高槻成紀のホームページ

「晴行雨筆」の日々から生まれるもの

アンケート結果

2023-08-22 10:44:22 | 最近の論文など
以下のようなアンケートをお願いしました。

アンケート (2023年8月20日)
お名前:(          )
年代(○をする):(20代、30代、40代、50代、60代、70代、80代)
ご住所:小平市、それ以外(        )
このシンポジウムをどうして知りましたか(チラシ、ファイスブック、知人、アサココ、
その他[ 具体的に                         ])
以下を希望する方はメールアドレスをお書きください(          )明瞭に
✔︎をする:今後の連絡をもらいたい( )、会員になる( )(会費なし)

+++++++++++++++
本日の話題について感想・意見を自由にお書きください。

++++++ 前回回答くださった方は記入不要です +++++++++
横断道路(328号線)建設計画があったのを知っていましたか?
(知っていた、知らなかった)
横断道路計画反対の住民投票運動(2012年)があったことを知っていましたが?
(知っていた、知らなかった)
横断道路(328号線)建設計画が進行しているのを知っていましたか?
(知っていた、知らなかった)
横断道路建設に(賛成、反対)
もしつくるとしたら、道路の形状はどうしたらよいと思いますか(平面、地下、高架)

賛成理由(便利になるから、懸案だったから、その他)
 その他の場合:
                                       
反対理由<複数選択可>(国の史跡が破壊されるから、自然が破壊されるから、環境汚染が起きるから、騒音が起きるから、居住地が大変化するから、コミュニティが崩壊するから、その他)
 その他の場合:
                                       
ご協力ありがとうございました。 
玉川上水みどりといきもの会議

+++++++++++++++++++++++++
その回答を集計巣ると次のようになりました。
年代は60代、70代が多く、前回同様、高齢者に偏っていました。

 居住市は大半が小平市で、かなり「小平限定」になりました。道路予定地は小平市ではありますが、この問題は玉川上水全体の問題でもあると思います。

 集会の情報源は「知人から」が多く、広報の工夫が必要だと思いました。


 これまでの経緯についてはほとんどの人がご存じでした。


 道路については大半の人が反対でしたが、一人は条件付き、もう一人は便利になるから賛成という意見で、この集会に参加した意図が不明でした。自由記載はありませんでした。


 今回は道路の形状については議論する余裕がありませんでしたが、アンケートでは地下が良いという人が多い結果でした。


 道路の影響の中では自然への影響が最多でした。


 結果は前回のシンポジウムと共通な部分は合計をし、今後も継続して多人数による意見分布を把握するつもりです。
コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

小平の玉川上水が危ない 2、2023年8月20日

2023-08-20 16:41:51 | その他
学習会「小平の玉川上水が危ない2」の記録

高槻成紀

 2023年8月20日に小平市津田公民館で学習会「小平の玉川上水が危ない2」を開催しました。今回は話題が2つでした。

 最初にリー智子さんから挨拶があり、講演が始まりました。

会場のようす

 福本さんは「遊び場としての雑木林~プレーパーク活動から~」と題して、中央公園東側のどんぐり林で、子供を遊ばせた経験を話されました。

講演する福本さん(加藤さん撮影)

 子供が遊ぶことは体力や考える能力を高めることに重要であることを強調されました。ケガをすることも、小さなケガであれば、そのことによって今後気をつけるようになるなど、その子の成長に役立つという話もありました。また河原に近づけない子に訳を聞くと、石がゴロゴロあるので平坦面のように歩けないからだと話したそうです。一方、林を子供が遊ぶ場所としてみた場合、木登りは子供が好きなので役に立つが、枝が高いと遊びにくいこと、イヌシデは枝が折れにくいので適しているなど話されました。林は密生していると枝が高くなるので、木登りには適さなくなります。孤立木は枝が低く、横に張り出すので木登りに適していますが、林にはそういう木はあまりありません。林業では材木を得ることを目的としますが、子供の遊び場として林を考えるというのは新鮮でした。泥の中で遊ぶ子どもたちや、テントの屋根に溜まった雨を落とすことで遊ぶ子どもたち、あるいは土に穴を掘って喜ぶ子どもたちの写真が印象的でした。
 子供が心身ともに順調に育つためには野外で遊び、少しはケガをしたり、ケンカしたりしながら、失敗を重ねることが不可欠です。それはどこでもそうですが、都会では自然の中で遊ぶ機会は限られます。それが小平の玉川上水沿いでは可能になっており、それに参加できた子供たちは幸せだと思います。そのことを福本さんたち大人も「失敗」を繰り返しながら追求してこられたことは素晴らしいと思います。

 私は「玉川上水の野草の価値」と題して、まず玉川上水花マップを作った時の話をしました。その調査では96区画を分担して、「今月の花」として選んだ植物の有無を調べて、充実したデータが取れて、四季の冊子を作りました。


 今はその発展として「花ごよみ」を調べており、その過程で種子植物だけで500種以上が確認されています。これは非常に豊かであることを意味します。こうした調査を通じて、玉川上水が武蔵野の野草が逃げ込むように生育する「レヒュージア」になっていることがわかりました。林に生育する植物の中には早春の限られた時期に開花し、林が暗くなる時には葉もからせてしまう植物があります。私はそれを「たまゆら草」と呼んだらいいと思います。

林の照度とアマナの開花時期

アマナの暮らし方

 これら豊かな野草について、訪花昆虫の調査をしたり、「玉川上水のオリジナル秋の七草」を選んだことなどを話しました。

玉川上水のオリジナル秋の七草

 ここまでの話が「玉川上水の野草の価値」です。しかしそのような牧歌的な態度ではいられないことになりました。
 前からあった328号線計画が、今年になって具体化するかもしれないということを聞いたのです。そこで、生態学者としてこの貴重な樹林が伐採されることの意味を示すべきだと思いました。

小平328号線と玉川上水の位置関係

 328号線の計画は1963年に立てられ、2013年に国が認可しました。その根拠になった「評価書」の生物関係を見ると、当時盛んに行われた「希少種の検討」が行われています。希少種だけに注目することは多くの生物が繋がりあって生きており、全ての生物をセットとして保護しなければならないとする現代保全生態学の立場からすれば間違いですが、その立場を取るとしても、評価する側からすれば希少種があることは不都合です。評価書には希少種としてキンランやニリンソウなどが挙げられています。そしてこれらは移植すれば良いとしています。しかしキンランは寄生植物であり、菌根菌によって樹木から栄養を得ているので、切り離して移植しても定着は困難であることは植物学が明らかにしています。

キンランの移植の説明図

 またニリンソウはレッドデータにあげられていないから「元々あったとは思えず、植栽したと考えられる」としています。しかし「武蔵野の植物」という本(檜山, 1965)にはニリンソウは武蔵野にあるとされているし、我々の花マップの調査でも開花個体だけでも3分の1ほどの区画で確認されており、この全てが植栽と考えるのは不合理です。

小平市におけるニリンソウの生育状態

 また評価書では、伐採による樹林面積の減少は全体の3%に過ぎず、周りに良い樹林が残るから問題は少ないとも書いてあります。しかし緑地の価値を面積だけで評価することも間違っているし、福本さんが紹介されたように、その場所に人の活動の歴史があることを無視しています。
 このような評価書に基づいて工事が認可されたことは大きな問題です。


 東京都が紹介する工事後の予想図では幅広い道路が玉川上水を横切っています。これを道路側から見れば、便利になることは間違いありません。しかし私はこれを玉川上水の側から見ます。そうするとこの道路がいかに甚大な破壊をするかがわかります。

 思えば、戦後の、我々の親世代から我々を含む日本人は、自然の側から開発を見たことがあるでしょうか。しかしこれからは、そういう見方は正しくないことに気づく人が増えるはずで、すでにその兆しは見られます。もしこの認可に基づいて工事進められたとすると、玉川上水の歴史に汚点を残すと思います。そうなれば、私たちはこれからの世代に失望を残すことになります。私は、それはすべきではないと思います。

++++++++++++++++++++
休憩を挟んで、意見交換に入りました。
 「工事を止められる可能性はあるんですか?」という発言がありました。これに対しては「残念ながらほぼない。関係部署に行って説明を聞いたが、この段階で覆った事例はないと言われた」と答えました。
 行政側の立場がわかるという方から、この工事は100%進められる、東京都は面子をかけて必ず道路をつけるという発言がありました。実際、町田まで開通し、埼玉側も同様だということです。可能性としては「条件闘争」として、できるだけ自然への影響が小さくなることを提言してはどうかと発言されました。そして建設の専門家などを取り込んだネットワークを形成してはどうかとの提案がありました。
 1964年の東京五輪の時に、「環7」の拡幅工事があり、問題なしと説明されたが、工事後は騒音がひどかったという発言もあり、その方は小平の玉川上水で撮影したというコノハズクの写真を持参され紹介されました。

 残念ながら、時間切れのようになりましたが、積極的な発言があり、私たちの今後の活動に有益でした。

++++++++++++++++++
 アンケートの自由記述を読むと、多くの人が2つのことを書いていました。ひとつは花マップなど生物学的に正確なデータが蓄積されていることへの驚きと賞賛です。私は大きな声で主観的な主張をすることよりも、粘り強く事実を積み重ねることが力になると考えているので、そのことが評価されたことを嬉しく思いました。
 もう一つは、行政に明るい方の「道路は100%できます」という言葉へのショックです。そうではあろうと思いながらも、なんとか見直してもらいたいと思っている多くの参加者は、現実を突きつけられた気持ちだったと思います。ただ、その人は「東京都はメンツにかけて道路を通します」と言いました。では東京都のメンツとは実際だれがメンツを潰すことでしょうか。また、そのメンツのために樹木が伐採され、そこに生える野草やそこに住む野鳥などの生き物がいなくなるとすれば、生き物の側から物事を見るようにしてきた者からすると、まったく理不尽としか言いようがありません。

 協力いただいたスタッフの皆様に感謝します。

コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

九州大学福岡演習林のシカの食性

2023-08-11 09:47:37 | 研究
九州大学福岡演習林のシカの食性

高槻成紀
片山歩美(九州大学院農学研究院、環境農学部門)
阿部隼人(九州大学生物資源環境科学府)

 九州のシカの食性は情報が限定的で宮崎県と福岡県での分析例がある。宮崎県の事例は椎葉村にある九州大学の演習林において、2003年前後の胃内容物分析が行われ、グラミノイド(イネ科、カヤツリグサ科)が多かった(矢部ほか, 2007)。ここではシカが増え、植生も変化したので、我々が2022年の12月から糞分析を開始した(こちら)。一方、福岡県での事例は有害鳥獣駆除の胃内容物分析で、場所は県内各所であるが、低地が多いとされており、内容は双子葉草本が多く、夏には落葉樹が、冬には常緑樹が多くなる傾向があった(池田, 2001)。今回、片山氏から九州大学福岡演習林のシカの糞の提供があったので分析することにした。

方法
 調査地は福岡市の東側にある九州大学福岡演習林で、森林とオープンな場所が混在している(図1)。ここでは2009年から2013年にかけてシカが増えたが(壁村ほか, 2018)、植生への影響はさほど強くない段階にある。

図1. 調査地(九州大学福岡演習林)の位置図

 新鮮なシカの糞を10糞塊から10粒づつ採集し、0.5 mm間隔のフルイで水洗し、残留物を光学顕微鏡によりポイント枠法で分析した。

結果
 2月28日のサンプルを分析した結果、常緑広葉樹の葉が19.9%、グラミノイドが11.5%、ササが8.8%などで、葉の合計が42.1%であった(図2)。枯葉(8.6%)はこれには含んでいない。そして稈(イネ科の茎)と繊維がそれぞれ20.5%と22.2%を占めた。つまり葉と支持組織がほぼ半々であった。図2には福岡県全体の1月の胃内容物も示したが、演習林の結果はこれと比べると支持組織が多い。また宮崎演習林の12月の結果と比較すると葉が多く、食糧事情はこれよりはよいと言える。


図2. 福岡演習林のシカの糞組成(左)と比較のための2カ所の冬のシカ食性

 福岡演習林での季節変化(10月まで)を図3に示す。2月には常緑樹の葉が19.9%と比較的多く、繊維(22.2%)と稈(20.5%)もやや多かった。
 4月には常緑広葉樹は19.1%とほぼ同じであったが、繊維が45.8%と非常に多くなった。4月には植物が生育中で、葉はみずみずしい状態であるため、消化率が高く、糞には少量しか出現せず、消化率の低い繊維が相対的に多くなったものと推察される。
 8月になると常緑広葉樹は8.5%に減少し、双子葉植物が7.1%に増加した。このことは供給量として常緑広葉樹が減少したのではなく、落葉広葉樹や草本の双子葉植物の葉が増加したためであろう。一方、稈が56.5%と大幅に増加し、繊維は10.2%に減少した。このことはシカは夏になってイネ科をよく食べるようになり、消化率の低い稈が多く出現したものと考えられる。イネ科の稈は広葉樹の枝などに由来する繊維に比べると緑色であり、栄養価もさほど低くないと考えられるので、葉が少ないとはいえ、食物事情は良くなっていると考えられる。
 10月になると、稈が減って代わりに繊維が増えた。イネ科の葉が硬くなるなどしてアメリ食べなくなり、木本の枝などを食べて繊維が増えたものと思われる。葉全体は8月とあまり変わらず、その内訳は常緑樹とイネ科は減少し、双子葉植物は同程度だった。ササが微量ながら検出された。不明が増加したが、この中には不透過物が多かった。


図3. 福岡演習林のシカの糞組成(2023年)


図4. 10月のシカの糞から検出された種子

 注目されたのは種子がこれまでで一番多かったことで、植物のフェノロジーを反映していた。多かったのはヨウシュヤマゴボウの種子で、検出されたもの(図4検出物 1)と手持ちの標本を比較したが、一致した。ヨウシュヤマゴボウは10サンプルのうち、1サンプルから検出されただけだったが、そのサンプル内では8.3%を占めた。このほかにも微細なイネ科と思われる種子も検出された(検出物 2)。また、光学顕微鏡で不透過で縁が直線的な検出物があり、ドングリの殻ではないかと察していたが、糞内容物を乾燥させると、間違いなくドングリの殻の破片が検出された(図4)。
 葉は合計しても23.2%にすぎず、2月の42.1%の半分程度であった。この時期の樹木の葉は消化が良いのかもしれない。

文献
池田浩一. 2001. 福岡県におけるニホンジカの生息および被害状況について. 福岡県森林林業技術センター研究報告, 3: 1083. 
壁村勇二 ・榎木 勉 ・大崎 繁 ・山内康平 ・扇 大輔 ・古賀信也・菱 拓雄・井上幸子・安田悠子・内海泰弘. 2018. 九州大学福岡演習林におけるニホンジカの目撃数増加と造林木 および下層植生への食害. 九大演報 , 99:18-21.
矢部恒晶・當房こず枝・吉山佳代・小泉 透. 2007. 九州山地の落葉広葉樹林帯におけるニホンジカの胃内容. 九州森林研究, 60: 99-100. 

コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

キツツキの形態 - 木をつつくために

2023-08-09 07:06:41 | その他

ご承知のように、キツツキは非常な速さで木をつつきます(ドラミング)こちら。その速さは1秒に7、8回だそうです。もちろんそのために、スズメやカラ類などに比べると細長くて丈夫な嘴を持っています。


図. いろいろな嘴(World of Birds)

頭を打ち付けるために脛骨(首の骨)が丈夫で、筋肉も特別に良く発達しています。


図. よく発達した首の筋肉(a false(red)startより)

 キツツキは木の幹上を素早く動きますが、その動きは両足と尾羽の3点が幹に接することで安定します。そのため、キツツキの尾羽は軸(羽軸)が非常に太く、短く、丈夫です。


図. キツツキは両足と尾羽の3点で安定(how the woodpecker avoids a headacheより)

 また尾骨も他の鳥のものよりよく発達して尾羽の安定化の基礎になっているそうです。羽軸の付け根が大きく窪んでいるそうですが、私がみた写真や図では未確認で、そのうち標本を見たいと思っています。


図. キツツキの骨格。尾骨に着目(pixelsより)。

 キツツキの舌が長いことは知っている人が多いと思いますが、その長さたるや口の奥から脳の上をぐるりと回って、さらに目を越えます。舌は口の奥の方で枝分かれして後頭部で合流するので、伸ばすとハート型のような特殊な形です。


図. キツツキのなが〜い舌(BirdWatchingより)


図. 2股に分かれたハート型の舌(Lizzie Harperより)

 舌の先端は少し広がり、逆棘がついていて昆虫を捉えやすくなっています。


図. キツツキの舌の先端部(Wamg et al. 2011より)

しかも舌には舌骨(ぜっこつ)という骨がついていて、木を打つ時の衝撃緩和に役立っているそうです。

 
キツツキの舌骨。頭骨を覆うようについている線状の骨
(左 Museum of Osteology、右 The Talk Origins Archiv)

 キツツキの木の突き方は、速いだけでなく強いもので、高速度撮影したものをスローモーションで見るとつついた直後に頭を包む肉の部分と羽毛が大きく揺れ動くことがわかります(こちら)。

「頭が痛くないのだろうか」と心配になりますが、これまで、その強い衝撃をやわらげるために、キツツキの頭骨にさまざまな特殊化がなされていると説明されてきました。例えば、頭骨は中がスポンジ構造になっていて、脳に衝撃がかからなくなっています。


図. キツツキの頭骨のスポンジ構造(Wang et al. 2013より)

 また、嘴を打つ衝撃は頭骨にかかるため、上嘴が上に曲がらないように前頭部が膨らんだ構造になっています。


図. 上嘴が衝撃で上に曲がらないよう、頭部前方が膨らんだ構造になっている
(Jung et al. 2016)

 下の嘴(つまり下顎)は頭骨の末端近くまで伸びており、末端が頭骨に接する部分に「方骨」という特殊な骨が発達していて、蝶番(ちょうつがい)になり、木を突いた時の衝撃が頭には少なく、首の筋肉に分散するようになっています。

 ところが、これらが緩衝機能を持つためだということが真っ向から否定されました。2022年のことです。この論文の著者ワッセンバーグは以下のように問いかけます。「打ち付ける衝撃を頭骨が吸収するということは、嘴を木に打ち付けた衝撃を頭骨に伝えにくくするということである。これをハンマーに例えれば、先端部と基部のあいだにクッションがあることを意味し、そんなハンマーで釘を打っても力は伝わらないはずだ」と。もしそうであれば、嘴が木を打つ瞬間と頭骨がそれを受ける瞬間とにごく短い時間的ズレが生じているはずです。そこで実際にキツツキを飼育して高速度カメラで撮影してみると、嘴の先端、付け根、目の位置で、動きのずれはまったくなかったのです。このことは、キツツキの頭骨には緩衝機能はないことを意味します。つまりキツツキの頭骨は衝撃を受けているのです。
 ではなぜキツツキは大丈夫なのでしょうか。ワッセンバーグによれば、「頭が痛いはずだ」というのは、鳥から見れば巨大な頭を持つ我々サルの直感であり、キツツキの頭の大きさであれば脳に悪影響があるような力にはならないというのです。このことは実は2006年にギブソンが指摘しています。彼はキツツキが衝撃に耐えられるのは1)小さいため、2)衝撃時間が短いため、3)頭骨内での脳の接触面積が大きいため、であるとしました(Gibson 2006)。なおワッセンバーグはこの研究でイグ・ノーベル賞を受賞しました。

コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

玉川上水の保全活動

2023-08-05 10:04:39 | その他
玉川上水の保全について「玉川上水みどりといきもの会議」で活動していますが、現在ブログに不調があるため、最近のものはこのブログを使っています。ご了解ください。

2023年9月1日
 東京都庁の水道局に質問状を持参するも拒絶 こちら

++++++++++++++
玉川上水の保全活動のうち、小平328号線を考える活動に関心があるメンバーで集会を開くなど活動を始めました。以下はその記録です。

2023年5月7日
 シンポジウム「小平の玉川上水が危ない」を開催 こちら 
        動画(Youtube)は こちら
6月2日
 分断道路を考える集まりを開催 こちら
7月10日 
 坂上多津夫氏(元津田塾大学職員)に話を聞く会を開催 こちら
7月14日
 東京都建設局北多摩北部建設事務所を訪問 こちら(高槻)こちら(水口)
7月20日
 史跡玉川上水整備活用のための作業説明会(小平市・立川市域) こちら
8月20日
 学習会「小平の玉川上水が危ない 2」 記録は こちら 動画は こちら

コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする