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「晴行雨筆」の日々から生まれるもの

中部日本の八ヶ岳と南アルプスの高山帯に侵入したニホンジカの食物

2020-07-14 08:54:50 | 研究
2020.7.14
Kagamiuchi, Y. and S. Takatsuki.  
Diets of sika deer invading Mt. Yatsugatake and the Japanese South Alps in the alpine zone of central Japan.
(中部日本の八ヶ岳と南アルプスの高山帯に侵入したニホンジカの食物)              
Wildlife Biology 2020: wlb.00710 こちら
 八ヶ岳と南アルプスで山地帯、亜高山帯、高山帯の3カ所でシカの糞をサンプリングした。山地帯では2カ所で結構違ったが、高くなるにつれてイネ科が多くなり、組成が似ていた。驚いたことに、高い山の方がタンパク質含有率が高い、つまり栄養価が高かった。意外だったので、文献を漁ったら(日本にはない)、アメリカとヨーロッパで同じことを指摘した論文があった。日本ではこの20年くらいで低地でシカが増えて高地に分布を拡大したのだが、高い山での生活は、少なくとも食物の質という意味ではプラスの面があるということがわかった。

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