界」を訴えたオバマ米大統領のプラハ演説を受けて、発足した会議である。今回が最後となる▼核テロ防止で国際協調を図る。その合意は評価しよう。一方で、核保有国の核弾頭を削減する核軍縮の方は心もとない。一〇年、米国とロシアは戦略核弾頭を減らす新STARTでは合意したとはいえ、それ以上の前進はない。ロシアはこのサミットを欠席した。核軍縮の機運そのものが失われてはいまいか。「核兵器なき世界」なき世界を憂う▼オバマ大統領を夢想家と笑うのは簡単だが、夢想家さえいなくなる世界の方を心配する。次期米大統領の有力候補の一人は日本などの核武装容認論さえ口にする▼さぞや、いら立つ『動物会議』であろう。鳥羽水族館のダイオウグソクムシが息絶えた。一二年から絶食中だった。ケストナーなら人間世界へのハンガーストライキと書いただろう。

ダイオウグソクムシ

 

国内初の脱皮確認 ダイオウグソクムシが死ぬ