相互依存( 縁起)

そもそも、私の体を構成している原子や分子は、毎日入れ替わっている。

私の肺に迷い込み、呼吸によって私の細胞中のどこかの分子に結合し、
やがて新陳代謝とともに排出されていった酸素にとっては、
私というシステムに特別の意味はない。

中略

別の言葉でいえば、私の体をつくっている分子は、
私という関係性のネットワークにからめとられ、しばらくその中で踊り、
やがてその関係性から解放されて世界中に散らばっていく。

茂木健一郎『生きて死ぬ私』

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すべての物事は、独立して存在することが出来ません。
すべては、何かに依存する事で初めて存在します。

たとえば物質は、それを構成する分子に由来し、
分子は、その前に構成していた何物かから、やってきます。

常に入れ替わり、固定されることはない。

空観というのは、そちらに意識の焦点をうつすことだと
今のところ、思っています。

＊＊＊

けれどそれは、無機質で冷たい、頼りない事ではないと。

私という存在が、分子や原子とは何の関係もない、
という事ではないと。

私の体は、常に入れ替わる分子や原子によって、
構成させてもらっている。
存在させてもらっているのだと。

だからこそ人は、
意図せずとも、すべてと関係しているのだと。