Sightsong

自縄自縛日記

.es『曖昧の海』

2017-03-24 01:13:40 | アヴァンギャルド・ジャズ

.es『曖昧の海』(Nomart Editions、2015年)を聴く。

Takayuki Hashimoto 橋本孝之 (as, alto bamboo sax, harmonica)
sara (p) 

先日聴いたUH(内田静男+橋本孝之)が、ふたりともともかくも同じ時空間を共有していたのに対し、.esの雰囲気は明らかに異なっている。saraさんのピアノは同じ場所にいながら別の相にあって(一周まわると別の相に移る複素平面のようなイメージ)、橋本さんを鳥瞰する存在として音を響かせている。

橋本孝之のサックスはやはり非有機生命体でありながら、自らの発する苛烈な音の中に自らを晒すことによって、有機生命体との間を往還する。ときに強く感じられる哀しみは情なのであって、情は生命体にのみ向けられる。その一期一会のプロセスが素晴らしい。身体が滅びながらにして立ちあがる暗黒舞踏と共通するものがある。

一方でハーモニカの発散する雰囲気はまたサックスとずいぶんと異なる。すべてが砂と風とで一掃されたあとの荒廃した場になお残る、非生命体でもなく生命体でもなく、実体を持たない霊か情か。

●橋本孝之
内田静男+橋本孝之、中村としまる+沼田順@神保町試聴室(2017年)
グンジョーガクレヨン、INCAPACITANTS、.es@スーパーデラックス(2016年)
鳥の会議#4~riunione dell'uccello~@西麻布BULLET'S(2015年)
橋本孝之『Colourful』、.es『Senses Complex』、sara+『Tinctura』(2013-15年)


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