Sightsong

自縄自縛日記

健さんの海外映画

2008-09-21 21:42:05 | アート・映画

実は高倉健が好きである。というひとはきっと多い。

しかし、健さんのやくざ映画は中途半端にしか観ていない。『ブラック・レイン』(リドリー・スコット、1989年)が、はじめて大スクリーンで観た健さんなので、まあ随分偏っている。他の日本大誤解映画に比べればまだマシだが、そんなに誉められた出来でもない。ただ、この中で、健さんと松田優作の演技は迫力があった。ちょうど映画館の前に「松田優作急逝」の貼り紙がしてあって驚きながら観たので、印象も深かったに違いない。

そのあと、健さんの出る米国映画として、『ミスター・ベースボール』(フレッド・スケピシ、1992年)というのもあったが、これは映画館に行く気にはなれなかった。健さんが中日ドラゴンズの監督に扮する話だ。あとでテレビで観たがひどかった。

きょうは雨が降っていたので、思い出して『ザ・ヤクザ』(シドニー・ポラック、1974年)を観た。離婚した妻が岸恵子、相方がロバート・ミッチャム、敵の組長が岡田英次とかなりつぼを衝いてくる。「妙な日本」はあまりない。指をつめるシーンは『ブラック・レイン』にもあったが、こればかりはやめてほしい。

おもしろいのは、健さんが「義理」について「obligationか?」と訊かれるところ。これに対して、「いやburdenだ。耐え切れないほどのburdenだ」などと答えている。常に堪えているのが健さんだとはいえ、何が言いたいのかよくわからないぞ。

高揚したので、ついでに『単騎、千里を走る。』(張芸謀、2006年)も観た。中国で公開された数少ない日本映画が、健さん主演の『君よ憤怒の河を渡れ』(佐藤純彌、1976年)だったこともあり、中国での健さん人気は高い。これも、張芸謀が健さんを口説いたのだというが、『君よ・・・』も観ていたのだろうか。だとすれば、中国で息子の死を想い涙を流す健さんの姿を撮ったのは、勇気の要ることだったかもしれない。

それにしても、こんないい映画を撮る張芸謀が、なぜ北京オリンピックの開会式のような、こけおどしショーの演出などを引き受けたのだろうか。やはり引き受けざるを得ない事情があるのだろうか。

ところで、健さんのエッセイ集『あなたに褒められたくて』(1991年、集英社文庫)には、高校時代に海外への憧れから密航を企てた思い出が記されている(こんなものも読んでいる)。『ザ・ヤクザ』をはじめ、海外映画に出演したときの気持ちなんかも、どこかに書いてあれば読んでみたい。


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4 コメント

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Unknown (kincyan)
2008-09-22 07:16:40
高倉健さん、私も好きです。決してやくざ路線の健さんが好きなわけではなく、ブラックレインの生真面目な警察官役や黄色いハンカチの刑期を終えた男の役が良いですね。すこしゲテモノですが、ゴルゴ13の実写版の主人公にもなっていました。確か革命前のイランで撮ったやつです。懐かしいですね。
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Unknown (Sightsong)
2008-09-22 07:31:38
kincyanさん
ああ、ゴルゴ13・・・観てみたいとおもっています。千葉真一主演ものなら観たことがあるのですが。
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Unknown (はっしー)
2008-09-23 12:37:13
すでにご存知かもしれませんが、、、。下記の2年前の写真エッセイ集には、そのチャン監督との撮影時のエピソードがのっていましたよ。健さんの監督評が熱いです。わたし、あまり作品みていないのですが、この写真集みて映画みたくなりました。

http://www.amazon.co.jp/%E6%83%B3sou%E2%80%95%E4%BF%B3%E5%84%AA%E7%94%9F%E6%B4%BB%E4%BA%94%E3%80%87%E5%B9%B4-%E9%AB%98%E5%80%89-%E5%81%A5/dp/4087804550
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Unknown (Sightsong)
2008-09-23 12:52:14
はっしーさん
表紙の写真、痺れますね!ご教示ありがとうございます。『旅の途中で』というエッセイ集はそのうち読んでみようとおもっていましたが。丸山健二が書いた『鉛のバラ』(高倉健を主演にした小説)という奇怪なものもありますね・・・何だか抵抗があってまだ手に取っていませんが。
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