独断偏見妄言録 China's Threat

中国は人類の命運を左右する21世紀最大の不安定要因

中国という不良債権

2006年11月25日 07時48分28秒 | 中国
「万一中国が崩壊すれば、日本経済へのダメージは計り知れない。それを回避するには産学官における日中の緊密な協力が不可欠」という意見がある。
これはどこかで聞いたような論理だ。
そう、たしか十数年前のバブル崩壊の頃だ。
「経営危機におちいった企業を救済する」と称して追加融資を繰り返し、ついに銀行は天文学的な不良債権を抱えることになったわけだが、それと同じ論理だ。
あぶない、あぶない。

中国の不良債権ぶりについて、ネットを調べればかなりの情報がある。
日中産学官交流機構特別研究員 田中修氏による「中国経済2009年の試練」もその一つ。

簡単に要旨を紹介する。

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中国経済が抱える中長期的成長制約要因として、
1.経済的要因
(1)エネルギー・資源・電力不足
2004 年において中国のGDPが世界に占めるシェアは 4.4%に過ぎないのに対し、原油消費は世界の 7.4%、石炭は 31%、鉄鉱石は 30%、アルミは 27%、セメントは 40%を占める。GDP1万元あたりのエネルギー消費は日本の 9.7 倍、世界平均の 3.4 倍。
(2)水不足
1 人当たり水資源は世界平均の 4 分の1。世界の 7%の水資源で 21%の人口を養っている。とくに北部の水不足は深刻で、華北は全国の 3 分の1の人口を占めているにもかかわらず、水資源は 6%しかない。中国の砂漠化した土地は国土面積の 18%、4 億人近くの生産と生活に影響を与えている。
(3)投資過熱の反動不況
地方政府による固定資産投資が過熱し、農民から土地をタダ同然で取り上げて転売することにより、財政収入を確保している。この過大投資が十分抑制できず 2008 年北京オリンピック・2010 年上海万博まで継続すると、その後の反動不況が深刻化するおそれがある。
(4)金融危機
人民元の急落に伴う中国発第 2 次アジア通貨危機の可能性もある。
(5)賃金の急上昇・失業の増大
2004 年以降、沿海部において出稼ぎ農民の人手不足が発生し、賃金が上昇傾向にあり、労働集約型産業における中国製品の価格優位性は失われつつある。
来年の大学新卒490万人の30%は卒業即失業が予想され、社会不安を引き起こす可能性がある。

2.社会的要因
(1)高齢化
高齢化が急速であるにもかかわらず、社会保障制度が未整備。社会不安を増大させるおそれがある。
(2)感染症の拡大
エイズなど感染症患者の急拡大が中国の社会混乱や直接投資の減少を招くおそれも否定できない。
(3)環境破壊
中国の粉塵排出量は世界先進水準の 10 倍。農村の 3 億人分の飲料水が安全を欠き、うち 6300 万人の飲料水のフッ素含有量が衛生基準を上回り、骨の変型や骨粗鬆症等により労働困難に陥る者も現れている。石炭の大量消費よる二酸化硫黄、窒素酸化物、煤煙、フッ素の発生が深刻。大気汚染による死者は年間35万人に達する
気候変動による30cmの海面上昇で、25年以内に珠江デルタの大工業地帯が水浸しになる恐れがある。

3.政治体制リスク要因
(1)台湾の新憲法制定
陳政権の独立志向を抑えきれなければ、両岸関係が緊張するおそれがある。
(2)少数民族・宗教問題
イスラム原理主義がアジアでも活発化し、テロ攻勢を激化する可能性がある。
(3)農民暴動
農民の集団抗議行動が2005 年には 8 万 7000 件に達した。腐敗の蔓延や経済格差拡大に不満をもつ農民の広域的暴動を誘発する危険もある。歴代の中国政権の多くは農民暴動をきっかけに崩壊している。
(4)北朝鮮の危機
軍事的暴発・政権崩壊、いずれにせよ隣接する中国東北地方は混乱に陥り、現政権が進めている外資導入による東北地方等旧工業基地の振興戦略は蹉跌することになる。
(5)天安門事件の再評価
2009 年の天安門事件 20 周年の際、民主化勢力から事件の全面的再評価が要求され、これが他の不満勢力と連携した場合、広範な政治民主化運動に拡大する可能性がある。
(6)共産党の腐敗
幹部の腐敗はすでに共産党の不治の病になっている。実情が国民に知られないよう厳重に隠されてはいるが、社会不安の原因の一つになっている。

(7)言論統制
中国は莫大な資金を投じてネット監視システムを開発し、インターネット上の言論を厳しく監視・統制してきた。

(8)人権侵害
中国の大部分の民衆や農民の人権は深刻なまでに踏みにじられている。


おわりに
このように、中国経済は様々な問題を抱えており、これをうまくコントロールできなければ、オリンピック効果が終了する 2009 年頃には上記の経済・社会・政治問題が複合的に噴出する可能性がある。
筆者は中国崩壊説に与するものではないが、万が一そのような事態が発生すれば、日本経済に与えるダメージは計り知れないものがあろう。このような事態を回避し、東アジアを安定的に発展させるためにも、産学官各分野における日中の緊密な協力は不可欠なのである。
(リンクは私による追加)
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危ないからといって、さらに協力関係を強めるとますます深みにはまり、ダメージは大きくなる。そのことをかってのバブル崩壊で学習したではないか。
日本の協力で中国の崩壊を防止できると考えているのであれば、それは思い上がりというものだ。
万一、現共産党独裁体制が崩壊をまぬがれれば、強大な軍事力を持つ独裁国家が出現することになり、世界の不安定化はさらに深刻さを増すだろう。最悪の場合、第三次世界大戦を引き起こす可能性すら予想される。したがって、現体制の崩壊は長期的に見ればむしろ望ましいことであり、日本は崩壊防止または延命に決して手を貸してはならない。

日本が緊急に実施しなければならないことは、新規投資の抑制だけでなく、生産設備の撤退など、きたるべき崩壊の衝撃に備えた経済関係縮小に他ならない。


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