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今日の筆洗

2016年03月21日 | Weblog

 ある国の首相が突然、大切な会議をすっぽかした。理由はよく分からぬが、家庭の事情が、絡んでいたようで、首相は記者会見でこう語った。「首相の仕事は大切だが、一時的な役割だ。でも父親としての仕事は一生続く」▼日本の首相ならば世間はどう反応するか。擁護の声も上がるだろうが、批判の方が強いかもしれぬ。場合によっては退陣に追い込まれる可能性も否定できまい▼この首相とは、デンマークのロッケ・ラスムセン首相。二〇一〇年の実話である。さて、どうなったか。家庭を大切にしていると、首相の好感度は上向いたそうだ。デンマークとはそういう国なのだろう▼国連が世界で最も幸福な国に同国を選んだ。日本は遠く及ばぬ五十三位である。首相の逸話といい、われわれとは異なる価値観を持っているのだろう▼同国出身のお方の本によると国民の傾向として富豪や他人の上に立つことにあまり関心がないそうだ。領土を奪われていった歴史とも関係があり、常に現実的で高望みしない精神性ができたという。現状への感謝。大切なのは自分らしい生き方や家族、信頼できる人間関係とある▼カネ。成長。出世。勝利。戦後日本のキーワードだが、こだわりすぎたか。これだと幸せを感じられるのは勝者だけである。日本のランクが低いと文句をいう前に「幸せってなんだっけ」をもう一度考えてみたい。