忘却への扉

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朝鮮戦争でも日本人戦死

2014-06-30 | 平和を
 《 連続評論 平和国家の行方 》 【 戦後初の戦死者 】 《 米軍圧力 遺族に口封じ 》 2014/6/27 地方紙記事より
 [安倍晋三首相より1歳年下の私は、生れ故郷・横浜の町角で子どものころに見かけた傷痍(しょうい)軍人の姿を今でも思い出す。不自由になった体で、施しを求めて生きる姿は痛ましいものだった。
 集団的自衛権の行使をめぐる政治の動きは、平和を旗印にした公明党が自民党にすり寄る形で、立憲国家の土台が根底から揺らいできた。
 1950年6月25日の朝鮮戦争勃発から間もなく64年。平和憲法の施行下で北朝鮮沖へ機雷の除去作業に派遣され命を落とした海上保安庁職員がいたことはあまり知られていない。
 米軍の密命を受けての掃海行為は、まさに朝鮮半島有事の際の集団的自衛権行使を先取りした形で、不戦を誓った時代に戦死者を出した意味について考えるべきだろう。
 大阪市浪速区の中谷藤市さん(87)方を10年ぶりに訪れ、弟坂太郎さん=死亡時(21)=の遺影を拝ませてもらった。
 米国とソ連の対立を背景に韓国と北朝鮮が半島のほぼ全域で3年間にわたり戦火を交わした朝鮮戦争。米主導の国連軍が計画した元山上陸は、北朝鮮軍の機雷に前進を阻まれていた。
 このため、マッカーサー国連軍最高司令官から当時の大久保武雄・海上保安庁長官=故人=に極秘の出動命令が下され、「吉田茂首相も翌年の日米講和条約を有利に締結させるため許可した」(大久保著「海鳴りの日々」より)とされている。
 そこで編成されたのが25隻からなる日本特別掃海隊で、下関を出港した坂太郎さんの掃海艇は同年10月17日、元山沖で機雷に触れて爆発し、同乗の23人中ただ1人帰らぬ人となった。
 「弟の死から一週間後に米軍関係者が父親のところを訪れ、公になると国際問題になる。瀬戸内海で死んだことにしてほしいと口封じをされた」
 その後、大久保氏の回顧録で、真相が明らかに。納得がいかない中谷さんは、弟は戦後の戦死者第1号として09年に靖国神社に合祀(ごうし)を求めたが、「範囲は大東亜戦争まで」を理由に認められなかった。
 安倍首相は集団的自衛権が必要な理由について米艦での邦人保護などを挙げたが、忘れてほしくないのは今後も坂太郎さんのような戦死者を出し、町中に傷痍軍人があふれる時代が来ていいのか、という点だ。
 中国大陸での従軍経験を持つ中谷さんは「尖閣諸島をめぐる動きを見れば、集団的自衛権は必要かもしれない。しかし、時の政権の意向だけで憲法解釈を変更するなら違憲行為のそしりは免れない」と話す。
 安倍首相は昨年暮れに悲願の靖国参拝を果たしたが、中谷さんの合祀問題をどう考えるのか。
 同世代の人間から見て、首相の思考と行動は深みに欠けるように思えてならない。名宰相として歴史に名を残したいのなら、戦中派の声にも謙虚に耳を傾ける必要があるだろう。]  (共同通信編集委員 上野敏彦)

将軍様の専権と独断だけが

2014-06-30 | 平和を
 【 首相「公明切ってでも」 】 2014/6/28 《 集団的自衛権 法整備 》 地方紙第1面トップ記事のつづき
 [絶対に閣議決定をする。公明党を切ってでも、内閣支持率が下がろうとも絶対にやる」。6月上旬、安倍晋三首相は周囲に胸中を吐露し、集団的自衛権の行使を可能とする憲法解釈変更の閣議決定を急ぐ姿勢をむき出しにした。8日には、決定先送りの動きを察知して、官邸スタッフを前に「そんなことは絶対に許さない」と激怒した。
 いずれも、公明党に先送りの期待を持たせれば、協議はいつまでたってもまとまらないとの危機感からだった。当初は昨年中に決着したかったが持ち越した。首相にすれば、これだけ配慮しているのに、なお難色を示すのかとのいら立ちもあったのは間違いない。
 憲法解釈の閣議決定は、自民、公明両党の27日の協議を経て、7月1日に行われる方向となった。国会論戦も乏しく野党から「国民不在」との批判を受けた1カ月余りの議論により、日本は戦後の長きにわたり自らを縛ってきた封印を解く。
 首相側は慎重姿勢の公明党を再三にわたる圧力で翻弄(ほんろう)。連立維持を優先した「平和の党」は、首相の勢いに押しこまれた。日本の安全保障政策の大前提となる閣議決定が目前となった。背景を検証した。]

積極的に戦争をする日本へ

2014-06-30 | 平和を
 《 集団的自衛権 法整備 》 【 政府方針 行使8事例 可能に 】 《 国連武力行使で問答集 来月1日 閣議決定へ 】 2014/6/28 地方紙1面トップ記事より
 [政府は、集団的自衛権の行使容認が必要だとして与党に示した「邦人輸送中の米輸送艦の防護」や「米国に向かうミサイルの迎撃」 「強制的な停戦検査」など8事例全てを可能とする法整備に本格的に着手する方針を固めた。政府筋が27日、明らかにした。
 これに先立ち、政府は集団的自衛権行使を可能とする憲法解釈変更に向け、自民、公明両党の協議会に閣議決定最終案を27日提示した。解釈変更に大きな異論はなく、閣議決定の前提となる与党調整は事実上決着した。両党は持ち帰り、7月1日に閣議決定に踏み切り、同日中に記者会見して国民に説明する。
 また、戦時のシーレーン(海上交通路)での機雷掃海をはじめとする国連の集団安全保障に基づく武力行使について「新たな武力行使3要件を満たすなら憲法上許容される」と明記した想定問答集を政府がまとめたことが分かった。他国領域での機雷掃海へ限定的な参加を認める内容だ。
 集団的自衛権の行使に当たるとして禁じられてきた米艦防護などが可能になれば、仮に米国と北朝鮮が交戦状態に陥った場合、自衛隊参戦の可能性が高まる。政府は関連する武力攻撃事態法などの改正を秋の臨時国会以降に進める。
 小野寺五典防衛相は27日、記者団に対し、閣議決定後に法整備の態勢をとるよう省内に指示する考えを示した。与党協議では公明党が慎重論を展開したため、具体的な事例の是非は、明確な結論が出ていなかった。
 行使容認の事例は他に「武力攻撃を受けている米艦の防護」「有事の弾道ミサイル発射警戒時の米艦防護」「米本土が武力攻撃を受け、日本近隣で作戦を行う時の米艦防護」「国際的な機雷掃海活動への参加」「民間船舶の国際共同防護」。
 集団安保は、国連が侵略国などへの制裁として多国間の枠組みで対応する措置。閣議決定をめぐる与党協議では明確に規定されず参加に含みを残していた。自衛隊による海外での武力行使が拡大し、憲法9条の理念に抵触する懸念が強まる。]

【 集団安全保障 [国連を中心とした国際社会が他国を侵略した国に対して団結して制裁を科し平和を維持する仕組み。1990年にクウェート侵攻したイラク軍を、安保理決議に基づく米国中心の多国籍軍が攻撃した例がある。政府は、武力を伴う集団安全保障への参加は憲法で禁じられていると解釈してきた。同盟国などへの武力攻撃を自国への攻撃と見なして実力で阻止する集団的自衛権が、主として自国と連携先の2国間関係を対象に議論されているのに対し、集団安全保障は多国間の枠組みが基本となる。 】

実質解釈改憲に国民投票必要

2014-06-29 | 共に
 《 法治否定 強弁政治に 》 【 解釈改憲への流れ 識者懸念 】 《 手法の是非顧みられず 「あしき前例つくるな」 》 2014/6/26 地方紙記事より
[集団的自衛権の行使容認に向けた与党協議は大詰めを迎え〝解釈改憲〟が現実味を増す。憲法解釈変更という手法の是非が顧みられる様子はなく、識者らは「法治主義の否定だ」「歯止めのない『強弁政治』の前例となる」と懸念を募らせる。
 「改正手続きのハードルを下げることで『憲法を国民の手に取り戻す』と1年前には言っていたのに、改正の権利を国民から奪うようなものだ」
 上智大の高見勝利教授(憲法学)は安倍晋三政権をこう批判する。集団的自衛権について、国民の意思を直接問う憲法改正ではなく解釈変更で「行使できない」から「行使できる」へと百八十度変えようとしているためだ。
 憲法の基本原理の「平和主義」。それを具体化したのが戦争放棄、戦力不保持を掲げた9条だ。その解釈から、政府はこれまで、自国への攻撃がないのに武力を使う集団的自衛権の行使を禁じてきた。
 安倍政権の試みは、従来の9条解釈の拡大で「政府を縛る憲法上の制約が失われる。立憲主義国であり得ない」と高見教授。「これでは法治国家ではなく政治家が思い通りに物事を決める人治国家だ」と案じる。
 「憲法解釈の変更について2004年に閣議決定した答弁書を読んでください」。3月4日の参院予算委員会で、共産党の小池晃氏が求めた。
 答弁したのは当時の内閣法制局長官、小松一郎氏(6月23日死去)。小泉純一郎政権時の答弁書を堅い表情で読み上げた。
 「変更がおよそ許されないものではない」とする一方で「政府が自由に解釈を変更できる性質のものではない」「便宜的、意図的に変更すれば、政府の憲法解釈ひいては憲法規範そのものへの国民の信頼が損なわれかねない」という内容だ。
 テロ対策、イラク復興支援の両特別措置法で自衛隊の海外での活動領域を広げた政権が守った、その一線だった。
 9回を数えた与党協議の大半は、集団的自衛権行使容認を前提とした事例の検討や、閣議決定案の文言をめぐる調整に費やされた。こうした状況を、首都大学東京の木村草太准教授(憲法学)は「合理的な法解釈ではなく、どういう表現であれば公明党が『いい』と言うか、政治的な妥協の話になっている。きちんとした法律論が必要だ」と訴える。
 10日、飯島勲内閣官房参与は米国での講演で、公明党と支持母体の創価学会の関係に言及。公明党が「政教分離」を定める憲法規定に抵触しないとする根拠としている政府の憲法解釈が見直される可能性に触れた。
 行使容認に慎重な公明党への揺さぶりとみられたが、政権の「意図的な解釈変更」が広がる恐れはないのか。木村順教授は「安倍政権は現にやりつつあるし、悪い癖がつくのが心配だ」と警鐘を鳴らす。「一度許すと『必要だから必要だ』との強弁で、憲法の歯止めを超えた政策が推し進められかねない。あしき前例をつくってはいけない」]

日本国憲法への反逆決行…

2014-06-29 | 共に
 《 集団的自衛権実質合意 》 【 拙速な議論 国民への裏切りだ 】 2014/6/26 地方紙「社説」より
 [日本は攻撃される他国を守るために、自身が直接攻撃を受けていなくても武力行使できる国へ、今まさに変わろうとしている。
 自民、公明両党による安全保障法制の協議会は、集団的自衛権行使を可能とする閣議決定案の大枠で実質合意に至った。政府は、首相の外遊日程を考慮し、来月1日か4日の閣議決定を目指して前のめりに走り続けている。
 平和国家を根底から揺るがす政策の大転換だ。第2次世界大戦の重い教訓を受けて戦争放棄を誓い、国民を守ってきた憲法9条。平和の礎を、時の政権による解釈の変更で骨抜きにすることは、断じて許されない。国民に諮ることなく、与党協議による拙速な議論によって決定する暴挙にあらためて強く異議を唱えたい。
 与党協議において、自民党は当初示していた武力行使の3要件を、公明党に配慮し修正した。集団的自衛権の連携先は「他国」から「わが国と密接な関係のある他国」へ、「国民の生命や幸福追求の権利が根底から覆される恐れがある」の「恐れ」は「明白な危険」と改めた。
 しかし、文言を変えたところで、政権の判断次第で武力行使の拡大を招く懸念は全く変わらない。
 さらに問題なのは、国連が侵略国に対して安保理決議に基づき行う武力制裁に、自衛隊参加の道を開く可能性を残していることだ。
 憲法9条は、国際紛争を解決する手段としての武力行使を禁じているが、自民党は、自衛隊の海外展開につなぐ解釈を描いている。しかし、公明党から、一度は武力行使参加を否定した首相発言との整合性を問われると、協議長期化を避けるために議論を先送りし曖昧にした。
 「憲法が掲げる平和主義は守り抜く」と首相は強調するが、何の保証もない。日米安保の枠組みの中、正義の名の下で戦闘に加われば、日本独自の判断で撤退することは不可能だろう。同じ敵として見られ、テロ攻撃が自国に及ぶこともあり得る。憲法9条の縛りを解くことで、そうした大きなリスクを覚悟しなければならない。
 いざ自衛隊に戦地への出動を命じる事態になれば、特定秘密保護法によって、安全保障政策を理由に情報が国民の目の前から消されることも否定できない。
 このまま集団的自衛権行使容認の閣議決定がされれば、将来世代に禍根を残す。再考を求める。]

まやかしに相乗りし連立にすがりつく

2014-06-29 | 平和を
 2014/6/28 毎日新聞 【 社説 】より、つづき
 《 集団的自衛権 》 【 「平和の党」どこに行った 】 《 公明党の転換 》
 [実態は陥落であろう。集団的自衛権行使を可能とする憲法解釈の変更に慎重姿勢を示していた公明党が容認に転じた。
 海外での武力行使への歯止めをかけられない内容の閣議決定案の受け入れはこれまで培った「平和の党」の党是にもとる。9条の根幹維持よりも自民党との連立を優先した判断と言わざるを得ない。
 「二重、三重の歯止めがきき、拡大解釈の恐れはない」。山口那津男代表はこう語り、解釈変更の閣議決定の核となる「新3要件」受け入れを明言した。だが、「解釈改憲ではなく憲法解釈変更だ」(北側一雄副代表)と強調すればするほど説明の苦しさが浮き彫りになる。
 もともと山口氏は「(解釈変更は)国民に何も聞かず一方的にやることになり、憲法の精神にもとる」と主張していた。公明党はこれまでも安全保障政策の見直しを重ねてきたが、海外での武力行使を可能とする議論は全く次元が異なる。政府が挙げた事例ごとに、従来の個別的自衛権の範囲で対応できるかどうかを時間をかけて検証すべきだとした当初の主張は筋が通っていた。
 ところが、早期決着を譲らぬ安倍晋三首相の強硬姿勢に押される形で1972年の政府見解を根拠とする行使容認に踏み切った。今やタガは外れ、執行部が収拾を急いでいるようにすら見える。
 政府の想定問答が物語るように、同党が強調する「歯止め」はまやかしに過ぎない。同党が難色を示す戦時の機雷掃海も認められている。新3要件次第では集団安全保障による武力行使も可能だ。とても山口氏が胸を張るような成果を勝ち取ったとは言えまい。
 こうした対応に党所属国会議員や地方組織、支持団体の創価学会などから批判が出ても当然だ。山口氏はかつて「公明党はどこまでも自民党についていく下駄の雪」との批判に「(切れると歩けなくなる)下駄の鼻緒だ」と反論してみせた。だが、今回の経緯を見る限り結局は99年以来続く自民党との連立を壊せない判断ありきだったのではないか。連立離脱のカードを持たない限り、足元をみられるだけである。
 公明党は先の特定秘密保護法制定に置いても与党内で歯止め役を果たせなかった。与党でいる限り自民党から際限なき譲歩を迫られ、変質を続けるのではないか。今回の転換は憲法9条を尊重し歩み続けた党のあり方にも大きく影響する。その重さをわきまえるべきだ。]

勝手な許されない判断で

2014-06-28 | 共に
 2014/6/21 毎日新聞 【 社説 】より
 《 集団的自衛権 》 【 9条改憲にほかならぬ 】 《 閣議決定案 》
 [政府は与党協議で、集団自衛権の行使容認を含む閣議決定の最終案を示した。公明党は受け入れる方向で、与党の正式合意を経て、7月1日に閣議決定される見通しだ。
 政府は憲法解釈変更について「解釈の再整理、一部変更」としている。だが内容は、解釈を抜本的に変更することによって憲法9条を改正するに等しい。政府に許される解釈の範囲を逸脱した解釈改憲だ。
 閣議決定案は、「我が国と密接な関係にある他国」への武力攻撃が発生し、国民の権利が根底から覆される「明白な危険」がある場合に、集団的自衛権の行使を認めている。
 他に適当な手段がないことや、必要最小限度の実力行使にとどまることと合わせて、新たに定めた「自衛の措置としての武力行使の3要件」が閣議決定案の中核だ。
 「密接な関係」や「明白な危険」という基準はあいまいだ。時の政権の判断次第で拡大解釈され、歯止めが利かなくなる恐れがある。
 政府が閣議決定について国会などで説明するため作成した想定問答集は、そうした懸念を裏付ける。
 例えば、どういう場合に集団的自衛権を行使できるのかについて、想定問答は、時の内閣が新3要件に該当するか否かを客観的、合理的、総合的に判断するとしている。
 与党協議で議論された機雷掃海など8事例は、新3要件を満たせば集団的自衛権を行使できるとしている。国連の集団安全保障で武力を認めるか否かも、新3要件を満たせば許容されるとしている。
 いずれも協議では、公明党が反対し、答えが出なかった問題だ。結論ありきだったと言わざるを得ない。
 また閣議決定案は、集団的自衛権の行使容認について、国際法上の根拠と憲法解釈を区別している。国際法上は集団的自衛権でも、憲法解釈上は個別・集団を明確にせず「自衛の措置」とした。公明党への配慮だが、極めてわかりにくい。
 憲法解釈変更の根拠は、1972年の政府見解だ。見解の一部をつまみ食いして、集団的自衛権の行使についての結論だけを「許されない」から「許される」に逆転させた。政府の想定問答は「見解の基本的論理の枠内で導いた論理的帰結。解釈改憲ではない」としている。
 強引な理屈でも、いったん閣議決定してしまえば、あとはあいまいな基準のもと時の政権の判断次第で何でもできる。政府のそんな狙いが透けて見えるようだ。憲法と国民をあまりに軽んじてる。]

恥を知ることも大切

2014-06-28 | 共に
 《 地 軸 》 2014/6/25 地方紙1面最下段記事より
 [恥ずかしくて、見ていられない。大臣が、都議が、連日頭を下げている。しかし皆、世間にばれてしぶしぶ頭を下げた心の内が丸見え。いい大人が誠実に謝罪もできないことが恥ずかしい。
 ▲日本は善悪より、他者がどう思うかを基準に行動する「恥の文化」―と、かつて米文化人類学者ルース・ベネディクトに「菊と刀」で指摘された。だが昨今それさえ怪しい。むき出しの欲望と言動が幅を聞かせて恥じない国になりつつあるような。
 ▲米国務省の人身売買に関する報告書が、有料で女子高生とデートする「JKお散歩」が児童買春に利用される実態や「援助交際」を人身売買例に挙げ、日本を批判した。撲滅への取り組み評価は上位30カ国にも入らない。
 ▲さらに赤面するのは、安倍政権が新成長戦略で拡充をうたう「外国人技能講習制度」。報告書は、多くが劣悪な環境で技術も学べず働かされる「出稼ぎプログラム」と避難、強制労働の防止策強化を求める。移民はイヤだが安い労働力はほしい―そんな国に誰が来てくれよう。
 ▲先進7カ国で唯一野放しだった、児童ポルノの「単純所持」は、ようやく規制される。しかしまだ「輸出天国」で世界の目は厳しい。女性や子供、外国人など少数弱者の人権に鈍感な国に、成長も未来もない。
 ▲相手の気持ちや人の目を気にして振る舞うことこそ、共生に第一歩。文字通りの「傍若無人」な社会にならないために、恥を知ることも大切。]

君と考える [ 5 ]

2014-06-28 | 平和を
 《 新・戦争と平和 君と考える [ 5 ] 》 【 徴兵制 】 《 廃止 世界全体の流れに 》 2014/6/24 地方紙記事より
 [アメリカはベトナム戦争が続いていた1970年まで、兵士の多くを徴兵制で集めていました。全ての男子に数年間兵士になることを義務付ける制度で、拒否すると罰を受けることもありました。
 それでも当時、「ベトナム戦争に反対」と言った政治的理由、「人を殺すのは信仰に反する」といった宗教的理由などで拒否した人も数多くいました。中にはベトナムに送られる途中の日本で、軍隊から脱走した兵士もいました。
          他に道なく
 今のアメリカは、事実上、徴兵制はなくなり、軍隊にはいる若者は、自ら志願した者です。
 では、どういう若者が志願するのでしょうか。
 [テロリストと戦うことはアメリカの使命だ]と考えて軍隊に入る人もいます。今は女子も志願すれば入れます。
 ただ、私がアフガニスタンやイラクなどの戦地で会ったアメリカ兵は、正義のためというより、自分の将来のため、他に道が思い浮かばず、軍隊を選んだ若者がほとんどでした。
 2001年からのアフガニスタン戦争とイラク戦争を合わせると6千人以上のアメリカ兵が戦死しています。
 戦争で死ぬ可能性が高くなると、志願して兵士になることをためらう人も増えます。一方、戦争を続けていると、軍隊は平和な時よりも兵士の数が必要になります。
 このため、最近のアメリカ政府は、入隊すると日本円で数百万円を「ボーナス」としてすぐ払ったり、戦争に行って帰ってくれば、大学に入るための多額の奨学金を出すなど、以前より兵士に大きな得点を与えるようになりました。「家が貧しく、大学に入るには、まず軍隊に入るしかなかった」と話すアメリカ兵には何人も会いました。
          歴史と関係
 日本は第2次世界大戦まで徴兵制があり、若い男子のほとんどは戦争に行かされましたが、戦後はなくなりました。
 徴兵制がまだ残っている国も世界にはかなりあります。アジアでは韓国などです。イスラエルは男子だけでなく、女子も徴兵制の対象です。
 ただ、世界全体では、徴兵制はなくなる方向に進んでいます。21世紀になって徴兵制を事実上やめた国はドイツなど特にヨーロッパに多くあります。ドイツの場合は、地域の平和が続いていること、兵士の数を減らして軍隊の予算を削ることなどが理由でした。
 徴兵制どころか、軍隊がないコスタリカというラテンアメリカの国もあります。
 君は軍隊や徴兵制について、どう思いますか?
 さまざまな国の選択は、現在の国の状況と過去の歴史が深く関わっています。軍隊について調べてみると、その国のいろいろなことが分かってきます。それは、日本について言えることでもあります。]  (共同通信編集委員 石山永一郎)