Sightsong

自縄自縛日記

フタリのさとがえり@Ftarri

2018-07-02 22:39:13 | アヴァンギャルド・ジャズ

水道橋のFtarri(2018/7/1)。

フタリらしからぬ柔らかいイベント名。すずえりさんが、池田謙さんの一時帰国(さとがえり)にあわせて企画し、30歳以下の「いまみたいなぁという若い人をブッキングした」ものだった。かれらの中にも「さとがえり」者がいた。

■ 松浦知也 (exidiophone)

ふたつのスピーカーがあり、一方で、音を発信する機器に、不自然なほど長いラッパや、樹脂のパイプや、端子が付けられている。後者のいろいろをスピーカーに近づけて微妙な間合いによってフィードバックを起こし、また原音を手でコントロールすることによって、人の声にある連続性や応答がそこにあらわれた。かれは小さな呼子笛も吹き、それが、人力による直接的なアナログ音と間接的(結果的)なアナログ音との重なりを創り出した。

■ 時里充 (handmade instruments, etc)+小林椋 (handmade instruments, etc)+中村としまる (no-input mixing board)

時里さんは小さいながらも異常に強力な巻き上げ力を持つ機械を、まるでクワガタ同士で闘わせる子どものように酷使する。いくつもの養生テープがひたすらに巻き上げられ、独特の臭いを放ち、別のものに化けてゆく。それは時里さんが制御している。しかし、制御不可となり自律的な運動を始めるようにもみえる。一方で小林さんが操る機械は、いくつもののたうつ胴体・尾を持ち、やはり檻から解き放つも思うがままには動いてくれない。そしてこの奇怪な機械猛獣2匹を前にして、中村としまるの音は、磁場となったかのように機能した。この自律的なカリカチュアのようなサウンド・インスタレーションは、かなり面白いものだった。

すずえり (prepared p, etc.)+池田謙 (electronics)

ピアノの横で、回転する羽根とミラーボールがぐるぐると回る。ピアノの内部にはもう少し大きな羽根やバネが取り付けられ、その中ですずえりさんが鍵盤を叩いていく。それも執拗に。比較的にシンプルさを選んでの攻め方のようにも思えた。池田さんのエレクトニクスは、はじめは綺麗なピークをもった音としてリニアに伸びてゆき、やがてピアノとシンクロしてピアノと奇妙な共鳴を起こし、まるでサウンド全体が交響曲のような拡がりを持った。そして脈動へと化していくように聴こえた。

ところで、すずえりさんご自身のポートフォリオ本『suzueri works』を頂戴した。小さくて可愛い本である。ここに以前のライヴでの写真を2枚使っていただいた。なるほどその頁はフタリっぽい。

Fuji X-E2、XF60mmF2.4

●すずえり
Zhao Cong、すずえり、滝沢朋恵@Ftarri(2018年)
ファビオ・ペルレッタ+ロレンツォ・バローニ+秋山徹次+すずえり@Ftarri(2017年)
すずえり、フィオナ・リー『Ftarri de Solos』(2017年)

●池田謙
池田謙+秋山徹次@東北沢OTOOTO
(2017年)

●中村としまる
竹下勇馬+中村としまる『Occurrence, Differentiation』(2017年)
クレイグ・ペデルセン+中村としまる@Ftarri(2017年)
広瀬淳二+中村としまる+ダレン・ムーア@Ftarri(2017年)
Spontaneous Ensemble vol.7@東北沢OTOOTO(2017年)
中村としまる+沼田順『The First Album』(2017年)
内田静男+橋本孝之、中村としまる+沼田順@神保町試聴室(2017年)
山内桂+中村としまる『浴湯人』(2012年)


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