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「晴行雨筆」の日々から生まれるもの

玉川上水の植生状態と鳥類群集 謝辞

2022-12-20 09:46:16 | 研究

謝 辞
調査には以下の方の協力をいただきました。朝日智子,足達千恵子,有賀喜見子,有賀誠門,大西治子,大原正子,尾川直子,荻窪奈緒,小口治男,加藤嘉六,菊地香帆,黒木由里子,輿水光子,近藤秀子,笹本禮子,澤口節子,関野吉晴,高槻知子,高橋健,田中利秋, 田中操,棚橋早苗,辻京子,豊口信行,永添景子,長峰トモイ,春山公子,藤尾かず子,松井尚子,松山景二,水口和恵,安河内葉子,リー智子。放送大学の加藤和弘教授には貴重なアドバイスをいただきました。また玉川上水での調査には東京都環境局から(書類「3環自緑180」),現地への立ち入りには水道局から(書類「3水東浄庶101」など)許可をいただきました。これらの方々,部局にお礼申し上げます。

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玉川上水の植生状態と鳥類群集 考察

2022-12-20 09:45:38 | 研究
論 議
鳥類群集と生息地の植生
都市鳥類と緑地の関係については多くの研究があり,緑地面積やその構造が鳥類群集の種数や個体数に影響を与えることが示された(樋口ら 1985,加藤 1996など)。本研究はこれらを参考にしつつ,東京に残された貴重な緑地帯である玉川上水の植生状態が大きく異なる4カ所を選んで,植生状態と鳥類群集との対応関係を明らかにすることを目的とした。
調査した4カ所の人口密度と緑地率を比較すると,おおむね西から東に向けていわゆる「都市化」が進んでいるから,人口密度が高くなり,緑地率は杉並以外は30%前後で杉並が21.8%と低いことがわかる(付表4)。つまり自然度が「西高東低」となっている。しかしその全体傾向とは違い,玉川上水沿いの樹林はさまざまな理由によりこの「西高東低」になっていない。西にあるのに樹林が貧弱であったのが小金井で,サクラ以外の樹木が皆伐されたために多様度が極端に低く,樹高も低く,低木層の被度も4カ所中最も小さかった。逆に東にあるのに樹林が豊かであったのは三鷹で,ここでは玉川上水が面積の広い井の頭公園を通過するので樹林は連続的である。
このような樹林帯の違いは鳥類群集に強い影響を与えていた。最も特徴的なのは鳥類の個体数とその内訳であった(図9)。樹林帯が豊かな小平と三鷹では鳥類の種数と個体数が多く,内訳は樹林型,非都市型,都市樹林型など森林性の種が多かったが,樹林幅の狭い杉並では個体数が少なく,都市オープン型の割合が大きかった。そして樹林が貧弱な小金井では鳥類の個体数が最も少なく,内訳では都市オープン型が多かった。つまり樹林が貧弱であると森林性の鳥類が少なくなる可能性が示唆された。
個別に検討すると,三鷹の井の頭公園の部分は玉川上水沿いの樹林帯を包み込むように樹林が続いており(図4),植被率も60%と4カ所中最も大きかった(表1)。鳥類の個体数が玉川上水沿いの樹林内と樹林外のどちらでも多かったことはこのことと対応する(図8)。
小平では多くの樹林調査の測定項目の数値も三鷹についで2位であった(表1)。小平に特徴的だったのは,鳥類個体数が玉川上水沿いの樹林の内側では4カ所中最多であったのに対して,外側では最少であり,両者の違いが著しかったことである(図8)。このことは,小平では樹林帯が広く,鳥類の生息に適しているが,その外側の多くは住宅地であるために鳥類の生息には不適であるためだと考えられる。
このことは繁殖期と越冬期においても基本的に同様であったが,繁殖期は小平と三鷹でほぼ同様であったのに対して,越冬期には小平が目立って個体数が多かった(図10)。その理由は不明だが,以下のような可能性がある。冬季はカラ類などが混群を形成し,葉を落とした落葉樹林で採餌したり,猛禽類やカラス類から逃れようとして常緑樹林や宅地の庭の緑に逃げ込むのがみられる。このことが小平と三鷹の井の頭公園の植生の状態と関連する可能性がある。小平では玉川上水沿いの樹林帯の幅が広く(表2),低木類も多いのでカラ類の混群がよく見られると同時に,玉川上水に隣接する津田塾大学にシラカシ林があるので(図4A),ヒヨドリやカラ類の混群が集中し,センサス時にもここで多くの鳥類が記録された。これに比較すると井の頭公園では玉川上水沿いの樹林は公園の樹林と連続し(図4C),常緑樹が分散するため小平のように混群が玉川上水の樹林帯に集中することが少ない。ここでも混群は観察されるが,上水内は見通しがきかない中低木の常緑樹があるため,センサス時には発見しにくく、記録されなかった可能性は否定できない。
杉並では三鷹,小平に比較すると鳥類が乏しかったが(表2),これは玉川上水沿いの樹林帯の幅が狭く(表1),しかも両側に大型道路が走っており,周辺に緑地が少ないこと(図4)にも関係していると考えられる。
小金井は鳥類が最も貧弱であった。種数は4カ所中で最少の19種で,最多の三鷹の29種より大幅に少なかった(表2)。しかもセンサスルートの距離は小金井のほうが三鷹(1.4 km)よりも長かった(1.6 km,表2)。ここの植生はサクラが散在するだけなので植被率も低く,樹高も低く(表1),鳥類の生息には適していない可能性がある。小金井のサクラは樹高の平均値が7.5 mであり,この結果は生息地の樹高が8 m未満になると鳥類の種数が少なくなるというMaeda (1998)の指摘を支持する。また低木層の植被率も小金井は19%と小さく(表1),加藤(1996)の低木層の被度が小さくなると鳥類の種数が少なくなるという指摘を支持する。小金井の場合は杉並と違い,周辺に広い緑地として小金井公園があるが,玉川上水とは離れており,その間に五日市街道があって隔離されている(図4)。そして玉川上水沿いの樹木としてはサクラしかなく,餌や隠れ場も少ないので,小金井公園にいる鳥類も玉川上水沿いの緑地はあまり利用しないのかもしれない。鳥類生息地の周辺の緑地の重要性は鵜川・加藤(2007),加藤・吉田(2011),加藤ら(2015)でも指摘されており,杉並で鳥類がかなり乏しかったことも,周辺の緑地が乏しかったこと(図4)を反映している可能性がある。
鳥類の多様度を場所間で比較すると,種数,個体数,タイプ分けほどの違いがなかった。多様度は種数と上位種の占有率によって決まる。樹木の多様度は,小平,三鷹,杉並では第1位の樹種の占有率が35-79%と比較的小さいために多様度指数は大きかったのに対して,小金井はサクラが99%を占めていたために多様度指数が極端に小さかった(図6A, B)。これに比較すれば,鳥類の多様度は小金井が最低ではあったが,他の場所よりも極端に小さいということはなかった(表2)。シャノン・ウィーナーの多様度指数は小金井が3.35で最大の三鷹の3.65と違いは小さく,シンプソン指数は小金井と小平で違いがなかった(いずれも0.875)。この理由は個体数が最多であった種の占有率が場所ごとに違いが小さかったためである。すなわち,小金井ではムクドリが21.0%,小平,三鷹,杉並はヒヨドリがそれぞれ20.4%, 18.0%, 19.1%であった。

鳥類群集の季節変化
調査した4カ所では鳥類の個体数はかなり大きな季節変化を示した(図7)。これを東京都の他の緑地での鳥類群集の調査と比較すると,赤坂御用地では本調査と同様に夏に鳥類群集の種数と多様度指数が減少した(濱尾ら 2005)。中でもヒヨドリは8, 9月には記録されなかったが11月に急増し,本調査と同様のパターンをとった。シジュウカラは5月に最多となった後減少し,本調査とおおむね同様なパターンをとった。メジロも6月に最多となり,9月に最少となった後回復するという本調査と同様のパターンをとった。皇居でも同様で,多様度指数は9月に最小となり,春と冬には大きかった(西海ら 2014)。そしてヒヨドリ,シジュウカラ,メジロは9月に最も少なくなった。このように本調査で得られた玉川上水での鳥類群集の季節変化は他の東京の緑地のものと基本的に同様であると考えられた。

緑道の連続性と生物多様性の視点
本調査は都市緑地における鳥類の種数や個体数の実態を樹林の状態との関係に着目して記述した。鳥類の種数と個体数が最も貧弱であった小金井地区は「史跡玉川上水整備活用計画」(東京都水道局 2009)により1.6 kmほどの範囲でサクラだけを残して他の樹木が皆伐された。ここでは文化財としての桜並木復活が優先されたが,本調査の結果は,このような樹林管理が鳥類にマイナスの影響を与える可能性を示した。この範囲周辺では桜並木のためにさらに伐採する可能性がある。しかし東京都が重視する生物多様性保全を考えれば,これ以上の伐採は再検討する必要があろう。
これまでにも玉川上水の植生管理において,住民の安全という面からサクラ類だけを残すと風害に遭いやすいなどの問題があることが指摘されたし(高槻 2020),保全活動のシーンでは樹種をとりあげて「サクラを残すか,ほかの樹木も残すか」という樹林管理についての議論がおこなわれてきた。これに対して,本調査は初めて生物多様性保全の視点にたち,樹林管理が鳥類群集に波及する可能性を示した。今後の都市緑地管理においては生物多様性保全の観点を取り入れ,樹林の状態と鳥類をはじめとする生息動物との関係にも配慮されることを期待したい。

付記
* 1:測定した樹木の測定部位に瘤などがあった場合はその直下で測定し,樹幹の断面が楕円形などに歪んでいる場合も周長を測定した。一部に上水の肩部に生えた樹木があり,危険なので,塩化ビニールパイプで作ったT字状の器具で,2方向から精度1 cmで直径を測定し,平均直径を求めた。予備調査によれば胸高周測定から求めた直径D1と,T字状器具で測定した直径D2では最大でも5%しか違いがなかった(n = 30)。
*2:樹林が一様である小平と小金井ではそれぞれ3カ所と4カ所をとったが,三鷹では井の頭公園の樹林が広がる場所とその下流の住宅地内の帯状区で違いがある可能性があったので6カ所とった。杉並も場所により道路との関係で帯状区の幅に変異があったので5カ所とった。
*3:玉川上水は掘削されたために水路の両側はほぼ垂直の壁面となっている。岸の肩部分の外側には歩道があり,安全のために柵が設置されている。この柵から壁面の「肩」の間に樹林帯があり,その幅は場所により違いがある。
*4:小平では大出水幹男がカウントをおこない,尾川直子が補足し,高槻成紀が記録をした。小金井では大石征夫が一人でカウントと記録をした。三鷹では鈴木浩克がカウントし,菊池香帆が記録をした。杉並では大塚惠子がカウントし,田中操,黒木由里子,高橋健が補足と記録をした。


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玉川上水の植生状態と鳥類群集 結果

2022-12-20 09:44:26 | 研究
結果
1)樹林調査
A. 植被率と樹高
植被率と樹高の測定結果を表1に示した。調査範囲内の植被率は三鷹(60.6%)と小平(56.1%)が高く,杉並が40.3%でこれらに次ぎ,小金井が5.1%と極端に低かった(表1)。


玉川上水沿いの樹林帯での植被率は小金井以外は80%以上であったが,小金井だけが11.1%と極端に低かった。低木層の植被率は三鷹(61.9%),小平(47.7%),杉並(38.0%)の順で小さくなり,小金井が19.0%と大幅に小さかった。
樹高は三鷹と小平で15 m以上と高く,杉並がこれらに次ぎ,小金井は7.5 mと低かった。

B. 胸高断面積
各調査区で樹種ごとの胸高断面積の合計値を算出し,主要種をとり上げたところ場所ごとに違いが明瞭であった(図5)。


小平ではコナラQuercus serrata,クヌギQ. acutissima,イヌシデCarpinus tschonoskiiなどの落葉樹が多かった。小金井ではサクラ類Cerasus spp.だけで構成されており,合計値は16,000-20,000 cm2/100 m程度であった。三鷹では,20,000 cm2/100 mを超えた場所が2カ所あった。内訳は調査区ごとに多様で,ムクノキAphananthe asperaが多い調査区,シラカシQ. myrsinifoliaが多い調査区,ケヤキZelkova serrata,イヌシデが多い調査区があった。杉並で平均28,000 cm2/100 m前後で,45,000 cm2/100 mあった調査区もあった。ただし10,000cm2/100 m程度の調査区もあった。内訳はサクラ類が多い場所が3カ所,ヒノキChamaecyparis obtusaが多い場所が1カ所あったほか,エノキCeltis sinensis var. japonicaが多い調査区もあり,多様であった。

C. 樹林の多様度
4カ所の樹林の胸高断面積によるシャノン・ウィーナーの多様度指数H’を図6aに示した。指数はすべての樹木をもとにした指数1と,直径10 cm以上の樹木だけをもとにした指数2を算出した。これによると帯状区3,13,1など多様度指数2が指数1よりやや小さい場合があったものの大きな違いはなく,ほとんどの調査区では両者が連動していた(図6a)。


これらに対して小金井ではサクラ類しかなかったので,多様度指数は極めて小さかった。シンプソンの多様度指数Dも基本的に同じで,杉並に1カ所値の小さい帯状区があったものの,小平,三鷹,杉並では大きく,小金井だけが著しく小さかった(図6b)。



2) 鳥類群集
A. 鳥類群集の個体数,密度,多様度
表2には鳥類の個体数を示したが,この数字は各調査時での発見個体数を調査区の長さ1 kmに換算した数字を7回分合計したもので,個体数の多寡の指標とした。樹林帯の幅は小平が35 mと最も広く,小金井と三鷹が20 m,杉並が15 mで最も狭かった(表2)。



個体数は小平が最多の673.1羽で,三鷹がこれに近く(640.0羽),杉並が466.2羽と少なく,小金井が小平,三鷹の半分以下(283.4羽)であった(表2)。このことは樹林帯の幅が広いほど鳥類の個体数が多いことを示唆する。鳥類群集の多様度指数のうちシャノン・ウィーナーの多様度指数H’は三鷹(3.65),小平(3.44),杉並(3.43),小金井(3.35)の順で小さくなった。一方,シンプソンの多様度指数Dは三鷹(0.894)と杉並(0.891)が近く,小平(0.875)と小金井(0.873)がやや小さく接近していた。樹木の多様度では小金井だけが極端に指数値が小さかったのに比較すれば,鳥類の多様度指数は違いが小さく,小金井だけが目立って小さいということはなかった。
 これらの項目を繁殖期と越冬期で比較したところ,個体数は全ての場所で越冬期の方が多かった(表3)。


 これはヒヨドリのような漂鳥が夏には少なくなり,秋に戻ってくることなどによるものと考えられる。種数は小平では越冬期の方が2種少なく,そのほかではやや多かったものの,違いは小さかった。多様度は季節の違いはほとんどなかった。場所ごとには種数,個体数,多様度いずれも小平,三鷹,杉並,小金井の順で小さくなった。ただし多様度は小平と三鷹,杉並と小金井がほぼ同じであった。

B. 個体数の季節変化
 個体数の季節変化を見ると,最も多かった小平では1月から次第に少なくなり9月に最低値に達した後急増して12月に最大値となるV字型をとった(図7)。



 次に多かった三鷹ではほぼ同様のパターンをとったが12月は小平ほど多くはならなかった。杉並ではやや乱高下し,5月が最多で7月が最少だった。最も少なかった小金井ではほぼ常に最低値であった。その結果多くの月で小平,三鷹,杉並,小金井の順であったが,9月だけは4カ所の値が接近した。

C. 玉川上水沿いの樹林帯内外の鳥類
玉川上水沿い樹林帯の内側と外側で記録された鳥類数を図8に示した。樹林調査により鳥類の生息環境としての樹林の多様度は小平,三鷹,杉並,小金井の順に小さくなることがわかったので,図8ではこれに対応して鳥類の個体数の合計値をこの順に並べた。


 樹林帯の内側の個体数は小平が非常に高く,三鷹と杉並が半数程度で,小金井が最少であったが,外側は小平で少なく,三鷹は内側以上であった。杉並は内側の8割程度,小金井では内側とほぼ同じであった。なお,4カ所全体で樹林帯の内側と外側の個体数を比較すると(付表2),内側が多かったのはウグイスCettia diphone,エナガAegithalos caudatus,メジロZosterops japonicus,コゲラDendrocopos kizuki,シジュウカラParus minor,などであり,外部の方が多かったのはハシボソガラスCorvus corone,スズメPasser montanus ,ホンセイインコPsittacula krameria manillensisなどであった。ドバトColumba livia,ハシブトガラスCorvus macrorhynchosなどは内外の違いが小さかった。

D. 鳥類群集のタイプ分け
次に鳥類群集の内訳を鳥類の生息地利用のタイプによって類型別に比較した(図9)。


 各タイプで個体数の多かったのは次の通りである。樹林型:エナガなど,非都市型:ウグイスなど,都市樹林型:シジュウカラ,ハシブトガラス,メジロなど,都市オープン型:ムクドリ,スズメなど,ジェネラリスト:ヒヨドリ,キジバト,ハシボソガラスなど,その他:オオタカなど。
個体数が最多であった小平では都市樹林型が最も多く,ジェネラリストがこれに次いだ。三鷹もほぼ同じであったが,都市オープン型が小平よりやや少なく,樹林型がやや多かった。杉並では都市樹林型が三鷹の半分ほどで,ジェネラリストも少なかったが,都市オープン型は小平,三鷹の2倍以上と多かった。小金井では都市樹林型が杉並の半分以下になり,ジェネラリスも少なかったが,都市オープン型は杉並と同程度であった。杉並と小金井には樹林型はほとんどなかった。
 相対値では,小平と三鷹では都市樹林型が49%前後を占めたが,杉並では36%,小金井では23%と少なくなったのに対して,都市オープン型はこの順で12%,5%,26%,36%と多くなった。ジェネラリストはどこでも30%台であった。つまり樹林の幅が狭くなり,樹木の胸高断面積合計が小さくなり,種数が単純になるという樹林の貧弱化に伴い,鳥類の個体数は少なくなり,内訳は都市樹林型と樹林型は少なくなり,都市オープン型が多くなった。
以上は7回の調査の合計数であるが,繁殖期と越冬期では鳥類の生活の意味も違うので,繁殖期の5, 7月と,越冬期の1, 12月とを取り上げて図9と同様の比較をした(図10)。


繁殖期は通年の結果と似ており,小平と三鷹では都市樹林型が多く,杉並と三鷹で都市オープン型が多かった(図10A)。越冬期は小平が目立って多く,内訳を見ても都市樹林型が非常に多く,都市オープン型も多かった(図10B)。三鷹はこれら(都市樹林型と都市オープン型)は少なかったが,ジェネラリストはやや多く,相対値は過半数となった(図10B)。杉並では三鷹よりも都市オープン型が多かった。小金井では都市樹林型が非常に少なく,都市オープン型がこれを上回った。全体としては季節分けをしても通年と基本的には似ていたが,越冬期には小平で都市樹林型が目立って多いという点が違った。
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玉川上水の植生状態と鳥類群集 方法

2022-12-20 09:44:03 | 研究
方法
調査地の概要
 玉川上水は江戸時代(1652年)に造成された水路である。多摩川の羽村で取水して東進し,もともとは四谷大木戸までの43 kmの長さがあったが,現在は杉並区までの30 kmが開渠で,それより下流は暗渠になっている。玉川上水は東京都が管理しており「史跡玉川上水保存管理計画」(東京都水道局2007)を土台とする「史跡玉川上水整備活用計画(東京都水道局2009)に基づいて管理されている。この計画は玉川上水が遺跡であることから現状維持を基本とするが,水路・法面の壁面の崩壊を抑止し,良好な状態で保存するとしている。また小金井においてはサクラ並木の保存を目的とし,サクラの樹勢が劣化してきたので,サクラ以外の樹木の抑制が必要であるとし,実際2020年までに1.6 kmほどの範囲でサクラ以外の樹木はほぼ皆伐された。
調査地とした場所は上流の西側から,小平市,小金井市,三鷹市,杉並区の4カ所で(図1),東側ほど都市化が進んでいる。




 玉川上水沿いの緑地は基本的に上水の両側に樹林帯があり,その外側は道路や宅地であって樹林がアーケード状となっているが,その状態はこれら4カ所で異なっている。小平では樹林帯幅が約35 mと広いため後述する鳥類のセンサスルート範囲の多くを占め,その外側には宅地が多いが,玉川上水に隣接する津田塾大学のキャンパスに樹齢100年前後のシラカシ林や小平市中央公園の樹林もあるほか,雑木林や農地もある(図2A, 図3A)。


 小金井では「史跡玉川上水整備活用計画」によって1.6 kmほどの範囲でサクラ以外の樹木は伐採され,樹林帯の幅は20 mほどしかなく,サクラが間隔をおいて植えられているので調査範囲に占める樹林(サクラ植林)の占める割合は小さく,上水部分には広いオープンスペースがある(図2B, 図3B)。周辺には小金井公園の広い緑地や屋敷林があるが,玉川上水は五日市街道と上水通りに挟まれており,これらの緑地とは隔離されている。三鷹でも樹林幅は約20 mであるが,このうち井の頭公園では樹林に連続して周辺にも樹林があるので,調査範囲の多くは樹林が占める(図2C, 図3C)。井の頭公園以外では樹林外はオープンな場所がある。杉並は最も都心寄りであり,上水の両側に交通量の多い道路があり,樹林幅は15 m前後で,調査地範囲に占める樹林の割合は小さい(図2D, 図3D)。


 調査地の周辺の緑地は小平では玉川上水の樹林帯に隣接した公園や大学キャンパスがある場所とこれらの緑地がないところがある(図4A)。小金井では都道である五日市街道を挟んで広大な小金井公園がある(図4B)。三鷹では玉川上水は井の頭公園を通過するのでそこでは樹林が連続的だが,その下流では樹林帯だけになる(図4C)。杉並ではほぼ玉川上水の樹林帯だけで,周囲の緑地は乏しかった(図4D)。


生息地の樹林調査
 都市鳥類は調査地の樹林面積の影響を受けることが知られているが(樋口ら 1985; 一ノ瀬・加藤 1994; 加藤1996),玉川上水では樹林が連続的なので孤立緑地としての面積は測定できない。しかし樹林帯の幅には影響を受けると想定されるから,空中写真をもとに鳥類センサスルート(長さ1 kmあまり)の中にランダムに5カ所の幅60 m,長さ60 mの区画をとり,樹林の植被率を出した。
 また都市鳥類は樹林構造の影響も受けることが知られているので(樋口ら 1985; 一ノ瀬・加藤 1994; Callaghan et al. 2018など),ルート内の樹木の本数と胸高断面積,樹高,低木層の植被率を測定する樹林調査をおこなった。この調査では,ルート内に長さ100 mの帯状区をとり,生育する樹木の胸高周(高さ1.2 m)を精度1 cmで測定した*1。帯状区は場所により3カ所から6カ所とった*2。これら帯状区の幅は場所ごとに2 mから5 mほどの違いがあった*3。低木類の植被率はルートセンサス内にランダムに10カ所の2 m四方の区画をとり,目視により植被率を推定した。これらの調査は被度の評価に適した2021年の6月から9月にかけておこなった。サクラ類にはヤマザクラCerasus jamasakura,ソメイヨシノCerasus × yedoensis,イヌザクラPadus buergerianaがあったが,交雑が起きていて判別ができないものもあったので,イヌザクラ以外は「サクラ類」Cerasus spp.とした。測定値から胸高断面積を算出し,その合計値に対する各種の相対値をもとに2つの多様度指数を算出した。一つは次式で定義されるシャノン・ウィーナーの多様度指数である。

H’= -Σ (pi × ln pi)

ただしpiは種iの相対値
もう一つは次式で定義されるシンプソンの多様度指数である。
         D = 1 – Σ(pi2)
ただしpiは種iの相対値

 樹高はルートセンサス内でランダムに10本の樹木を測定した。測定には角度測定器(ミツモト,アングルファイダーレベル)を用い,角度と水平距離から樹高を求めた。樹高測定は2022年の4月下旬におこなった。

鳥類調査
 鳥類の調査はルートセンサス法により同じ日の同じ時刻(午前7時00分から)に4カ所で同時に開始し,センサスには約1時間をかけた。調査は2021年1月から11月までの奇数月に1日を選んで6回おこない,12月の1回を加えて合計7回おこなった。ルートセンサス法は一定の見落としは避けがたいものの(濱尾 2011),標準的な方法とされている(大迫 1989; Diefenbach et al. 2003; 環境省自然環境局生物多様性センター 2009)。上記の4カ所にセンサスルートをとり,1人から5人が1班として上水沿いの歩道のルート(長さ1.3-1.6 km)をゆっくり歩きながら左右それぞれ約30 m,全体で約60 m幅の範囲内で発見した鳥類の種類と個体数を記録した*4。調査員は20年以上の経験を積んだベテランであり,各自が日頃調査している場所を担当した。
 本調査では玉川上水沿いの樹林の状態と鳥類の関係に着目し,上水沿いの樹林内にいた鳥類とその外側にいた鳥類を区別して記録した(図3参照)。鳥類群集の多様度は種ごとの個体数をもとにシャノン・ウィーナーの多様度指数H’とシンプソンの多様度指数Dを算出した。

 都市化あるいは緑地の状態と鳥類の関係を理解するため,個々の種だけでなく鳥類の生息地利用の傾向のタイプで比較することが有効である。都市鳥類についてはこれまでいくつかの類型が試みられているが(濱田・福井 2013; 加藤・吉田 2011),本論文ではセンサスで記録された鳥類をJAVIAN Database(高川ら 2011)をもとに類型した。JAVIAN Databaseには各種の生息地利用が,市街地,農耕地,草地・裸地,森林のほか水辺環境などに類型されて示されているので,その組み合わせで以下の6タイプに分けた。
1)樹林型:環境利用がほぼ森林に限定的な種
2)非都市型:市街地以外を利用する種
3) 都市樹林型:市街地と森林を利用する種。ワカケホンセイインコはJAVIAN Databaseにないが,このタイプとした。
4) 都市オープン型:市街地と森林以外の環境を利用する種
5) ジェネラリスト:市街地,農耕地,草地・裸地,森林のほぼ全てを利用する種
6) その他:以上の類型に当てはまりにくい種で,具体的にはオオタカ(冬はジェネラリストだが,夏は農耕地と森林を利用),ツミ(冬は草地・裸地以外,夏は農耕地と森林を利用)である。これらはジェネラリストに近いが,典型的とはいえないタイプである。
 このタイプ分けによる個体数比較を繁殖期と越冬期それぞれで比較した。
なおカモ類,サギ類など水辺を利用する鳥類は発見が断片的であり,樹林との関係という調査目的とも直結しないので,本稿では解析から外した。
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玉川上水の植生状態と鳥類群集 はじめに

2022-12-20 09:38:42 | 研究
高槻成紀・鈴木浩克・大塚惠子・大出水幹男・大石征夫

摘要
はじめに
方法 こちら
結果 こちら
考察 こちら
謝辞 こちら

摘要
玉川上水は東京の市街地を流れる水路で,その緑地は貴重である。玉川上水の樹林管理は場所ごとに違いがある。本調査は2021年に玉川上水の樹林管理が異なる4カ所(小平,小金井,三鷹,杉並)で鳥類の種ごとの個体数の調査(7回)と樹林調査(18地点)を実施した。鳥類群集は上水沿いの樹林帯と周辺の樹林も豊富な三鷹と小平で豊富であった。緑地が両側を交通量の多い大型道路に挟まれた杉並では,鳥類の種数と個体数が少なかったが,オナガ,ハシブトガラス,ドバトは比較的多かった。サクラ以外の樹木を皆伐した小金井では,近くに広い小金井公園があるにもかかわらず,鳥類群集は最も貧弱であった。とくに森林性の鳥類が少なく,都市環境でも生息するムクドリ,スズメなどがやや多いに過ぎなかった。玉川上水での鳥類群集の季節変化は都心の皇居や赤坂御所などと共通しており,夏にヒヨドリや他の森林性鳥類は減少した。これらの結果は,玉川上水の鳥類群集が植生管理の影響を強く受ける可能性を示唆する。今後の玉川上水の植生管理においてはこのような生物多様性の視点を配慮することが重要であることを指摘した。

はじめに
 都市緑地は必然的に面積や形状に制約があり,人の利用や管理の仕方によって生育する植物や生息する動物も影響を受ける。このため自然状態に比べて動植物の種数や個体数が貧弱になりがちである(Elmqvist et al. 2013; Alberti et al. 2017; Kondratyeva et al. 2020)。例えば行動圏の広い中大型の哺乳類などは生息できないことが多い(McCleery 2020; 園田・倉本 2003; 岩澤ら 2021など)。それに比較すれば鳥類は飛ぶことで分断された緑地をつなぐように利用できるため,全体の種数は非都市環境に比べて限定的ではあるものの(上田ら2016),哺乳類に比較すれば豊富である。
都市緑地と鳥類群集の関係については樋口ら(1985)以来の研究蓄積がある。樋口ら(1985)は東京周辺の面積の異なる51カ所の樹林で鳥類の種数を調査し,面積が広いほど鳥類の種数が多いことを示し,その要因として面積の他にも樹種,被度,孤立の程度などの可能性を指摘した。一ノ瀬・加藤(1994)はこれを発展させ,鳥類群集と樹林地を群集学的に類型し,要因の中で樹林面積が最重要であることを確認した。また加藤(1996)は東京都心で同様の調査をおこない,樹林面積とともに樹林の構造が重要であり,とくに低木層の発達するほど鳥類の種数が多くなることを示した。同様の傾向は神奈川県の丘陵地でも得られた(森田・葉山2000)。またMaeda(1998)は東京の住宅地において同様の調査をし,樹高8 m以上の樹木密度と樹高が増加すると鳥類個体数を多くなることを示した。
一方,2000年以降になると個々の緑地の大きさや構造だけでなく,景観レベルで緑地の孤立度や距離などに着目した研究も進んだ。森本・加藤(2005)は横浜の緑地の鳥類群集を調査して,緑地の面積や低木の被度とともに,緑地をつなぐ緑道があることで鳥類群集の豊かさが高くなることを示した。また岡崎・加藤(2005)は都市緑地の鳥類群集を調査し,孤立樹林の周辺での土地利用のあり方が鳥類群集に影響を与えることを示した。一方,鵜川・加藤(2007)は関連の研究を総説し,都市の鳥類にとっては緑地以外の場所(マトリックス空間)のあり方も重要であることを示唆した。加藤・吉田(2011)は景観レベルでの影響に注目し,東京周辺のマトリックス空間に農地や草地が多いと自然度の高い環境を好む鳥類が増えることを示した。
同様の研究は海外でもおこなわれ,都市化により生物多様性が減少することの例として鳥類を位置付けることが多い(Melles et al. 2003; Pauw & Louw 2012; Serres & Liker 2015; Hensley et al. 2019)。すでに1970年代に都市では鳥類群集が貧弱化することが指摘されていたが(Emlen 1974; Lancaster & Rees 1979など),この年代には景観レベルの視点はなかった。その後,景観レベルの解析がおこなわれるようになった(Trzcinskiwt et al. 1999; Austen et al. 2001; Fahrig 2001など)。これは日本でも同様である。この中で注目されるのは世界の51の都市を対象にしたCallaghan et al. (2018)の調査で,これによれば初期から指摘されてきた緑地面積が最重要であり,景観レベルでの要因はさほど重要ではないとされた。そして都市に残された大面積の緑地の保全が重要であるとした。また最近では鳥類の食性など生態学的特性と都市緑地との関連を解析した例がある(Leveau 2013; Lim & Sodhi, 2004; Kark et al. 2007など)。ただしこれは我が国ではほとんどない。
本調査で対象とした玉川上水は緑地が乏しい東京を流れる水路で,上水沿いの緑地は鳥類の貴重な生息地となっている(奥村・加藤 2017)。この緑地の大きな特徴は幅が狭いながらも30 kmもの長い範囲を連続していることにある。森本・加藤(2005)はこのような緑地を「緑道」と呼び,都市緑地をつなぐ機能を評価した。琵琶湖疏水も一種の緑道であり,都市的な鳥類はいるが,森林性の鳥類は乏しいという報告もある(宮本・福井 2014)。米国ノースカロライナ州の緑道ではその幅が鳥類の種類に影響するとされ(Mason et al. 2007),玉川上水でも同様の傾向があるとされる(奥村・加藤 2017)。玉川上水の緑地はもともとの樹林の状態や管理の仕方などにより,場所によって植生が大きく違う。例えば樹林の幅が30 m程度ある場所もあれば,20 m未満の場所もあるし,サクラだけが点々と植えられた場所,樹林周辺に連続的な林がある場所もある。こうした植生の違いは,上記のようにそこに生息する鳥類にも影響するはずであり,玉川上水は都市緑地の状態が鳥類群集に及ぼす影響を知る上で好適な条件を備えているといえる。
この調査はこのような視点に立ち,玉川上水の異なる管理を受けた緑地と鳥類群集との関係の解明を目指した。開渠部30 kmのうち樹林が豊かな場所の代表として小平と三鷹,最も都心寄りの杉並,樹林が伐採されてサクラしかない小金井の4カ所を選んだ。特に小金井では1.6 kmほどの区間で樹林帯が伐採されて玉川上水の緑地の連続性が途切れ,鳥類の生息への影響が注目される。調査地を4カ所としたのは主に調査者数が限定的であったからであり,このため都市緑地と鳥類群集の関係についての一般性を解明するのではなく,具体的な緑地の違いと鳥類群集の事実関係の記述をすることで,この分野への貢献をすることを目指した。
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さいたま市の浦和商業高校のタヌキの食性

2022-12-15 10:11:50 | 最近の論文など
さいたま市の浦和商業高校のタヌキの食性
高槻成紀・小林邦夫

<各月の結果はこちら 2022.1-3月4−6月7-9月10−12月

摘要
 市街地のタヌキの食性分析例として、埼玉県さいたま市の高校の敷地に隣接する雑木の木立ちのタヌキの糞分析を行った。この木立ちは白幡沼という沼に隣接している。サンプルは2021年の1月から12月まで毎月採集し、ポイント枠法で分析した。ここのタヌキの食性は、冬は食物組成が多様で、春はアズマヒキガエルと昆虫が増え、夏はエノキの果実、昆虫、アメリカザリガニが増え、秋はエノキ、ムクノキの果実が優占した。特徴的なこととしてヒキガエルとアメリカザリガニが検出された。このことはタヌキの食性の日和見的性質を示している。検出された種子はカキノキ、ウメ、ビワなどの栽培種を含め7種にすぎず、関東地方の里山環境で検出されるキイチゴ類、クワ属、ヒサカキなどがなく、種数が貧弱であった。さまざまな人工物が検出されたが平均占有率は4.0%にすぎなかった。これらの結果は緑地に乏しい市街地にある学校の敷地とその周辺という、生育する樹木の種数が限定的で、沼に隣接する環境をよく反映していた。
キーワード:アズマヒキガエル、アメリカザリガニ、食性、タヌキ、都市

■ 序
 東京周辺のタヌキの食性はかなり明らかになってきた(山本・木下1994酒向ほか2008,手塚・遠藤 2005、Hirasawa et al. 2006、Sakamoto and Takatsuki 2015、Akihito et al. 2016、高槻 2017、Takatsuki et al. 2017、Enomoto et al. 2018、高槻ほか 2018、高槻・釣谷2021)。この地域のタヌキの食性は基本的に果実を主体にしており、特に秋と冬は果実をよく食べる。ただし夏には果実が少なくなるので、食物中に昆虫が多くなり、食物が最も乏しい冬の終わりから早春には鳥や哺乳類の羽毛、毛、骨などが検出されるようになる。これらの調査は主に郊外や山地で行われたが、市街地のものもある。ただし市街地の調査地のうち、皇居(酒向ほか 2008,Akihito et al. 2016)、赤坂御用地(手塚・遠藤 2005)、明治神宮(高槻・釣谷2021)などは都市としては例外的な森林があり、都市的緑地を代表するとはえない。市街地での調査事例としては川崎市(山本・木下1994)と小平市の津田塾大学の事例(高槻 2017)がある。川崎市では果実とともに人工物が非常に多かったが、津田塾大ではそうではなかった。これは家庭ゴミの回収の仕方が変化し、2000年以前にはゴミ回収法が不徹底だったためにタヌキが利用できたが、その後家庭ゴミはボックスなどに入れて回収されるようになったためにタヌキは残飯類などを利用しにくくなったものと考えられる。このように市街地のタヌキの食性分析例は少なく、さらなる分析事例が必要である。
 本調査の調査地である浦和商業高校は埼玉県さいたま市にある。ここは交通の要所でもあるために開発が進み、緑地は非常に限定的である。そしてビルや住宅地に囲まれているため、市街地のタヌキの食性調査事例として適している。ただし沼に接している点が特徴的である。

■方法
 調査地は旧浦和市、現在のさいたま市南区で(図1)、西側には新幹線、埼京線、東側に東北本線、南側に武蔵野線が走り、線路に囲まれている。

図1. 調査地の地図。●:タヌキの糞採集地

 また西側には首都高速大宮線、南側には東京外環自動車道があるなど交通の要所であり、開発が進んでいる。浦和商業高校の西側500 mに武蔵浦和駅があり、その周辺はビル街であるが、浦和商業周辺は学校が多く、住宅地が広がる。農耕地はなく、自然には乏しいが、学校の西側には白幡沼があり、弁天神社の小さな祠があって周囲に木立があり、限定的な緑地となっている(図2)。

図2. 調査地を白幡沼の西側から見た景観

 タヌキはこのあたりに生息し、高校生のクラブ活動が終われば明るいうちでも複数の個体が観察される。このように調査地は交通要所にある市街地に囲まれた高校の敷地に隣接する樹林であり、沼に隣接している点が特徴的である。
 ため糞はこの樹林内にあり、そこから糞サンプルを回収した。採集にあたっては,糞の大きさ,色,つや,新しさなどから同一個体による1回の排泄と判断されるタヌキの糞数個を1サンプルとし,それを複数採取した.
糞サンプルは0.5 mm間隔のフルイで水洗し,残った内容物を次の15群に類型してポイント枠法(Stewart 1967)で分析した.

哺乳類,鳥類,脊椎動物の骨,昆虫(鞘翅目,直翅目,膜翅目,幼虫など),節足動物(多足類など),甲殻類,その他の動物質,果実,種子,葉(イネ科,スゲ類,単子葉植物,双子葉植物、枯葉),支持組織(繊維、稈など)、植物その他(コケなど)、作物(農作物、栽培果樹)、人工物(輪ゴム,ポリ袋,紙片など),その他.

 ポイント枠法では,食物片を1 mm格子つきの枠つきスライドグラス(株式会社ヤガミ,「方眼目盛り付きスライドグラス」)上に広げ,食物片が覆った格子交点のポイント数を百分率表現して占有率とした.1サンプルのポイント数は合計100以上とした.また、食物カテゴリーの占有率を大きい順に並べた線グラフで表現する占有率–順位曲線(高槻ほか 2018)を描いた。
また、採食行動を記録するため調査地内に3台のセンサーカメラ(トレイルカメラPH770ー5S、Abask社)を設置してタヌキの出没や採食行動を記録し、糞分析の参考にした。

■結果
食物内容の季節変化
 各食物カテゴリーの占有率(%)の月変化を図3に示した(付表3も参照)。

図3. タヌキの糞組成の月変化(2022年)

 哺乳類の毛は1月から5月は微量、6-8月には10%前後となり、その後また少なくなった。カエルの骨は3, 4月に多く、特に4月には22%を占め、その後は数%で8月以降はほとんど検出されなかった。ザリガニは5月までは少なかったが6月には19.9%となり、その後10月までは数%から10%以上までの値をとった。
 昆虫は4月から8月までほぼ10%以上を占めた。4月の25.8%は最大値だったが、この月には節足動物も最大値(22.7%)をとった。これは昆虫の足や翅と違う細片で昆虫である可能性は大きく、そうであれば合計で50%近くを占め、非常に重要であった。
 果実と種子はここのタヌキにとって最重要な食物であった。1,2月はあわせて30%、3-6月には30-40%と少なかったが、7月以降に増加し、9月には最大の75.0%に達し、その後も70%前後を維持し、12月にはさらに増加して80%以上になった。
 葉は1-3月に多く20-30%を占めたが、その後は少なかった。
人工物は多い月でも10%未満で、8-10月には全く検出されなかったが、検出されたものは多様で次の通りであった。アルミホイル、プラスチック、ポリ袋、ポリエチレンの袋(いわゆる「レジ袋」を含む)、化学繊維、ゴム製品、輪ゴム、紙、皮革製品、糸、ひも

季節類型
 このような結果から、占有率の大きいカテゴリーをもとに季節区分をすると次のようにするのが妥当だと思われた(図4)。


図4. タヌキの糞組成の月変化(2022年)

 冬(1-3月):1月、2月は果実・種子がやや多く、葉、農作物、種子などもある程度多く、組成が多様という点で共通し、4月以降とは違った。3月は1月、2月より果実・種子が少ないが、人工物と葉が多い点で2月に似ており、昆虫が少ない点と脊椎動物(アズマヒキガエル)が多い点で4月と違った。3月と隣り合う月との百分率類似度を求めると、2-3月間は51.4%、3-4月間は47.6%で2月の方が大きかったので3月は冬とした。

春(4-6月):昆虫が多く、果実・種子は少ない点で共通していた。
夏(7,8月):昆虫と果実・種子が多い点で共通していた。
秋(9-12月):果実・種子が独占的である点で共通していた。

主要種の占有率-順位曲線
 食物カテゴリーごとの占有率-順位曲線を描いた(図5)。

図5. 主要食物カテゴリーの占有率-順位曲線

 果実は果肉と果皮(「果実」とする)と種子に加えて、その合計値(「果実合計」とする)を示した。占有率-順位曲線のパターンには安定的に豊富にあって動物がよく利用する高い占有率からなだらかに減少する「高値漸減型」、食物資源が局在するため一部のサンプルが占有率が多く低値も多い「L字型」、低値が少ない「I字型」、供給量は多いが動物が好まないために占有率は小さいが高頻度な「低値高頻度型」などがある(高槻ほか 2018)。「果実合計」は高い値から直線的に減少し、典型的な「高値漸減型」であった。果実、種子はカーブが下にやや窪む形をとった。動物質は最大値が中程度で低頻度なものが多く「I字型」が多かったが、昆虫だけは頻度が高く「L字型」をとった。葉は「L字型」、繊維は低い値である程度高頻度な「低値高頻度型」だった。作物と人工物は最大値が大きいか中程度で低頻度の「I字型」だった。

果実の推移
 果皮、果肉からは種の同定は困難なので、種子の占有率を示した(図6)。

図6. 主要種子の占有率の月変化. A:冬から夏に出現した種子、B: 夏以降に出現した種子. 縦軸は一定でない.

 センダンが1-4月に出現し、サクラ属が5月、ビワが6月、クワ属が6, 7月に5%前後からそれ未満で検出された(図5A)。エノキとムクノキは多く、ここのタヌキの非常に重要な食物となっていた(図5B)。エノキは1–3月は少なく4月には出現しなくなったが、5月から出現し始め、8月には35%に達し、その後10月には一時的に下がったが、その後再び増加した。ムクノキは1月から5月までは少なく、6–8月には出現しなくなったが、9月以降は20%前後を占め、12月には29.3%に達した。このようにタヌキは季節に応じて推移する果実を利用していた。

■考察
 関東平野の大都市の一つである旧浦和市(さいたま市南区)の市街地にある高校一帯に生息するタヌキの食性を糞分析によって調べた。この場所は周辺に農耕地がないこと、昼間は高校生がいるが夕方から夜は無人になること、一般の市街地よりは廃棄物などが得にくいこと、樹木や草本類が限定的であること、白幡沼という沼が隣接し、小規模な樹林があることが特徴的である。
 食物はエノキ、ムクノキなどの果実が主要であったが、春にアズマヒキガエルが、夏にアメリカザリガニが食べられる点が特徴的だった。都市、あるいは郊外で果実食傾向があることはこれまでも東京都小平市(高槻2017)、新宿御苑(Enomoto et al. 2018)、東京都日出町(Hirasawa et al. 2006; Sakamoto and Takatsuki 2015)、皇居(酒向ほか 2008; Akihito et al. 2016)、赤坂御用地(手塚・遠藤 2005)、明治神宮(高槻・釣谷2021)などで確認されているが、カエルやザリガニの利用は知られていない。タヌキが日和見的な食性を持つことはこれまでにも指摘さてきたが(山本・木下 1994; Hirasawa et al. 2006; Takatsuki et al. 2021)、この結果もそのことを裏付ける。
 エノキとムクノキの果実は特に重要であったが、これらの結実時期は夏以降であるにもかかわらず1–4月の分にも含まれていた。この時期のエノキ、ムクノキ、センダンは前年の夏から秋にかけて結実して落下したものをタヌキが探して食べたものと考えられる。同所的に生息するタヌキとテンの食性を調べた研究では、テンは結実期に果実を食べたが、タヌキは長い期間食べ続けたことが知られている(Takatsuki et al 2017)。カキノキは高校の敷地内にもあり、9月の結実初期には枝についたカキノキの果実を食べようと後肢で立ち上がり、何度か挑戦して最終的に果実に噛みついて枝を折ることに成功して、地面で食べるのがセンサーカメラに撮影された(図7)。

図7. 枝についたカキノキ果実を食べようと後肢立ちになったタヌキ(2022年9月18日).

 3月に「脊椎動物」が18.6%を占めたが、その大半はアズマヒキガエルの骨であった。この時期はアズマヒキガエルの繁殖期であり、警戒心がなくなっているためにタヌキが捕食しやすい可能性がある。調査地に設置したセンサーカメラにはヒキガエルを発見し、前肢でコントロールしながら噛みついて引きちぎったシーンが撮影された(図8)。

図8. アズマヒキガエルを捕食するタヌキ。A: アズマヒキガエルを見つけて右前肢でコントロールし、B: 引きちぎって食べる(2022年5月12日)

 糞中のアメリカザリガニは4月に多く(19.9%)、その後も10月まである程度出現したが、調査地のタヌキによるカエルやザリガニの利用は食物に占める割合は大きくはなかった。特にヒキガエルは利用も短期的であり、アメリカザリガニも出現頻度は35%程度で、高いとはいえない。これらのことから、ここのタヌキは基本的に調査地の木立や高校の敷地内の樹木の果実などを軸に、時々白幡沼を訪問してこれらを利用するという程度であると推察される。しかし、そのことはタヌキが生息地にある食物を順応的に利用してメニューを拡大する潜在力を持っていることを示す好例といえよう。
 人工物はアルミホイル、プラスチック片、ポリエチレンの袋、化学繊維、ゴム製品、輪ゴム、包紙、皮革製品、糸、ひもなど多様であったが、出現頻度は全体で23.0%、平均占有率は4.0%にすぎず、食物としての重要度は小さいといえる。人工物が20%以上であったのは果実も昆虫も乏しい2月だけで、これを除けば平均占有率は0.5%にすぎない。これは市街地の緑地に生息するタヌキとしては人工物への依存度が低いといえる。その背景として、高校の敷地であり、タヌキが利用する残飯や捨てられた菓子類などの袋などの供給が一般の公園などより少ないという事情があると思われる。
 食性とも関連するが、本調査地のタヌキの状況を考えてみたい。旧浦和市(現在はさいたま市の一部)は、1960年代から1970年代にかけて急激に発展し、人口は敗戦の1945年には94,000人ほどであったが、1960年には倍増して160,000人ほどになり、1988年(平成元年)には410,000人ほどで、敗戦年の4倍以上になった。さいたま市の土地利用の変遷を見ると、1906年には畑と田が広く、両方で60%以上であったが、1969年には田はやや増えたが、畑は8割ほど、樹林は7割ほどに減り、宅地が7割増えた(付表1)。

付表1. 旧浦和市(現さいたま市)の1906年, 1969年, 2006年の土地利用の推移(国土交通省 2012より)


 そして2003年になると、田畑を合わせても3割ほどに減少し、樹林は5%になったのに対して宅地は62%に達した。調査地周辺の土地利用の1961年と2022年を取り上げると、1969年には南西部は田畑が広がっていたが、現在は新幹線が通り、武蔵野線もあるので、ビル街となっている(付図1)。


付図1. 調査地周辺の1961年と2022年の土地利用(空中写真より作図)

 また北東部に多かった宅地が全体に拡大した。そしてこの範囲では田畑は消滅した。北部から東部には樹林がかなりあったが、この半世紀に減少し、現在はわずかに社寺や公園、学校などにしか残されていない。こうした中で白幡沼と隣接する樹林は貴重な緑地となっている。調査地はこの緑地帯の一角にあり、周辺には樹木のあるような広めの庭のある宅地もある。タヌキはそれらをつなぐように利用している可能性はあるが、人口数万人程度の小都市にあるようなまとまった樹林や農耕地はない。したがっていわば島のように孤立した状態で生息していると考えられる。そのことは食性にも反映しており、タヌキが利用していた食物に農作物と特定できるものは少なく、わずかにコメの籾殻、ソバ、ミカン種子が微量に検出されたにすぎない。調査地周辺に水田やソバ畑、ミカンの果樹園などはなく、何らかの理由で落ちたものを食べたものと思われる。強いて農地的な食物といえばカキノキの果実で、カキノキは高校敷地にもあり、タヌキがそれを食べるところもセンサーカメラに撮影された(図7)。しかしカキノキ果実の利用期間は短く、占有率も小さかった。したがってここのタヌキは農作物をほぼ利用していないといってよい。
 そうした中にあって高校の敷地内や周辺にエノキとムクノキが比較的多くあり、タヌキはこれらの果実に依存的である時期が長かった。ただし、タヌキが利用した果実の種数は少なく、これまでのタヌキの食性分析では種子は20種前後検出されることが多かったが、本調査地では7種にすぎず、非常に乏しいといえる。関東地方の里山のタヌキの食物からは、キイチゴ、クワ属、ミズキ、サルナシ、ヒサカキなどが高頻度で検出されるから(Hirasawa et al. 2006; Sakamoto and Takatsuki 2015; 高槻ほか 2020)、これらがなかったことは孤立した市街地にある高校とその周辺という、植物相の単純な環境を反映したものと考えられる。そのことを含め、本事例はタヌキの食性が日和見的であるという見解(Hirasawa et al 2006, Takatsuki et al. 2021)を支持するものであった。

■文献
     Akihito, Sako, T., Teduka, M. and Kawada, S. 2016. Long-term trends in food habits of the raccoon dog, Nyctereutes viverrinus, in the imperial palace, Tokyo. Bulletin of National Museum, Natural Science, Series A (Zoology) 42: 143–161. 
     Enomoto, T., Saito, M. U., Yoshikawa, M. and Kaneko, Y. 2018. Winter diet of the raccoon dog (Nyctereutes procyonoides) in urban parks, central Tokyo. Mammal Study 43: 275–280. 
     Hirasawa, M., Kanda, E. and Takatsuki, S. 2006. Seasonal food habits of the raccoon dog at a western suburb of Tokyo. Mammal Study 31: 9–14. 
 Sakamoto, Y. and Takatsuki, S. 2015. Seeds recovered from the droppings at latrines of the raccoon dog (Nyctereutes procyonoides viverrinus): the possibility of seed dispersal. Zoological Science 32: 157–162. 
 酒向貴子・川田伸一郎・手塚牧人・上杉哲郎・明仁.  2008. 皇居におけるタヌキの食性とその季節変動. 国立科学博物 館研究報告 34: 63–75.
 Stewart, D. R. M. 1967. Analysis of plant epidermis in faeces: a technique for studying the food preferences of grazing herbivores. Journal of Applied Ecology 4: 83–111. 
 Takatsuki, S., Miyaoka, R. and Sugaya, K. 2017. A comparison of food habits between the Japanese marten and the raccoon dog in western Tokyo with reference to fruit use. Zoological Science 35: 68–74.
 高槻成紀・岩田 翠・平泉秀樹・平吹喜彦. 2018. 仙台の海岸に生息するタヌキの食性  - 東北地方太平洋沖地震後に復帰し復興事業で生息地が改変された事例 -. 保全生態学研究 23: 155-165.
 高槻成紀・山崎 勇・白井聰一. 2020. 東京西部の裏高尾のタヌキの食性―人為的影響の少ない場所での事例―. 哺乳類 科学 60: 85–93. 
高槻成紀・高橋和弘・髙田隼人・遠藤嘉甫・安本 唯・野々村 遥・菅谷圭太・宮岡利佐子・箕輪篤志. 2018. 動物の食物組成を読み取るための占有率 − 順位曲線の提案−集団の平均化による情報の消失を避ける工夫 −. 哺乳類科学, 58: 49-62.
 Takatsuki, S., M. Inaba, K. Hashigoe, and H. Matsui. 2021. Opportunistic food habits of the raccoon dog – a case study on Suwazaki Peninsula, Shikoku, western Japan. Mammal Study, 46: 25-32.
 高槻成紀. 2017. 東京西部にある津田塾大学小平キャンパスにすむタヌキの食性. 人と自然 28: 1–10.
 高槻成紀 ・釣谷洋輔. 2021. 明治神宮の杜のタヌキの食性. 鎮 座 百 年 記 念 第 二 次 明 治 神 宮 境 内 総 合 調 査 報 告 書 第 2 報 : 91-100.
 手塚牧人・遠藤秀紀. 2005. 赤坂御用地に生息するタヌキの タメフン場利用と食性について. 国立科学博物館専報 39: 35–46. 
 Whittaker, R. H. 1952. A study of summer foliage insect communities in the Great Smoky Mountains. Ecological Monographs, 22: 1-44.
 山本祐治・木下あけみ. 1994. 川崎市におけるホンドタヌキ Nyctereutes procyonoides viverrinus個体群の死亡状況と生命表. 川崎市青少年科学館紀要 5: 35-40.

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ヤマネ

2022-12-14 09:04:22 | 最近の論文など
2022年11月27日に八ヶ岳自然クラブからフクロウの巣箱から確保した巣材が送られてきました(12月10日)。巣材は樹皮のチップが入っていて、フクロウの食べ物がその中に入っているので、ネズミの骨を調べています。そのうちの一つの中にヤマネの死体がありました。食べ跡はなく、骨も壊れていませんでした。

側面 体重17g、オス

背面




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ゴマについて

2022-12-05 12:20:41 | 研究
9月くらいから目に付く種子が出ていました。私はイネ科の何かだと直感して色々調べてみましたが、どうも該当しません。そのうちわかるだろうと思っていましたが、11月にはこれが大量に出てくる分がいくつもありました。これはなんとかしないといけないと思っていたのですが、糞を回収してくれている稲葉さんとやりとりをしていたら「おむすびでも食べてそのゴマが出てきたんでしょうか」というコメントがあり、ハッと思いついて我が家のゴマを見たらピッタリです。写真の左側がゴマそのもので、右側はタヌキの糞から出てきたものです。


稲葉さんに聞くと、ゴマの畑は見当たらないとのことですが、残飯で確保できるような量ではないので、家庭菜園でもあるのかもしれません。
 いずれにしても一件落着でホッとました。

コメント
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