自分が至らないから、まだ人を救えないとか、教
えられないとかいう人があるが、至った人間など昔
から一人もない。ただ至らないままに人を導き、教
え、救っていると、だんだん至る道に近づいてゆく。
他人の幸せを羨んでいるうちはその人は幸せでは
ない。他人の幸せを喜ぶようになると、その人も幸
せになる。世界の幸いを自分の幸いと感ぜられるよ
うになって、人間が世界と一つの息に生きているこ
とになる。
三人の幸せを喜ぶものより、百人の幸せを喜べる
人は大きい。しかし世界の全部の人の幸せを、自分
の幸いと感ずることのできる人は、どんなところに
いる一人の不幸せな人にも胸を痛めるものだ。
晴哉