続きです。
ピーク・ディストリクト国立公園 Peak District National Park の小さな田舎村、イーデル Edale を出発して、なだらかな丘陵の中腹の羊の放牧場をとおる、子ヒツジ見物ハイキングルート。
ヒツジの放牧地を横切って、行き止まりまで来ました。
農家の塀に囲い込まれた袋小路に入ってしまって、パブリック・フットパスは、ここでおしまい。(昨日までの日報を読んでください)
左に抜ける細いフットパスは山のてっぺんにむかい、右手の車やトラクターも通る穏やかな坂道は、丘陵のふもとへとつづきます。
村に戻って車を停めさせてもらったパブでお昼ご飯を食べる予定の私たちは、迷わず右へ。
坂道を下ります。
左右にはヒツジの放牧場が切れ間なく続きます。
羊の鳴き声は英語では、「メ~」ではなく、Baaaa(バー)です。
私の耳には中間をとって、「べへへへへへえ~い」と聞こえます。
歩いている途中、四方八方からヒツジの鳴き声がやかましく聞こえてきます。
中腹の平らな放牧場より、なだらかな斜面上の放牧場のほうが鳴き声がうるさかったように思います。
途中で線路の上を横切りました。
マンチェスター Manchester Piccadilly とシェフィールド Shefield の2大都市を結ぶ鉄道、ホープ・ヴァリー・ライン Hope Valley Line です。
丘陵地の中腹の放牧場を突っ切る道とほぼ平行に走るコンクリート舗装された車道に出ました。
上のほうからも見えていた、古い崩れかけた民家の壁が車道沿いに残っています。
壁の断面を見ると、平たい石が組み合わさって厚い壁を形づくっているのがわかりますね。
ピーク・ディストリクトにはこの灰色っぽい石を積んだ建築物が多いのですが、新しく建てられたものは、お手軽にコンクリートブロックを積んだものが主流です。
そして、周りの歴史的な景観に合わせるために、表面に同じような色合いの灰色っぽい石で作ったタイルを張り付けます。
効果的ですけど・・・インチキですよね。建築現場を目撃したことがあります。
車が通る車道わきの歩道を、村に向かって歩きます。やはり、道路の両側には羊の放牧場が続きます。
黒白双子。
道路の歩道脇に、放牧場を抜けてイーデルの村の中心、教会前に出るパブリック・フットパスがあるのを発見。
しかも近道らしい!そっちを行くことにします。
画期的にややこしい仕組みの「スタイル stile」をとおりぬけて牧場に入ります。
スタイルというのは、人は通れるけど家畜は通さない、イギリスの田舎のパブリック・フットパスでよく見る工夫のひとつです。
これはスイング式の木戸を開けて、さらに石板の間をすり抜けて通る仕掛けです。おなかが出ていて背が低い人にはキツい。
放牧場に入って、山の方角に向かって(戻って)ちょっと歩くと、さきほどは上を横切った線路の、こんどは下を通ります。
鉄道橋の上を電車が通るところです。
この放牧場の子ヒツジの密度は他の場所より多かったのです。母ヒツジから離れて、子ヒツジたちがかたまって遊んでいるほほ笑ましい光景も多く見かけました。
子ヒツジがたくさん見られて大満足です。
心がきれいに浄化されたような気がする、仔ヒツジ療法!
村に無事に戻ってきました。かかった時間は予想を少し上回った1時間30分足らず。
車を停めた村はずれのパブで・・・
プルドポーク・サンドウィッチの昼食を食べました。
イギリスの牧羊業は国内で流通する子ヒツジの畜肉が目的です。
オスの子ヒツジは、完全に独り立ちする1歳になる前まで、母ヒツジや仲間の子ヒツジたちと屋外の牧場でのびのびと育ちます。
そして母ヒツジが次の子ヒツジを出産する冬の終わりから春にかけて、弟や妹の顔を見ることなく主に地元で屠殺され、出荷されていきます。
以前の、イギリスの羊毛産業についてちょっと触れた記事のリンクを載せました。ぜひ読んでくださいね。↓
ピークディストリクト、チャペル-アン-ル-フリス〈番外編〉ヒツジの毛刈り、暑苦しい写真多数
分かりきったこととは言え、1年もたたないうちに食用になるというのが何とも・・・。私は羊は食べませんが、牛だって豚だって同じことですものね。数年長生きするだけで。
ご主人の菜食主義が俄かに説得力をもって納得できます。でも、今夜の食卓に牛肉や鶏肉が並ぶ可能性も大いにあり、人間って罪な生き物です。
スタイルは私も通れないかも…。家畜並みですかね…(;_;)
パブのホットドッグ?は見た感じは美味しそうですが???
ところで、T子さん、今年の夏のイギリス滞在のご予定は?イギリスには日本人が皆行きたがるコッツウォルズや湖水地方以外にもみるべきところがたくさんあるんです。これからも、日本人と中国人の観光客でいっぱいのコッツウォルズに行かずに楽しめる理想のイギリスをご紹介するつもりです。理想のイギリスだけじゃなく、現実のイギリスも見てくださいね。
ところで、八幡君、私もあのスタイルは通れない人もいるだろうな…と思いつつ息を深くすって何とか抜けました。スタイル通過を目標にダイエットに励むのもいいかも。
うちの夫はおなかが出ているのですが脚が長いのでクリア。私はもうちょっと脚が長かったら楽勝でしたが。
ホットドッグじゃなくて、フランスパンのサンドイッチです。具はプルドポーク(長時間低温でローストしてボロボロに柔らかくほぐれるポークロースト)おいしかっタンですが、夫のベジタリアンチリ―(いためた唐辛子と野菜をトマトでにたソース)はまずかったそうです。地元の客の評価が不要で競争がないから結果が味に出るといっていました。従業員のサービスはすごくよかったんですけど。
今年は昨年と同じ、ケントの小さい村に滞在します。特別な理由はありません。大家さんがとても気持ちの良い親切な夫妻で、最近には珍しく安いから。近頃、ネットで探せるようなホリディ・コテージは驚くほど高いので。
夫も70歳を超えて、外国での車の運転もそろそろやめた方が・・とも思っていますが、もし、まだ行けそうなら、次はこの近くを探してみましょう。
イギリス通のT子さん、他にもみるべきところは山のようにある、と日本の皆さんにお伝えください。
日本のツアー業者、日本人の需要に効率よく迎合して土地の値段を吊り上げて地域のコミュニティを形骸化したモデルビレッジにするよその土地から乗り込んでぼろもうけするイギリスの観光業者に抵抗しましょう。
手あかのついていない場所を発掘して楽しんでください。歴史遺産のロンドン塔は一つしかありません。世界中の人が押し寄せる観光地になるのはよくわかる。コッツウォルズぐらい美しい田舎の村は何万とあります!
運転が不安なら、タウンステイもおすすめです。