忘却への扉

 日記? 気づいたこと 何気ないひとこま 明日への伝言 願い 子供たちに 孫たちに そしてあなたに・・ 

きえるうで

2013-04-06 | 追憶
 「あそこに その仕事は無理よ できる職人がおらんもん」 先日頼んでいた仕事のできばえを確認に行った人が、素人なみの仕上がりを見て嘆いているのを聞いて1人が言った。
 専門の会社を名乗った職場で働く社員か作業員であっても、技術と知識に応用力を身につけ経験を積み重ねてこそ誰もに信用される職人になれる。
 建築の監督をする人が「土方(どかた)言うて バカにしたら いけんぞ。ほんとの土方いうたら それなりに土木の技術をしっかり 身につけとるがじゃけんの」と話したのを想い出す。
 先週木曜日にお墓工事の進み具合を見に行った折り、道路横で生け垣の剪定をしていた知人で造園業の庭師さんに声かけた。「丁寧な仕事 しよんなはるな」 小さな枝葉を左手で触りながら右手に持つ職人用の剪定鋏でチョキチョキ手早く切っていく。
 「電動チェーンソーを使えば簡単なのに… 」 と冗談気に言えば、「どこまりの庭師に頼むと ほんとに使うぜ。近頃は長柄の枝切り鋏でやる人は多いけんな」
 「廃業する同業者も増え 人が足りず元庭師に応援を頼んでも 鋏をどう使うか知らんけん 教えて仕事をさせることもある」 なるほど玄関横の庭木の出来映えを見れば私にも他との違いはすぐわかる。
 仕事は違うが私の父も職人で亡くなり半世紀近く経っても話に出てくるのは、皆さんのおかげでもあり嬉しく思う。父の時代は業種名はあったが仕事はなんでも屋、どれも職人でこなせて信用されごひいき頂く。庭石で囲った池や門柱に石積みの塀から彫刻など、お客事には和風料理の細工ものの鉢盛り料理作りにも呼ばれていた。職人が育ち伸びる国であって欲しい。