9月6日の午前中に行われた富士通長野工場見学会後は、午後1時半から開催された県の「みんなで支える森林づくり県民会議」を傍聴しました。
なぜ傍聴したのかと言えば、大北森林組合の補助金不正受給問題により、二年後に「森林づくり県民税」を更新するかどうかが問われるため、委員構成が変わって第1回の同「県民会議」の議論や反応を確かめたかったからです。
この会議の様子については、翌日7日の信濃毎日新聞の朝刊で「県森林税、3分の1使われず15年度執行4億円余に急減」という見出しで下記の通り報道されました。
【信濃毎日新聞】(9月7日朝刊)
里山での森林整備のため、県民税に1人当たり年間500円を上乗せ徴収している県森林づくり県民税(森林税)の2015年度執行額が、収入(6億6300万円)の約3分の2に当たる4億3900万円にとどまったことが6日、分かった。執行額は、導入初年度を除く09年度以降で最少。徴収した森林税の3分の1が使われなかったことになる。
県林務部が同日、長野市内で開いた森林税活用事業を検証する「みんなで支える森林づくり県民会議」(座長・植木達人信州大農学部教授)の本年度初会合で報告した。積み立てたまま使われていない基金残高は15年度末で前年度比2億2300万円増の3億4200万円となった。
15年度の森林税執行額は、14年度(6億3500万円)と比べ3割余の大幅減。森林税の活用事業は13事業あり、このうち、切った木を山に放置する「切り捨て間伐」への補助の執行額は2億5400万円と前年度比4割余減となった。同部によると、森林整備は切り捨て間伐から、林業事業者が運び出して活用する「搬出間伐」へ移行しており、森林税を活用していない国庫補助事業が充てられているという。
森林所有者が細かく分かれたり、所在不明だったりと間伐に向けた同意が取りづらい箇所が多く残っているとし、同意を得る「集約化」への補助の執行額は7割余減の約900万円だった。
執行額の大幅減について林務部は、15年1月に県が公表した大北森林組合(大町市)の補助金不正受給事件を受け、大北地域などで森林整備が滞ったことも影響したとしている。ただ「原因がしっかりつかめていない」とも説明し、さらに分析を進めるとした。
森林税は村井仁前知事が08〜12年度を課税期間として導入。阿部守一知事が13〜17年度の継続を決めた。県はさらに継続するかは「白紙」(林務部)とし、次回以降のみんなで支える森林づくり県民会議や、県地方税制研究会の意見を聞きながら検討する。
この会では、各委員から「森林税も7~8年目となり課題が出て来ている。」「戦略的な見直しが必要。」「集約化への何らかの対策が必要。」「集約化への対象面積を小さくしたらどうか。」「三期目があるかどうかも吟味しなければならない。」等の意見が出されていました。
私は、この税は、全国的にも森林面積の広い本県にとって、 地球温暖化対策や水資源の確保など森林が果たす多目的機能を維持するためにも必要な制度と考えており、本来は国が果たすべき役割であると思いまいが、国が新たな税制度創設を検討しつつも、現状では里山整備事業まで制度が確立していないことから、全国的にも森林が多い長野県として、この税の果たす役割は大きく、継続すべきと考えています。
でも、大北森林組合の問題は森林組合だけでなく県の対応が組織ぐるみではないかとの不信感や、不正受給した大半は森林づくり県民税による事業であるとの誤解を県民に招いており、継続するには、なぜ継続が必要なのか多くの県民が納得できる根拠や説明が求められます。
そこで、私は今後、大北森林組合問題の真相究明とともに、森林整備をしなければならない里山面積はどれ位あるのか、里山の間伐に必要な集約化が目標に達していない理由の明確化と対策の見通し、担い手に見あった年間の整備面積、切り捨て間伐と搬出間伐の連携、国の補助制度の現状と今後の動向、森林県から林業県を目指す中での税の活用、荒廃した森林の県有林化の検討等々を分析して行きたいと思っています。
また、全国的には平成15年にはじめて税を導入した高知県をはじめとして同様の税を導入しているのは38府県(宮城県は環境税)ありますが、この内既に3期目(1期を5年として)を越えて継続しているのは17県、本年度2期目が終わるため検討中の県が6県、来年度2期目が終わるため今後検討する県が長野県も含め6県となっています。
私は、これらの県についても税の使い方を調査するとともに、特に更新した県については、更新時に当たって見直した点や県民の反応、集約化の取り組みと問題点、国の補助制度との使い分け、税金の使い道が県民に見える取り組み、担い手育成対策等について調査したいと思っています。
この中では、宮城県の「みやぎ環境税」(個人年1,200円)の事業内容と県民反応についても注目したいと思います。
さらに、本県に対しては、これまでの森林づくり県民税の評価や継続の是非、廃止する場合の理由、継続するとした場合の改善点等について、市町村へのアンケートの実施を、当面県に求めて行きたいと思います。
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