止まらず一歩

何かをさがして
舞台を増やしたり変えたりしながら
それを残していこうと思います

雨の日のできごと

2018-06-30 16:27:44 | Weblog

道路を隔てて 東はビジネス街、西側は住宅地。
左折して駅を結ぶ歩道は、時間がくるとサラリーマンと小中高校生で賑やかになる。
朝のウォーキングの帰路のこと。
「ドッ」という音と同時に、私が追い抜いた女性が道路に崩れた。
片手に大きな荷物をもち、片手は路面に立て顔面が突っ伏すのを支えていた。
彼女の手から荷物を取って、二の腕の間に手を差し込み体重を支えながら「救急車を呼びましょうか」と問いかけた。
ハァハァハァ
彼女の呼吸は荒く声にならず、カブリを振るのがやっとだった。
そうこうするうち、サラリーマンたちが足をとめ人垣ができ、加勢を申し出る声も上がる。
彼女の恰好は勤め人、同じ会社の人もいるはず・・・
「お勤めはどちらですか」と尋ねると
バックから肩に吊るす「社員証」みたいなものを提示した。
相変わらず呼吸は荒く、発声できない状態のまま10分くらいが経っていた。人垣の中から、彼女が出した社員証を見たひとりの男性が「同じ会社の者です」と申し出てくれた。
勤め先は、私の家の向かいにある救急病院だった・・・良かった。
しばらくして彼は「ゆっくり歩いてみようか」と促した。彼は医者かもしれない。
折しも雨が降りだした。
彼が傘をさしかけ、私の片手は彼女の荷物を持ち、片手はずーっと彼女を支えていた。
5分くらいのところを15分くらいかかっただろうか。彼女の呼吸が少しずつ回復しているうちに病院の玄関に入り、あとは付き添った彼にまかせて別れた。
左手に彼女の柔肌の感触が残った・・・何十年ぶりだろうか。



(写真)
 6/25信州の昼神温泉を流れる「安知川」の橋柱に掲げる
 少年の絶叫像。 
 宿(ひるがみの森)で聞いた「特にいわれはない」

最新の画像もっと見る

コメントを投稿