スピノザの『エチカ』と趣味のブログ

スピノザの『エチカ』について僕が考えていることと,趣味である将棋・競馬・競輪などについて綴るブログです。

谷津の雑感⑥&愛の現実的本性

2017-01-21 19:13:22 | NOAH
 谷津の雑感⑤の最後のところに書いたように,谷津のSWS移籍は全日本プロレスとの契約違反で裁判になりました。
 選手の移籍が契約に違反するということは,これ以前にもありました。ただ,全日本プロレスには日本テレビ,新日本プロレスにはテレビ朝日という後ろ盾があったために,金銭的なバックアップがあったので,あまりそうしたことが表沙汰にはなっていなかっただけです。ジャパンプロレスの選手たちが全日本プロレスで仕事をするようになったとき,馬場は新日本プロレスに対して莫大な違約金を支払ったようです。同様に1987年のピンチの後には,馬場は新日本プロレスから同じ程度の違約金を受け取っている筈です。おそらくそれらは,裁判に至る前に解決が図られたのでしょう。
 全日本プロレスと谷津との間で裁判になったのは,SWSつまりメガネスーパーが,谷津をバックアップしなかったからだと想像されます。なのでこの点では,多額の移籍金を受け取ったのではないとする谷津の発言にも信憑性があると僕は思っています。
 この裁判は長引き,3年ほどかかったと谷津は言っています。しかしその頃はもう谷津はSWSを退団していたので経済的に汲々としていたようです。谷津はそうした事情を馬場に話して,示談金を10分の1にしてもらったと語っています。この示談金というのが,裁判の判決として出されたものなのか,和解勧告を双方が受け入れて決定されたものであったのかは不明です。いずれにしても裁判そのものは馬場側の勝ちに等しい結果で,しかし谷津はその命令通りには支払えず,馬場がそれを了承したということでしょう。
 すべてが終った後,谷津が歩いていたらキャデラックが寄ってきてクラクションを鳴らしました。後ろの窓がスーッと開いて馬場が顔を出し,「おい谷津,頑張れよ」と声を掛けたそうです。それが馬場と会った最後であったと谷津は語っています。

 各々の愛amorの対象objectumが何であり,またどういう様式で現実的に存在する人間のうちに生じようと,それは同じように愛といわれなければならないけれど,個別の感情affectusとしてみられる場合には異なった感情としてみられなければならないということ,すなわち第三部定理五六が一般的に示している事柄が,なぜ第三部諸感情の定義六の意味に関係する探求において考慮されなければならないのかということを説明します。
                                     
 フロイデンタールJacob Freudenthalに対する反駁の中で示したように,スピノザは第五部定理三二の様式で現実的に存在する人間のうちに生じる神Deusに対する愛というのが,愛のあらゆる完全性perfectioを有していると考えています。スピノザの真意はもしかすると別のところにあるかもしれませんが.ここではそれを現実的に存在する人間が抱く愛と限定して構いません。それでもスピノザの真意を歪曲することにはならないからです。そしてこのとき,この種の愛が愛のあらゆる完全性を有しているのならば,それほど完全性を有していない愛というのも存在すると理解しなければなりません。そうでないとあらゆる愛が同一の完全性を有することになるので,第五部定理三二の愛があらゆる完全性を有するということができないからです。
 したがって,対象の如何に関わらず,また能動actioと受動passioの相違に関わらず,外部の原因の観念を伴った喜びLaetitia, concomitante idea causae externaeは同じように愛といわれるのですが,その愛のうちに完全性の高いものもあれば低いものもあるのです。そして第五部定理三二の愛が,現実的に存在する人間にとっては最高に完全な愛なのです。ですから各々の愛には完全性の相違があり,この意味においてそれらは異なった感情であるとみなされなければなりません。というのも第二部定義六にあるように実在性realitasと完全性は同一であり,実在性というのは力potentiaという観点から把握される限りでの本性natura,essentiaですから,愛の完全性が異なるというのは,愛の本性が異なるといっているのと同じことだからです。つまり各々の愛は,個別的な感情とみられる限りでは,異なった現実的本性actualis essentiaを有する愛と解される必要があります。よってAへの愛とBへの愛は,異なった現実的本性を有する異なった感情なのです。
コメント
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