イラン出身のAさんに誘われて、イラン大使館で行われた「アフランド・ミュージカル・グループ(Afrand Musical Group)」(>> リンク)を聴いてきた(2008/11/18)。グループは普段は12人で活動しているそうだが、今回はそのうち太鼓・歌が1人と弦楽器が3人の4人。
曲調は独特なコードなのか、哀愁があって、演奏技術も全員すばらしかった。Aさんによると、革命直後のイランでは音楽はご法度であり、活動が可能になってきたのはハタミ以降だそうである。ブリュッセルで聴いたクルド歌手のシヴァン・ペルウェルの曲は、1/4音階などを使っていた(>> 過去の記事)。このグループのコードが実際にどのようなものかわからないが、そういった分割をしている可能性はあるだろう。リズムは乗りやすいものだった。
楽器ひとつひとつは初めて見るものばかりだ。帰宅してから手持ちの本をめくってみたが、見つけることができなかった。
太鼓と歌のReza Mahini(>> リンク)が使う太鼓「Daf」はとても大きく、裏側には縁から鉄の輪がじゃらじゃらと吊るしてある。叩くとそれらが金属音を出す仕組だ。左手で持ちつつ、その指先で叩くと、端の方なので小気味良い音が出る。右手で真ん中を叩くと、当然大きな音が響く。彼のソロは迫力があった。
Syavash Pourfazli(>> リンク)が使う弦楽器「Tar」は6弦で、胴が2つの膨らみに分かれていてユニークな形だ。
Ahmad Shoariyan(>> リンク)が使う弦楽器「Rabab」は面白い。4弦なのだが、横に7弦が張ってあって、和音を奏でるときに使うということだった。主な4弦はそれぞれ材質が違って、尋ねたところ、日本の琴の弦を試しに使っている、という遊び心。
もっともユニークで聴客たちがあとでじろじろ見ていたのが、Pejman Hoseinipour(>> リンク)が使う弦楽器「Santour」だった。机の上におき、糸楊枝を大きくしたようなピックで叩く。台形の箱の上に9個の駒が左右にそれぞれ配置されていて、箱の反対側の端から張った弦を持ち上げる。それぞれの駒には4本の同じ音を出す弦が張られていて、左の駒で持ち上げているもの、右の駒で持ち上げているもの、というように互い違いになっている。つまり、4×9×2=72本の弦がある。そして叩く場所は右の山、左の山、それから駒が持ち上げた反対側の部分(短いので高音)。これで3オクターブが出る。ソロになると繊細というのか、幽玄というのか、耳も震えた。
これで無料なのだから、良い文化事業だ。寒いのでお好み焼きを食べて帰った。でも風邪気味だ。
楽器群は普段見慣れないせいもありますが
独創的で美しいです。こういうものを禁止
するという時代が少し前にあったわけですが
一種の狂信的な時代なのでしょう。
Sightsongさんは、この手の情報にお詳しい。私もこの音楽会に行ってみたかったです。
楽器はいい加減に作れないため工芸品の趣もありますね。楽しいです。各国主催のイベントはまめにチェックしたほうがよさそうですね