止まらず一歩

何かをさがして
舞台を増やしたり変えたりしながら
それを残していこうと思います

企業とマスメディアはなぜ「消費税率アップ」に反対しない?

2018-11-30 12:17:46 | Weblog

(Business Journal/神樹兵輔)

 2014年4月に消費税率は5%から8%に引き上げられました。15年10月にはさらに10%へ引き上げ予定でしたが、17年4月へと延期し、さらに昨年には19年10月まで2年半延期すると安倍晋三首相は表明しました。
 世界経済の不透明感が増していることなどが理由でしたが、いまだにデフレから脱却できないアベノミクスの大失敗が、景気の腰折れで決定的になることを避けたかったからにほかならないでしょう。なにしろ消費税率アップは、小売業をはじめ一般消費者への影響は甚大だからです。
 政府・財務省は、将来の社会保障の財源を確保するうえで、所得税や法人税の増税は適切ではなく、負担の公平性からも消費税率を引き上げることこそがベストと強調してきました。そして、財界や大手マスコミも消費税増税はやむなしのポーズを決め込んできました。
 輸出大企業中心の財界にとっては、消費増税は大きなメリットがあるから当然でしょう。つまり、非常に不公平なカラクリによって、莫大な権益を享受しているのが輸出大企業だからです。
 また、大手マスコミも消費増税でうかつに政府に楯突くことはできません。これまで政府から戦後に国有地を格安で払い下げてもらい、テレビ局放送免許を独占的に付与され、激安の電波料で儲けさせてもらっているからです。
 さらに経費で飲み食いしても「取材上の交際費は非課税」と処理しているので、下手に消費増税に反対して業界の談合体質を突つかれたり、財務省から経費水増しの常習ぶりを税務調査で暴かれると大変だからです。過去にもマスコミの申告漏れや所得隠しの脱税は多数あったので、再び追及されることは避けたいところでしょう。
 財界と大手マスコミは、もともと広告宣伝関係でがっちりつながっています。特権階級同士は、「阿吽の呼吸」で政府と一枚岩になるゆえんなのです。

■輸出が主力の大企業は消費税を払っていない?
 これまで日本では、「欧米と比べ消費税率が低いから上げる」という論理が支配的でした。しかし、欧米では食料品など生活必需品が非課税になるなど、所得の低い人には負担のしわ寄せがいかないような工夫があります。
 日本では、何から何まで一網打尽に消費税を徴収しますから、現行の8%でも生活者の実質的負担は欧米以上に高いのです。逆進性が高く、所得再分配機能も働かない租税立法上の「応能負担原則」にも反します。所得が低く貧しい人ほど、日常生活は苦しくなるわけです。
 しかも、輸出で稼ぐ大企業には輸出還付金制度という特典があります。これは、海外販売分では消費税が発生しないことを理由に、仕入れの際に支払った消費税分を「輸出戻し税」というかたちで還付される制度です。これにより、部品材の仕入れの際に子会社や下請けに「買い叩き」をしても、国から還付金を得ることができます。
 消費税が5%だった時にも、例年3兆円強が大企業に還付されたため、消費税収10兆円が国庫に入る時には、7兆円弱になっていました。
 一方、下請けの中小企業は大企業向けでは納品価格に消費税分を載せられずカットされるため、納品価格の内税分の消費税を払うことになります。消費税は赤字でも払わなければならないため、中小企業は青息吐息です。

 消費税率が5%だった2010年度の大企業の推定還付金は以下の通りです。
 ・トヨタ自動車:2200億円強
 ・ソニー:1100億強
 ・日産:1000億円弱
 ・東芝、キャノン、ホンダ:700億円台
 ・パナソニック、マツダ:600億円台
 ・三菱自動車工業:500億円台
 ・新日鉄:300億円台
 そして消費税率が8%の15年度には、トヨタが3633億円、日産が1546億円などで、消費税収19兆円のうち還付金額は6兆円に膨らんでいます。消費税収19兆円でも、国庫の実収はたったの13兆円なのです。
 消費税率がアップするほど、輸出大企業は払ってもいない消費税の還付で儲かります。まるで輸出奨励金なので、そのうち米国トランプ政権も目をつけてくるでしょう。
 そして大企業にとって税金でトクをする状況は、消費税だけに限った話ではありません。法人税もろくに払っていないのが実態なのです。

大企業の法人税実効税率は高くない
 大企業もマスコミも「日本の法人税実効税率は高い」と唱え、安倍首相も16年度に30%を切る29.97%にして、2018年度には29.74%にするとしていますが、大企業の多くはこの実効税率をまともに払っていません。なぜなら、企業にはさまざまな減税措置があるからです。
 国税庁が公表した13年度の「資本金階級別の法人税(国税)の状況」によれば、実質的な法人税率は以下のようになっています。
 ・全企業平均:15.66%
 ・資本金1000万円以下の単体法人:13.6%
 ・資本金1000万円超1億円以下の単体法人:17.6%
 ・資本金1億円超10億円以下の単体法人:22.3%
 ・資本金10億円超の単体法人及び連結法人:14.6%
 (うち資本金100億円超の単体及び連結法人:13.6%)
 資本金100億円超の大企業と資本金1000万円以下の零細企業が、たったの13.6%という同じ税率なのです。これに地方税7.38%を加えても、法人税実効税率は20.98%にしかなりません。
 これは13年度の実績として国税庁が公表したものですが、実際には16年度から法人税の実効税率は表向き29.97%と、13年度(34.62%)と比べ4.6%も下がっていますから、16年度なら資本金10億円以上の大企業は、実質的な法人税負担率は10%さえも切っている可能性があります。

世界の中で日本の法人税実効税率は低水準
 世界の法人税実効税率は、表向きは以下のような順番になっていますが、少なくとも日本の場合は、実際の税負担はさらに10%前後は低いと言えるのです。
 米国38.91%、フランス34.43%、ベルギー33.99%、ドイツ30.18%、オーストラリア30%、メキシコ30%、日本29.97%、ポルトガル29.5%、イタリア27.81%、オランダ25%、韓国24.2%、アイスランド20%、トルコ20%、イギリス19%、チェコ19%、ポーランド19%、ラトビア15%、アイルランド12・5%
 日本の29.97%から10%前後を差し引くと、実質的な負担率は法人税が低いといわれるイギリス、チェコ、ポーランド並みとなります。消費税引き上げ分の負担を家計に押し付け、大企業には消費税に加えて法人税も大まけして、与党は大企業から政治献金の見返りをもらうという構図なのです。
 こうした大企業に与えられている法人税の軽減特典は、ざっと挙げれば「連結納税制度による所得金額の減少措置」「受け取り配当金の所得不算入」「外国子会社配当金の所得不算入」「所得税額控除」「外国税額控除」「試験研究費税額控除」などがあります。
 大企業ほど特典が多数あります。そして大企業は正社員を減らして非正規雇用を激増させ、人件費を削って内部留保(利益剰余金)も膨らむ一方です。
 「日本の法人税の実効税率は高い」という嘘を垂れ流してきたマスコミや大企業、政府与党の罪は重いのです。法人税率は、これ以上下げる必要はありません。

 そして、大企業経営者などの金持ち優遇策で引き下げてきた累進所得税率を上げ、とっとと消費税は廃止すべきです。(文=神樹兵輔/マネーコンサルタント)


北方領土めぐる政府答弁 国民向けの説明も誠実に

2018-11-29 09:21:36 | Weblog

2018年11月29日毎日新聞社説

 国民の理解と支持を得て外交政策を進める。そんな日本政府の方針が空虚に響く。ロシアとの北方領土交渉をめぐる政府答弁である。

 「政府のこれまでの答弁は一貫しており、領土問題を解決して平和条約をていけつする。この方針に一切変わりはない」。安倍晋三首相が今週の衆院予算委員会でこう答弁した。

 果たしてそうか。1956年の日ソ共同宣言を基礎に平和条約交渉を行うことで日露首脳が合意してから初の国会発言だが、従来の政府答弁から後退している。

 平和条約締結後に歯舞群島と色丹島の2島を日本に引き渡すと明記したのが日ソ共同宣言だ。会談に先立つ10月には「北方四島の帰属の問題を解決して平和条約を締結する」と「四島の帰属」に言及していた。

 しかし、会談後は「四島」を強調しなくなった。プーチン大統領は2島の主権がどちらかに属するかは明確でないと言い、残る国後島と択捉島の返還を拒んでいるとされる。

 返還を求める島の数について問われた首相は「交渉対象となる島々についてのコメントは差し控える」と述べた。北方四島をロシアが「不法占拠」しているという原則的な見解すら明言するのを避けた。

 戦後70年以上を経て解決していないのが北方領土問題だ。難しい交渉であるのは間違いなく、本格的な折衝を前に対立をあおりたくないという気持ちは理解できる。

 しかし、あいまいな姿勢では首相の真意はわからない。「両国が受け入れ可能な解決策」と言われても、ロシアペースで進む不安や交渉力への疑問が生じても不思議ではない。 

 河野太郎外相は同じ委員会で「これから交渉するときに政府の考え方や交渉の方針を体外的に言うのは日本の国益にならない」と答弁した。基本的な考え方も示さないでのでは、国民の理解は得られまい。

 「国民とともにある外交」をうたっているのは他ならぬ外務省だ。そのトップが国民不在で外交交渉をプロが独占した「旧外交」に拘泥しているように映る。

 外交は内閣の専権事項であっても、条約は国会が承認する。世論の支持がなければ結実しない。国民に誠実に説明し意見を吸い上げて交渉に生かす。そのバランス感覚が必要だ。


何をはばかる・・・腰抜け太郎

2018-11-25 08:24:28 | Weblog
 「北方領土は固有の領土」明言せず
2018/11/22 共同通信

 河野太郎外相は22日の記者会見で、北方領土が日本固有の領土に当たるかどうかについて、明言を避けた。今後の日ロ首脳会談を念頭に「交渉の前なので、政府の考えについて申し上げるのは一切差し控えたい」と述べた。


佐賀県議会が日米地位協定の見直し全会一致で可決!

2018-11-24 20:35:04 | Weblog


 佐賀県議会は22日、日米地位協定の見直しを求める意見書を全会一致で可決した。
 日米地位協定に基づく全国130の在日米軍専用施設のうち、国土面積の約0・6%しかない沖縄に全体の約70%が集中する。

 意見書では、航空機の騒音や米軍人らによる事件、事故などで、施設のある自治体に過大な負担となっている状況を指摘し、政府と国会に対して抜本的な見直しや日米間の対等な関係の構築を強く要望している。

 今年7月の全国知事会で同じ内容の提言を決議している点も挙げ、「地方から改善を求める声が上がっている」と指摘している。
 意見書は諸会派の共産党が持ち掛け、調整の結果、全議員が提出者となり、全会一致で可決した。  (以上 佐賀新聞)


韓国政府は合意を破ってはいない。日本が怒っているだけだ。

2018-11-22 18:36:59 | Weblog

2018-11-22 天木直人のブログ

韓国政府は昨21日、慰安婦財団の解散を正式に発表した。 これに関し日本は、安倍政権はもとより与野党もメディアも世論も狂ったように猛反発している。

 国際合意を一方的に破るような国は国ではないと。

 これでは日韓関係はなりたたないと。

それを言うなら、トランプの米国に言うべきだ。

しかし、私が書きたいのはそのことではない。

米国と違って、韓国は合意を破ってはいない。

報道を冷静に読むと、韓国政府ははっきりと述べている。

韓国政府は日韓合意を破棄するつもりはないと。

日韓合意を順守することに変わりはないと。

その一方で、すべての報道は教えてくれている。

元慰安婦のうち約7割は財団が支給した現金を受け取ったが、一部の慰安婦は市民団体が合意を批判して受け取らないままだと。

これを要するに、慰安婦財団の役割が終わったということだ。

受け取らないと決断した元慰安婦がいまさら受け取ることはない。

日韓合意に反対する市民団体が反対を止める事はない。

個人の拒否する意思や反対行動を、政府の合意で一方的に捻じ曲げたり阻止することはできない。

それが民主主義だ。

役目の終わった慰安婦基金の残りの財源を無駄にしないためにも、

韓国政府の言う通り、他の目的に有効に使われるように日韓両政府は協議を始めるべきなのだ。

ここまで書いていくと、賢明な読者ならもうお分かりだろう。

韓国政府は日韓合意を一方的に破棄したわけではない。

あの日韓合意はもはやその役割を終えただけなのだ。

ついでに言えば、あの徴用工問題もそうだ。

個人の補償請求権は、日韓合意で消滅したわけではない。

このことは日本政府も認めている。

韓国最高裁の判決は、日韓両政府にあの時の不十分な日韓合意について善後策を考えろと命じただけだ。

そして文在寅大統領は、安倍首相と違って司法の中立性を尊重し、最高裁の判断を尊重し、日韓両政府で善後策を考えようと提案しているのだ。

慰安婦問題といい、徴用工問題と言い、今度の騒動から見えたもの。

それは日本と言う国が、政治家もメディアも世論も歴史を直視する勇気を持たず、隣国に対する反感、差別意識から抜けきれないということである。

残念でならない(了)


森友問題のキーマンが体調不良を理由に「出廷拒否」

2018-11-19 09:10:01 | Weblog

2018/11/18 日刊ゲンダイ

「その手があったか」――。 傍聴席からは、ため息交じりにこんな声が上がったという。13日、大阪地裁で森友問題をめぐる注目の裁判が開かれた。大阪・豊中市議の木村真氏らが、国有地の売却額を非開示とした国の決定を違法として、国家賠償を求めている訴訟の口頭弁論だ。

 前回(9月25日)の口頭弁論で、松永栄治裁判長は「非開示決定にどう関わったかを証人尋問で尋ねたい」として、森友と国有地売却の交渉を担当した財務省近畿財務局職員の池田靖管財総括第3課長を証人採用する方針を示した。

 池田氏はFNN(フジテレビ系)で、森友の籠池前理事長に対して「1億3000万円を下回る金額にはならない」などとやりとりする音声テープが公開されるなど、疑惑の全容を知るキーマン。松永裁判長は前回、原告に尋問内容を絞るよう求め、被告の国も池田氏の証人採用に同意する姿勢を見せていたのだが、今回の弁論で国は態度を一変。「池田氏は心身不調のため、出廷できない」と突っぱねたのだ

 確かに重病であれば証言は難しいだろう。ところが、原告によると、池田氏は休職もしていないというのだ。口利きワイロ疑惑が発覚した途端、「睡眠障害」を理由にマスコミから逃げた甘利明元経済再生担当相とソックリだ。原告代理人の大川一夫弁護士がこう言う。 「病気の理由について、森友問題と関係あるのかを問うと、国は『そうだ』と認めました。森友問題では、病人だけでなく自殺者まで出ているのです。あらためて相当ひどい事件だと思いましたね。国は次回の弁論で(池田の)診断書を出すとしていますが、どうなるか」

 裁判長の命令すら無視する「アベ政治」を許してはいけない。


プーチンに一杯食わされた安倍首相

2018-11-16 14:46:14 | Weblog

 安倍首相は14日夜シンガポールでプーチン大統領と会談し「平和条約締結後に歯舞・色丹両島を日本に引き渡す。と明記した1956年の日ソ共同宣言を基礎に交渉を本格化させる」と記者団に語った。

 1993年の日ロ共同宣言からみたら後退かと思ったりもしたが、四島に拘って一歩も進まないより二島返還でも前進には違いなく、「ここに漕ぎつけた安倍首相を見直さなければならない」と思いなおしもしたのだが・・・

 

《プーチン大統領発言要旨》=(11/16毎日新聞)

  • 日本の首相が昨日の首脳会談で、1956年の日ソ共同宣言に基づき(領土問題を)協議する用意を表明し、対話を復活させた。
  • わが国は(領土)問題は存在しないと考えているが、日本は別の見方をしている。
  • 共同宣言には「平和条約締結後にソ連は日本に2島引き渡す」と書かれている。しかし、2島はなにを基礎に引き渡され、島の主権はどちらになるのか、具体的にどう引き渡すのかは書かれていない。
  • ソ連と日本の議会が共同宣言を批准したが2島、日本側は合意の履行を拒否した。ソ連側もゴルバチョフ大統領時代に宣言の履行を拒否した。
  • 共同宣言には「ソ連は2島引き渡す」という原則が書かれているだけなので、今後、真剣な検討が必要となる。まして、日本は過去に(宣言の)合意事項を拒否したのだから。(共同)

  

2島すら返ってこない
2018-11-16 天木直人のブログ

 プーチン大統領の首脳会談後の記者会見の言葉を聞いて我が耳を疑った。
 なんと、安倍首相が交渉の基礎にすると言った日ソ共同宣言について、
「2島がどのような条件で、どこの主権下に入るかは書かれていない」と述べたのだ。
 これは2島返還すら認めないと言ったのと同じだ。
 北方領土問題に関するこれまでの日本外交を全否定する発言である。
 前進どころか後退である。
 まさしく、これがプーチン大統領のくせ玉の真意だったのだ。
 北方領土問題の解決に前のめりの安倍首相の弱みに付け込んで、2島返還すら交渉事項に引き戻そうとしたプーチン大統領に、まんまと一杯食わされたのだ。
 すべてはあのとき、プーチン大統領の投げたクセ球を即座に打ち返せず、作り笑いで沈黙した安倍首相の無能さにある。
 万死に値する稚拙な安倍外交だ。
 自民党や外務省の保守派が安倍倒閣に動かないほうがおかしい(了)


米国に貢ぐ日本の防衛費

2018-11-13 15:22:51 | Weblog

 無人偵察機「グローバルホーク」に関する記事は2年前にも投稿している。
機体価格とメンテ費用については、東京新聞情報を最近のものとして頼ることにして、収拾した監視データーの扱いに関して再掲する。

 グローバルホークは地上1万6000メートルを飛行し、約560キロ先までの偵察能力があるというが、実際の運用面では気象条件の厳しい高高度を飛行するため、大量に取り付けられた高性能センサーの整備点検に多額の費用が伴う。

 さらに、グローバルホークが映像などを送るには最大で毎秒274メガビットの通信容量が必要なのだが、自衛隊が使用しているのは最大で毎秒208メガビットと容量が足りない。さらに収集した監視データの処理方法に米軍の機密情報が含まれるとして空自に解析結果がとどくのは米軍経由となるという話だ。
 データーを米軍が管理するということは、全てが開示されるかどうか分からないということである。

なんのことはない、日本の税金で、アメリカのために情報収集していることと変わらないのではなかろうか・・・ばからしい。

安倍政権における防衛装備は米国から「買う」ことが目的化し、必要性は二の次になっているのではなかろうか?それもできるだけ高く。


《税を追う》無人偵察機 3機購入=2974億円

2018-11-12 10:20:30 | Weblog

2018年11月11日 東京新聞

 防衛省が米国から三機輸入する無人偵察機「グローバルホーク」について、操作や運航技術を学ぶため米企業から毎年数十人の技術者を招き、20年間で514億円の「技術支援費」を米側に支払うことが分かった。給与だけでなく滞在費や渡航費も含まれるため、一人当たり数千万円と高額になる。三機にかかる二十年間の維持整備費約2400億円のうち、二割が米企業の技術者向けに支出されることになる。 (「税を追う」取材班)

 防衛省は2021年度、米国政府の対外有償軍事援助(FMS)で購入する三機(計574億円)を航空自衛隊三沢基地(青森県)に配備する予定。地上からの遠隔操作で、高度15000メートル以上から長時間、北朝鮮や中国などの動向監視を行うとみられ、撮影した画像を地上に送信する。

 遠隔操作や運航コースの選定にはノウハウが必要で、防衛省は技術習得のため技術者を呼ぶことにしている。FMS契約を結び、米国政府を通じて製造元の米ノースロップ・グラマン側に技術支援費を支払う。仮に技術者を五十人とすれば年間で一人当たり約五千百四十万円となる計算だ。(5140万円×50人×20年=514億円)
 FMSの場合、米側の価格算出根拠が明確でなく、「言い値」になりがちだ。グローバルホークの技術支援費を巡っては昨年、藤田幸久参院議員(国民民主)が国会で質問。防衛省は後日、「米政府が米国企業に対して支払う役務の対価は承知していない」と回答していた。

 防衛省の担当者は取材に「技術支援費の支払いが初期だけになるか、廃棄までの二十年にわたるかは、米側との今後の協議次第」と話し、技術の習得が進めば操縦・運用を日本側だけで行うことも検討する。しかし、欧米系の防衛企業幹部は「FMS契約で一度決まったものを、米側が変えるのは考えにくい」と話す。

 防衛省幹部は「グローバルホークには軍事上の機密事項が含まれるため、米側が全面的に日本側に運用を任せる可能性は低い」と話し、技術支援費の大幅な減額は難しいとみている


《日米地位協定》は他国と比べて屈辱的

2018-11-10 16:36:02 | Weblog

外相の当然視 「恥ずかしくないのか」

2018年11月8日 しんぶん赤旗 ※抜粋

  全国で在日米軍の事件・事故が相次ぐ中で、日本側の調査権や国内法を無視した日米地位協定の改定を求める声が高まっています。
 小池氏(共産党)は、●米軍CH53Eヘリが昨年10月に沖縄・東村高江の民間牧草地に墜落炎上した事件について、米軍が無許可で現場に規制線を引いて機体の残骸と土を持ち帰り、地権者すらも立ち入れなかったことを糾弾。「米軍は地権者に事故原因の報告もしていない。これでは国民の命や権利を守れない」とただしました。
●一昨年12月に米海兵隊の垂直離着陸機MV22オスプレイが名護市安部の海岸に墜落した事故で、米軍が海上保安庁の捜査申し入れを無視して物証の機体を回収したことに「なぜ日本側は捜査の協力すらできないのか」と指摘しました。

 河野太郎外相は「地位協定に関する合意議事録や刑事裁判管轄権に関する合同委員会合意がある」と、日本は米軍の財産である機体の捜査や差し押さえはできないと主張。小池氏は「地位協定でも基地の外での警察権は日本側にある。事故が起こっても指一本触れることができないとは、全く腰が引けている」と批判しました

 全国知事会は7月、地位協定の改定を求めた決議を全会一致で採択しました。小池氏は知事会の研究資料を示し、ドイツとイタリアでは米軍基地に立ち入る権利、訓練等の事前許可や通知、国内法の適用を実現していることをあげて「他国と比べて日米地位協定はあまりにも屈辱的だ。これで主権国家といえるのか」と迫りました

 【河野太郎外相】 (独伊は)NATO(北大西洋条約機構)の加盟国の一員として加盟国間の相互防衛の義務を負っている国。異なる義務を負う日本の間で地位協定が異なることは当然にありうる。
 【小池】 驚きだ。この屈辱的な中身は当然であるというのが安倍政権の見解なのか。
 【首相】 日米安保条約は、米国の対日防衛義務に対応する義務としてわれわれが基地提供義務を負っている。そうした背景も考え比較しなければならない。
 【小池】 国家の主権の問題であり、このまま甘受していいはずがない。安保法制(戦争法)で米国と肩を並べて戦争できるようにしながら、「日本とNATOは違う」というのはとんでもない話だ。

 小池氏は、自民党の国会議員連盟《日米地位協定の改定を実現し、日米の真のパートナーシップを確立する会》が15年前に地位協定の改定案を全会一致で可決し、当時の幹事長が河野氏、副会長が岩屋毅防衛相だったと指摘。岩屋氏が「改定案を政権与党の側から提案するところに意義がある。多くの議員の力添えで改定を実現したい」と発言していたことも紹介しました。
 【小池】日米地位協定の改定を強く主張していた方々が外相、防衛相になった。政治家として信念があるなら、臆することなく、堂々と当時の主張を展開すべきではないか。
 【河野】地位協定の問題は事案に応じて適切な取り組みを通じて解決していきたい。
 【岩屋】日本政府としては努力をしてきている。
 【小池】なんとも情けない発言だ。

 議場から「恥ずかしくないのか」という声が噴出しました。小池氏は、日米地位協定が国会でまともに審議されずに強行採決され、密室の日米合同委員会でさまざまな密約が結ばれてきた歴史経過に触れ「政府と国会が一体となって堂々と議論し、日米地位協定を改定しようではないか。これこそが真の『戦後レジームからの脱却』だ」と訴えました。