スピノザの『エチカ』と趣味のブログ

スピノザの『エチカ』について僕が考えていることと,趣味である将棋・競馬・競輪などについて綴るブログです。

マイナビ女子オープン&人間の本性と有用性

2008-01-29 19:10:08 | 将棋
 23日に指されたマイナビ女子オープン2回戦第3局,山田久美女流三段と千葉涼子女流三段の一戦は,中盤の終りに派手な立ち回りのある面白い将棋でしたので紹介しておきます。
 振駒で先手になった千葉三段が得意の角換り棒銀を目指しました。山田三段も居飛車党ですがこれを受けず,ウソ矢倉にしようとしましたが,今度は千葉三段がそれは許さんと米長流急戦矢倉に。おおよそ後手番での戦法ですので,この時点から変わった将棋でした。
 第1図は後手が△5七歩と叩いたところ。結果的にこの手が勝敗の行方を左右しました。
   
 ここから▲5七同金△5五銀▲同角△4四銀に▲2二歩で第2図。
   
 この△2二歩は十字飛車という手筋を狙ったもの。後手がどう阻止するのかと思いきや,△2二同玉▲4四角△同金▲3三歩△同桂と素直に応じ,▲2四飛で第3図。縦に王手横に金取りの十字飛車がものの見事に決まりました。十字飛車は手筋としてはよく出てきますが,このようにきれいに決まることはむしろまれだと思います。
   
 しかしこの十字飛車はむしろ後手がかけさせたもので,後手には狙いがありました。以下△2三歩▲4四飛に第4図の△4五桂がそれ。第1図の△5七歩が生き,この手が金取りになっています。
   
 先手は少し考えた末に▲4五同飛としましたが,△3六角で第5図。十字飛車のお返しに王手飛車がかかりました。このあたり,山田三段としては会心の手順であったでしょう。
   
 実戦はこの後,第6図の▲2一銀が最終的な敗着というか負けを早めた手。千葉三段は第7図の▲5三銀が後手玉への詰めろと思ったようですが,これは錯覚。以下,第8図のように詰めろ銀取りをかけた後手の勝ちになっています。
 
 

 明日は川崎記念です。出れば勝つであろうヴァーミリアンが取消の上,サンライズバッカスも取消。ということでフリオーソ◎,フィールドルージュ○,アンパサンド▲で。

 これまでに得られた事柄から,憐憫という感情の有用性を,人間の本性との関係で,とくに人間の本性と感情との関係から導くことができるのではないかと僕は考えています。
 まず,ある人間から別の人間をみた場合,後者の人間は前者の人間にとって,本性が一致するか対立的であるか,そうでなければ一致はしないけれども対立はしないかのどれかであることになります。そして第四部定理三一により,本性が一致する限り後者の人間は前者の人間にとって善なる存在であることになります。よって一般的いえば,人間の本性というのは一致すればするほど,ほかの人間にとってそれだけ善であるということになるでしょう。また逆に第四部定理三〇により,本性が対立的であれば悪であるわけですから,人間同士の本性が対立し合うことが少なくなればなるほど,それもまた人間にとって善であるということになります。よって,人間の本性は,たとえ部分的であれより多く一致する方が,人間全体にとって善であるし,また,対立することを避けられれば避けられるほど,それもまた人間全体にとっての善であるということになるでしょう。
 第四部定理三二により,人間は受動的である限り本性が完全に一致するということはありません。また,第三部諸感情の定義一八により,憐憫は悲しみであり,第三部定理五九により悲しみは受動ですので,この限りで人間の本性が完全に一致するということはありません。しかしたとえ完全には一致しないのであるとしても,もしも憐憫という感情が,部分的には本性を一致させるような方向に,あるいは本性の対立を解消するような方向へ人間を導くならば,その限りでこの感情は有用であるといえるのではないかと思うのです。

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