新・日曜炭焼き人の日記

炭遊舎のホームページで書いていた「日曜炭焼き人の日記」を引きついで書いていきます。

アインシュタインと知恩院の鐘

2020年11月13日 | 日記

 京都、知恩院を訪れたアインシュタインが知恩院の鐘をまえにしてなにやら計算をはじめ、その後、鐘の中へ自分の頭と顔を突っ込み、「さあ、鐘をついてくれ」といった。これは10年近くまえ、知恩院の和尚さんから聞いた話だ。
 鐘をつくとそのなかの空間にある空気がかなり大きく振動し、波打つ。アインシュタインが唱える一般相対性理論は、地球も太陽系も含めて宇宙全体がこのようなやわらかな流動体のなかに存在していると主張する。撞かれた鐘の中の空間は、まさにこの広大な宇宙の縮小模型であり、これを何兆倍にも拡大したものが実際の宇宙空間だ、とアインシュタインは考えたのだろう。
 カルロ・ロヴェッリ「すごい物理学入門」は、分かりやすいことばで易しく語りかけてくれる。原題はイタリア語で「7つの短い物理学講義」、その第1講がアインシュタインの一般相対性理論の説明になっている。門外漢の私でもなんとか理解できそうな気にさせてくれる。もう3度も読み直した。
 理系の本にしては珍しく、イタリアで発売されて1年で30万部を売り上げた、と訳者が「あとがき」で書いている。いま多くの国が版権を取得し、翻訳出版しようとしている。電車のなか、こまぎれの時間を使って楽しく読めた。