高槻成紀のホームページ

「晴行雨筆」の日々から生まれるもの

都庁水道局を訪問 2023.9.1

2023-09-01 10:40:18 | その他
私たちは小金井の桜並木の復活において樹林伐採が行われたことは問題があるとして関連団体とともに活動をしています。大きい問題は樹木の伐採が小金井だけでなく、玉川上水全体で進められていることで、砂防学や森林科学で定説とされている「樹木は土壌流失を防ぐ」こととは真っ向から違う樹林管理がされています。実際に松影橋近くでは樹木伐採の結果土砂崩れが起きました。
 こういう問題を委員会への質問という形でまとめ、資料とともに東京都水道局に持参しました。高槻と加藤嘉六さんが書類を持参し、都議の漢人あきこさんと岩永やす代さんが同道くださいました。しかし経理部用地担当課の武井豊課長は「委員には渡せない」と拒絶しました。
 高槻は「委員会は都民のためにあるはず、そうであれば都民がする質問が渡せないというのはおかしいではないか」と説明しましたが、課長は「委員会は局にアドバイスするためのもので、質問に答えるものでない」の一点張りでした。漢人都議が強くサポートしてくださり、心強かったのですが、結局態度は変わらなかったので、書類は一部を渡して引き取りました。

左より 岩永都議、漢人都議、高槻、武井課長

 その質問に答えるかどうかは委員が判断すれば良いので、手渡すことさえしないというのは東京都の態度として正当性があるとは思えないと感じました。



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キツツキの形態 - 木をつつくために

2023-08-09 07:06:41 | その他

ご承知のように、キツツキは非常な速さで木をつつきます(ドラミング)こちら。その速さは1秒に7、8回だそうです。もちろんそのために、スズメやカラ類などに比べると細長くて丈夫な嘴を持っています。


図. いろいろな嘴(World of Birds)

頭を打ち付けるために脛骨(首の骨)が丈夫で、筋肉も特別に良く発達しています。


図. よく発達した首の筋肉(a false(red)startより)

 キツツキは木の幹上を素早く動きますが、その動きは両足と尾羽の3点が幹に接することで安定します。そのため、キツツキの尾羽は軸(羽軸)が非常に太く、短く、丈夫です。


図. キツツキは両足と尾羽の3点で安定(how the woodpecker avoids a headacheより)

 また尾骨も他の鳥のものよりよく発達して尾羽の安定化の基礎になっているそうです。羽軸の付け根が大きく窪んでいるそうですが、私がみた写真や図では未確認で、そのうち標本を見たいと思っています。


図. キツツキの骨格。尾骨に着目(pixelsより)。

 キツツキの舌が長いことは知っている人が多いと思いますが、その長さたるや口の奥から脳の上をぐるりと回って、さらに目を越えます。舌は口の奥の方で枝分かれして後頭部で合流するので、伸ばすとハート型のような特殊な形です。


図. キツツキのなが〜い舌(BirdWatchingより)


図. 2股に分かれたハート型の舌(Lizzie Harperより)

 舌の先端は少し広がり、逆棘がついていて昆虫を捉えやすくなっています。


図. キツツキの舌の先端部(Wamg et al. 2011より)

しかも舌には舌骨(ぜっこつ)という骨がついていて、木を打つ時の衝撃緩和に役立っているそうです。

 
キツツキの舌骨。頭骨を覆うようについている線状の骨
(左 Museum of Osteology、右 The Talk Origins Archiv)

 キツツキの木の突き方は、速いだけでなく強いもので、高速度撮影したものをスローモーションで見るとつついた直後に頭を包む肉の部分と羽毛が大きく揺れ動くことがわかります(こちら)。

「頭が痛くないのだろうか」と心配になりますが、これまで、その強い衝撃をやわらげるために、キツツキの頭骨にさまざまな特殊化がなされていると説明されてきました。例えば、頭骨は中がスポンジ構造になっていて、脳に衝撃がかからなくなっています。


図. キツツキの頭骨のスポンジ構造(Wang et al. 2013より)

 また、嘴を打つ衝撃は頭骨にかかるため、上嘴が上に曲がらないように前頭部が膨らんだ構造になっています。


図. 上嘴が衝撃で上に曲がらないよう、頭部前方が膨らんだ構造になっている
(Jung et al. 2016)

 下の嘴(つまり下顎)は頭骨の末端近くまで伸びており、末端が頭骨に接する部分に「方骨」という特殊な骨が発達していて、蝶番(ちょうつがい)になり、木を突いた時の衝撃が頭には少なく、首の筋肉に分散するようになっています。

 ところが、これらが緩衝機能を持つためだということが真っ向から否定されました。2022年のことです。この論文の著者ワッセンバーグは以下のように問いかけます。「打ち付ける衝撃を頭骨が吸収するということは、嘴を木に打ち付けた衝撃を頭骨に伝えにくくするということである。これをハンマーに例えれば、先端部と基部のあいだにクッションがあることを意味し、そんなハンマーで釘を打っても力は伝わらないはずだ」と。もしそうであれば、嘴が木を打つ瞬間と頭骨がそれを受ける瞬間とにごく短い時間的ズレが生じているはずです。そこで実際にキツツキを飼育して高速度カメラで撮影してみると、嘴の先端、付け根、目の位置で、動きのずれはまったくなかったのです。このことは、キツツキの頭骨には緩衝機能はないことを意味します。つまりキツツキの頭骨は衝撃を受けているのです。
 ではなぜキツツキは大丈夫なのでしょうか。ワッセンバーグによれば、「頭が痛いはずだ」というのは、鳥から見れば巨大な頭を持つ我々サルの直感であり、キツツキの頭の大きさであれば脳に悪影響があるような力にはならないというのです。このことは実は2006年にギブソンが指摘しています。彼はキツツキが衝撃に耐えられるのは1)小さいため、2)衝撃時間が短いため、3)頭骨内での脳の接触面積が大きいため、であるとしました(Gibson 2006)。なおワッセンバーグはこの研究でイグ・ノーベル賞を受賞しました。

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玉川上水の保全活動

2023-08-05 10:04:39 | その他
玉川上水の保全について「玉川上水みどりといきもの会議」で活動していますが、現在ブログに不調があるため、最近のものはこのブログを使っています。ご了解ください。

2023年9月1日
 東京都庁の水道局に質問状を持参するも拒絶 こちら

++++++++++++++
玉川上水の保全活動のうち、小平328号線を考える活動に関心があるメンバーで集会を開くなど活動を始めました。以下はその記録です。

2023年5月7日
 シンポジウム「小平の玉川上水が危ない」を開催 こちら 
        動画(Youtube)は こちら
6月2日
 分断道路を考える集まりを開催 こちら
7月10日 
 坂上多津夫氏(元津田塾大学職員)に話を聞く会を開催 こちら
7月14日
 東京都建設局北多摩北部建設事務所を訪問 こちら(高槻)こちら(水口)
7月20日
 史跡玉川上水整備活用のための作業説明会(小平市・立川市域) こちら
8月20日
 学習会「小平の玉川上水が危ない 2」 記録は こちら 動画は こちら

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328号線影響評価書

2023-07-27 22:50:35 | その他
小平328号戦工事を認可した影響評価書があります。正確な名称は以下の通りで、私が読んだのは簡略版で、本冊があるようですが、それは目にしていません。それでも、問題の本質は十分にわかります。

「環境影響評価書案の概要−国分寺都市計画道路3・2・8号府中所沢線及び小平都市計画道路3・2・8号府中所沢線(国分寺市東戸倉二丁目〜小平市小川町一丁目間)建設事業」(平成23年)といいます。代表者は当時の石原慎太郎知事です。

 大気や水質の影響についてはここでは省略し、生物関係を見てみます。工事中の影響は樹林地を可能な限り残し、やむをえず伐採する場合は草本類を移植や表土を活用するので、「影響は小さいと予測します」とあります。可能な限り残し、移植などするという部分まででも多くの深刻な問題がありますが、だから影響は小さいと予測するという結論の粗雑さは呆れるばかりです。「できるだけ残す」の「できるだけ」が客観的にどのくらいの面積なのかの記述はありませんから、事業者が「できるだけ残した」と言えばよい訳で、「ザル法」と言えると思います。
 さらに読み続けます。希少種はあるが、生育ちの改変面積は可能な限り低減し、樹林地は可能な限り残し、やむをえず改変する場合は移植する努力をするから、「影響は小さいと予測する」としています。ここでも「できるだけ」が頻用されています。どのくらい破壊すればどういう影響が起きるかという記述はありませんから、要するにどうにでもなるということです。
 これに続けて工事完了後の影響も予測されます。工事をしなければ何が起きるかはわからないので、工事中の予測も完了後の予測も、上記のごとく「できるだけ」という逃げ道があり、無意味ですが、一応何が書いてあるかを確認しておきます。ここでも「できるだけ」が繰り返されますが、工事中の予測に書いてなかったことで注目すべきことが書いてあります。それは「環境樹林帯への植樹帯の設置により、連続した新たな緑被を創出します」という記述です。わかりやすく言えば「伐採はするが、木を植えるので大丈夫」ということです。それに続けて「植栽面積を足せば、伐採前よりも緑地は少し広くなる」とあり、だから問題ないと言わんばかりです。これは林をパッチワークのように捉え、「こちらが減るが、同じ面積あちらにつぎはぎを縫い合わせるから減ったことにはならない」ということです。そして「これにより影響は小さいと予測します」と結んでいます。

 これらを踏まえて、さらに驚くべき結論が書かれています。正確に引用すると「評価の指標とした<生物・生態系の多様性に著しい影響を及ぼさないこと>を満足すると考えます」となります。この文章には主語がありません。最初私は石原知事か、これを書いた人が満足するのかと思いましたが、文章から察すると人ではなく、「道路計画が影響を及ぼさないものである条件を満たしている」という意味のようです。それなら「充足する」あたりの言葉が普通だと思います。なぜこの粗雑な理屈の組み立てで、これが生態系に影響しないということになるか、いくら想像を膨らませ、善意に解釈してもさっぱり理解できません。できることならこれを書いた人に質問して、普通の言葉で説明してほしいと強く思います。この文章を書いた人のことを想像すると、「仕事とは言え、なんで自分がこんな文章を書かないといけないのだ」と思ったはずで、同情を禁じえませんが、ここではそんなことではなく、このような文章により、道路計画に妥当性を与えられたということの意味の深刻さを考えなければなりません。
 

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小平328号線問題

2023-07-27 21:59:46 | その他

 東京都林務課から小平328号線が通過する中央公園の南側で土壌調査をするという連絡がありました。そして私(高槻)が関わる野草などの調査には影響しないという説明があったので、特に問題視していませんでしたが、水口さんは、これはいよいよ工事の動きがあるのではないかという考えでした。水口さんは10年前にこの道路問題を取り上げて住民投票の活動をし、残念ながら小平市がそれを「投票率が低い」という理由で開票しないという事態になり、工事が決定されるということがありました。そうしたことがあり、このことを取り上げる必要があると感じました。
 大きくいうと5つの重要なポイントがあります。また、東京の樹木伐採という意味では明治神宮外苑の街路樹伐採などとも共通の課題であり、私たちが考えなければならない問題だと思います。こちら

1)この計画は1963年に立てれられたもので(こちら)、当時は日本中で「開発」が行われた時代でした。その後、半世紀以上経過して社会は大きく変化しました。自然保護のシーンで言えば生物多様性の考え方が浸透しましたし、SDGsは社会の大きな目標となりました。同時に保全生態学も大きく発展し、森林の保護についての基本的考え方も変化しました。にもかかわらず、当時の計画がほぼそのまま進められてよいのか。これは、我々の世代がよく考えなければならないことです。

2)中央公園南側を含む小平の玉川上水の緑地は、他の場所に比べて幅が広く、上流のように両岸の植生が強く管理されることがないため、自然状態がよく、動植物が豊富です。この場所に幅が36メートルもある水平(地上)道路がつけば、連続的であることに価値がある玉川上水の緑地が分断され、測り知れない影響が予測されます。こちら

3)コゲラというキツツキの仲間は状態の良い林があることが必要ですが、この鳥は「小平市の鳥」に選ばれています(こちら)。我々の調査によればコゲラは玉川上水の中でも小平で最も個体数が多く記録され(こちら)、まさに「小平の鳥」にふさわしいことが裏付けられました。その意味でこの場所の樹林が伐採されることは、小平市にとっても大きな問題です(こちら(準備中))。私たちは、この林を「小平コゲラの森」と呼ぶことを提唱します。


Bは「どんぐり林」と呼ばれている。Aを「小平コゲラの森」と呼びたい。

4)「小平コゲラの森」には実に85種もの鳥類がいることが確認されています(大出水データ)。東京の都心には皇居、明治神宮、赤坂御所などの大きな林があり、鳥類調査がおこなわれています。種数は皇居が86種(西海ほか 2014, 黒田ほか 2017)、明治神宮には最近の調査では94種(柳澤・川内 2013)、赤坂御所は46種です(濱尾ほか 2005)。このことは、小平コゲラの森には、東京にあって例外的に広く、厳格に保護されている皇居や明治神宮に匹敵する種数の鳥類がいるということであり、驚くべきことです。
 内訳を見ると、明治神宮だけにいる鳥類は11種おり、その主体は水辺にいる鳥類です。皇居だけにいる6種も主にカモ類です。小平コゲラの森だけで記録されたものは10種います。小平コゲラの森と明治神宮の2ヶ所だけで記録されたものは7種いて、これと小平だけの10種を合わせた17種のうち8種は樹林性の鳥です。それを挙げると、アオバズク、アオバト、クロツグミ、コジュケイ、トラツグミ、ホトトギス、マミチャジナイ、ゴジュウカラです。
 明治神宮の森は鬱蒼とした常緑広葉樹林であり、その明治神宮の森と小平コゲラの森に共通な種の半数が樹林性の鳥であるということから、「小平コゲラの森」がこのような鳥類の生育地として適したものであることが分かります。


「小平コゲラの森」、皇居、明治神宮、赤坂御所の鳥類種数の比較

5)「小平コゲラの森」にはコゲラのほか、キツツキとしてアオゲラとアカゲラがいます。個体数ではコゲラが15位、アオゲラは26位、アカゲラは58位です。キツツキは木の幹をつついて中の昆虫などを食べます。そのために全身にそれに都合のよい構造を持っています(こちら)。その形態にも驚きますが、生態学的、つまり環境やどの他の生物との関係という視点で見たキツツキの重要さは、穴を開けることが、他の鳥類の棲家や巣として利用されるということにあります。つまりキツツキがいるおかげで、穴を開けることができない多くの動物が暮らせるようになるということです。1990年代以降の研究により、キツツキはその林の生物多様性に大きな貢献をしているということがわかってきました(準備中)。この意味で、「小平コゲラの森」に地上道路がつくことははかり知れない影響があることがわかります。

これらの問題を多くの人に知ってもらうために集会を開くなどの活動を始めることにしましたこちら)。

文献

黒田清子・小林さやか・齋藤武馬・見恭子・浅井芝樹. 2017. 2013 年 7 月から 2017 年 5 月までの皇居の鳥類相. 山階鳥学誌, 49: 8-30.
西海 功・黒田清子・小林さやか・森さやか・岩見恭子・柿澤亮三・森岡弘之. 2014. 皇居の鳥類相(2009年6月-2013年6月). 国立科博専報, 50: 541–557.
濱尾章二・紀宮清子・鹿野谷幸栄・安藤達彦. 2005. 赤坂御用地の鳥類相(2002年4月-2004年3月). 国立科博専報, 39: 13-20.
柳澤紀夫・川内 博 2013. 明治神宮の鳥類 第2報.「鎮座百年記念 第二次明治神宮境内総合 調査報告書」鎮座百年記念第二次明治神宮境内総合調査委員会編 pp.166-221.
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杉並の鳥類群集と放射5号線の影響

2023-07-27 14:43:29 | その他
玉川上水はもともと43kmの水路でしたが、高度成長期に杉並の浅間橋より下流は暗渠化されました。したがってここが開渠部分の最下流となります。都心に近いため、人口も多く、都市化が進んでいます。そして2019年に放射5号線が開通しました。地元で玉川上水の動植物を調べてこられた大塚惠子さんはこのことに危機感を覚えて、2017年から鳥類調査を続けてこられました。そのデータを見せてもらい、明らかに開通後に鳥類が減少したことがわかったので、三鷹で調査をしてこられた鈴木さんにも声をかけて杉並での調査結果を合わせて、放射5号線の影響について論文にしました。

大塚惠子・鈴木浩克・高槻成紀. 2023. 玉川上水の杉並区に敷設された大型道路が鳥類群集に与えた影響. Strix, 39: 25-48. こちら
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玉川上水の保全関連

2023-07-27 13:57:57 | その他
玉川上水の保全関連の調査・活動を行なっています。

1)小金井の桜並木と台風被害について こちら
2)玉川上水の鳥類群集について こちら
3)久我山の鳥類群集と放射5号線の影響について こちら
4)小平328号線の問題点について こちら

活動の記録は こちら
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東京都北多摩北部建設事務所 訪問記録メモ(水口)

2023-07-14 07:11:59 | その他
東京都北多摩北部建設事務所 訪問記録メモ(水口)
 日時:2023年7月14日
 参加者:小口、加藤、高槻、松山、リー、水口、竹井都議
 対応:中田和範(工事第一課長)、柘植憲彦(同課長補佐)、吉山順一(同工務担当)、中川恵一(用地第一課長)、池田昌弘(同専門課長)

(1)小平328号線計画の進捗状況について
・用地取得状況は7割とのことだが、今後の見通し
 現在、土地の買収は7割程度になっている。事業に反対している人や移転先が見つからない人など、難しい案件が残っているので、今後、買収のスピードは停滞する可能性がある。

・今年度に設計を行う予定か
 今年度に予備設計を行いたいと考えている(予備設計の次は、詳細設計)。設計者は、一般競争入札で決める。今年度に予算は確保している。

・玉川上水緑道部での地質調査の結果は
 玉川上水に橋をかけるにあたって、構造上問題はないか、設計するために地盤の固さなどを調べた。史跡の調査も兼ねている。地下15mまで、直径10㎝の穴を開けて、土の状況をみた。15mまで地下水にはあたらなかった。結果は今年度中にまとめ、開示請求されれば開示する。
 

(2)小平328号線計画の今後の予定
・地質調査の結果が出たら、史跡への影響を審査する委員会を立ち上げる予定か。
 委員会立ち上げは考えている。国分寺328号線のときの例を参考にする。委員会の会合は、半年から1年間くらいかけて、2.3回行う。非公開。委員は、学識経験者、本庁の担当者、市の文化財担当者など、10名前後になる。
質問:非公開の理由は? 
回答:これまでも公開していないため。

・国分寺328号線と同様に、小平328号線計画沿道30m内の住民が参加する話し合いの場は設定されるのか。
 国分寺328号線のときを参考に、検討している。両側10mずつの環境施設帯をどのようにするかについて話し合う。まだ決まっていない。

・今後、市民が意見を言える場はあるか
 問い合わせいただけば、北北建で対応する。

(3)国分寺328号線の状況について
・用地取得ができていない部分が数か所残っていると聞いていたが、その現状は。
 3か所が残っている。そのうち2か所は、北北建が対応し、1か所は道路整備保全公社の管轄になる。現在、交渉中である。

・2027年度に完成予定か。
 工事がまだ残っており、未定。全部が開通するまで2~3年はかかる。
・2017年4月に開通した部分の事後アセス(交通量調査)の実施状況
 開通直後以外、交通量調査はしていない。東京都環境局が、騒音、振動、大気汚染などについて、アセスを行い、基準オーバーがあれば、改善措置を行う。
質問:建設局がつくった道路が、たとえば環境影響評価で基準値を超えるなど問題が生じた場合はどうなるか。
回答:環境局が是正措置を求める。)
質問:温度は評価しないのか。 
回答:温度は、アセスの項目になっていない。

(4)小平328号線に係る予算・決算の状況(添付ファイル参照)
・令和2年度以降の決算額と、令和3年度以降の予算額
 本庁の所管課に請求してほしい。

(5)交通センサスの実施状況
・平成27年度以降の実施状況と、府中街道の交通量
 平成27年度秋と、令和3年度に実施しており、府中街道津田塾大学前の1日往復交通量は、平成27年度が19,824台で、令和3年度が19,313台で、あまり変わっていない。

(6)小平328号線を地下あるいは高架にする場合の課題
・用地取得への影響等
 地下にする場合、地下に入る部分は、現在の36m幅よりも両側5mずつくらい広げる必要がある。都が土地を購入した後、予定地の外側に自宅を再建した人もおり、そこを再度広げるとなれば、説明が必要で、合意を得るのは難しい。

質問:地下あるいは高架に変えた例はないのか。 
回答:用地買収に入っている段階で変えた例はない。)
質問:玉川上水で自然観察会をしているが、変形菌が20種以上いる。そのように多くの種類がいるのは珍しく、玉川上水の生物の多様性が豊かであることがわかる。残すべきではないか。 
回答:ここに橋をつくってほしくない、という意見もあるが、早くつくってほしいという意見もある。)
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フクロウの食性分析

2016-11-01 11:16:02 | その他
麻布大学いのちの博物館でおこなう「フクロウの巣残存物の分析」作業に参加する人のために説明を書いておきます。

 八ヶ岳では、地元の自然愛好家のグループ(八ヶ岳自然クラブ)がフクロウの巣箱かけをして、営巣、巣立ち確認のデータをとっておられます。フクロウはネズミ食に特化した猛禽ですが、ある人がその巣に残された小骨を集めてネズミの下顎から識別をしました。その人はその後その調査をしなくなったので、八ヶ岳自然クラブは巣材は捨てたそうです。それはもったいないということで翌年からは麻布大学動物応用科学科の野生動物学研究室でそれをもらいうけて分析することにしました。鈴木大地くんという皆さんの先輩が卒論を書き、「牧場の近くではハタネズミが多いが、森林になるにつれて減少する」ことを明らかにし、これは国際的な雑誌の論文になりました。


八ヶ岳の牧場からフクロウ巣の距離と残存物に占めるハタネズミの割合.牧場に近いほどハタネズミの割合が高い.Suzuki et al. 2013 より。論文を希望される方は高槻にご連絡ください。takatuki@azabu-u.ac.jp

この経緯などは「動物を守りたい君へ」(岩波ジュニア新書)に書いたのでよんでください。その後は落合さんがひきついで分析を続けてきましたが、彼女は今年の春で修士を修了しました。八ヶ岳自然クラブはその後も分析を期待しており、今年度は麻布大学いのちの博物館で分析することになりました。そこでミュゼットを含む麻布大学の学生に共同作業をお呼びかけています。

 作業は巣の残存物をフルイを使って大きな破片を除き、残りのものからネズミの骨をピンセットで取り出すというものです。これは教育的にもたいへん効果の大きいもので、数年前に高校生を対象におこなったことがあります。分析したことの意味を考えると、たいへん奥行きのあることがわかります。このときのことは麻布大学雑誌に記録をしたほか、一般に向けて紹介しました。
 こうして取り出した骨は標本箱に配列し、博物館の資料として保管します。


フクロウの巣から検出されたネズミの骨の標本

 そのために、ネズミの骨の勉強をしてもらい、識別能力をつけます。さまざまな骨が検出されるので、勉強になりますが、分析に使うのは下顎で、これは分析能力のすぐれた落合さんに確認してもらいます。

 八ヶ岳自然クラブから6つの材料が届いているので、2つを3回にわけて作業します。日程は下記のポスターをみてください。1日2つを2班に分けておこないます。2時間くらいですむと思います。


報告 11月19日に第1回目の分析をし、順調に進めることができました。
学生9人と八ヶ岳自然クラブの人2人が参加し、ネズミの骨の勉強をしながら、小骨を取り出しました。


分析をする学生


八ヶ岳自然クラブが提供くださった写真パネルと標本箱に並べたネズミの骨。パネルはネズミをとらえる瞬間のフクロウなどすばらしい写真があります。ネズミの骨はかつて同じ八ヶ岳のフクロウの食性分析をしたときに作った標本です。

八ヶ岳自然クラブの田中様からのお便り
高槻先生
 3回にわたって行われたフクロウ巣材分析のワークショップ、高槻先生にはいろいろとご配慮をいただき本当にありがとうございました。八ヶ岳自然クラブとして3回の催しで延べ10名の者が参加させていただいたことになりますが、参加者全員が非常に満足したとの感想を述べて帰りました。
 私たち”高齢者グループ”にとっは、若いはつらつとした学生さんたちとの交流は何十年前の学生生活に返ったような楽しい時間でした。そして、”現代っ子”の皆さんが、あのような一見ジミな作業に黙々と真面目に取り組まれている姿を見て、現代若者像の別の側面を見たような嬉しい体験でした。
 分析素材の前処理、ワークショップ運営の立案・準備、等々、高槻先生は大変なことだったろうとお察ししますが、お陰さまで私たちは貴重な体験をさせていただきました。改めまして心からお礼申し上げます。
また、気持ち良く共同作業をしていただいた学生さんたちにも感謝申し上げます。どうぞよろしくお伝え下さい。

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その他の骨

2016-11-01 08:16:53 | その他
ネズミの骨の主要なものです



肩甲骨、尺骨(左)と上腕骨(右)

  
寛骨、大腿骨、脛骨
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作業手順

2016-11-01 05:33:22 | その他
サンプルは6個ある。

1)分析するサンプルを決める。
2)フクロウの巣箱は底にチップを入れてあるので、ふるいを使うなどしてこれを取り除く。
3) 残りの細かな残存物を容器にとりだし、そこから小骨、羽毛をピンセットで取り出して、シャーレに入れる。
4) シャーレは「頭骨」「下顎」「寛骨」「四肢骨」「その他」くらいに分け、取り出したものをそれぞれのシャーレに入れる。
5) 取り出したらチャック袋にサンプル番号、骨の部位などを書いて納める。
6) このチャック袋を大きいチャック袋に納める。
7) このとき、標本の骨と見比べてどこの骨かなどを確認すると勉強になる。

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ネズミの下顎

2016-11-01 01:45:43 | その他
ネズミの頭部は下の図のようになっていますが、フクロウは飲み込んで分解しますから、頭部と下顎は別々になってでてきます。頭部は割れていますが、下顎はだいたいそのままでてきます。


     ネズミの頭部

下の写真はフクロウの巣の中から取り出したネズミの下顎です。実際にはこれ以外の骨もたくさんでてきます。



おもに出てくるのはアカネズミの仲間とハタネズミの仲間です。アカネズミの仲間は森林にすむので「森ネズミ」と呼ぶことにします。いっぽう、ハタネズミの仲間は草原にすみますから、八ヶ岳では牧場によくいます。歯をみるとその違いがよくわかります。森ネズミのほうはヒトの歯とも共通な歯根をもっていますが、ハタネズミのほうはダンボールのような「壁」が上から下まで続く特殊なものです。これは歯の摩滅に対する適応と考えられています。アカネズミは果実や動物質など栄養価が高く、消化率のよい食物を探して食べますが、ハタネズミは草の葉や地下茎など硬い食物を食べ、腸も長く、盲腸が発達するなど、粗食に耐えることができます。歯はそういうことを反映しています。
 このことから下顎があれば、ネズミの種類を判別できるのです。

 
左 アカネズミの下顎、 右 ハタネズミの下顎


左 アカネズミの歯、 右 ハタネズミの歯

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フクロウ実習

2016-11-01 01:25:14 | その他




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落合さんによる分析

2016-11-01 01:25:10 | その他
これは八ヶ岳自然クラブの写真展で、分析内容を紹介してほしいという依頼があり、それに応えて作成したものです。



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