■春の小川～～♩♩

　私の部屋から健軍川が真下に見えるのだが、最近の数日は水無川に水が戻って小さな流れになっている。
２週間ほど前雨が降った折には、濁流となって水位が1.5mくらいは上がったのではないか。
その時水をかぶったはずの菜の花が川底の両岸に花が真っ盛りである。
近くを歩いてみると水がチョロチョロ流れてまさに「春の小川はさらさら行くよ～～」という風情で、思わず小魚でもいないかしらとのぞき込んだりする。
100mほど上流に堰があり、堰の下流は天気が良いとたちまち枯れ川になってしまうから、魚はさすがに見つけ出せない。
それでも、江津湖からだと思うが、アオサギが飛んできたり、カモの親子が少ない水の流れをたどってこのあたりまで遣ってくる。

　今日は朝から薬を貰いに病院行、その帰り道「春の小川・・」と口をついて出てきたが、メロディーは「隅田川」になっていて「春の小川の隅田川～～」となり、口をつぐんでしまった。
隅田川は小川じゃないよな・・・しばらくして爺様の頭の回路がつながって、「春のうららの隅田川」となった次第だが、ついでに、この歌の元・出所が「源氏物語」であるという話を思い出した。
半藤一利氏の著書（見つけ出せないでいるが）では、源氏物語の訳者・田辺聖子氏がこの教えてくれたそうだが、どこに書いてあるかは教えてくれず、氏はずいぶん時間をかけて源氏物語を読み「胡蝶」の巻でそれらしい歌「春の日のうららにさして行く船は竿の雫も花と散りける」を発見されたという。私も源氏物語に親しんでいるが、胡蝶にたどり着くまでが大変だ。
つまり、「隅田川」の歌詞の元は、紫式部ということだろう。

我家の真下を流れる健軍川も今は「春の小川」の風情で、隅田川に負けず劣らず「春うらら」である。

■忠興五男・立孝について（１）

　　井門家文書「三代記」より、宇土支藩始祖細川立孝公の事

一、元和元乙卯七月十五日於豊前小倉御誕生、御氏神至津八幡成、御芳名・坊、其後立允、中務大輔、御名乗立孝。御母公圓通院殿、清田主計
　　鎮乗娘也、寛文三癸卯七月二日於熊本御逝去也、（墓地：熊本立田・泰勝寺塔頭慈眼庵跡・細川刑部家墓地内）
一、同七辛酉春、三斎公御家督越中守忠利公ニ御譲被成、豊前中津江御隠居、其節従　三斎公御坊様江御部屋領トシテ御知行五千石被進候也。
　　御隠居領ノ高ハ拾弐万石也。
一、寛永元甲子十二月、三斎公御坊様御同道御発駕、年明江戸江御着被成候也。此時何ヶ年之御在府ニ而候や、不相知候事。
一、立允公御幼年之比ヨリ、城刕愛岩（宕）山真言宗福壽院御弟子ニ被為成、被遂御出家、御名少名坊ト申候。登山被成ニ三年茂勤学被成為成候所、
　　元来御心底ヨリ不發御出家故、御盛長ニ随イ御出家御嫌ニ被為成、御学文御心ニ不染、小倉江御下向被成、夫ヨリ御還俗可被成御容躰之段　
　　三斎公達御聞、殊外御立腹ニテ、既ニ御生害ニ茂可被仰付御様子ニ候処、御一門其外御譜代之輩心ヲ逢添、方々ニ隠シ置ヒソカニ御暮被成候所、
　　其後右之衆中御断在之し所、御父子之御間柄と申、常々御愛子之御事故、御還俗之儀御免ニテ、先御唱僧ニテ被成御座御名茂立允ト御改、其後
　　御對顔成候由。御還俗御免ニテ世廣ク被為成候事ハ、寛永七癸午御歳十六ノ比ト申伝候也。
一、同九壬申十月四日、肥後國越中守忠利公御拝領、同十二月八代江被成御座、其節　三斎公御隠居領三万七千石也。立允公江三万石。
　　　　　　後号立白
　　御舎弟刑部興孝公江二万五千石被進候也。都合之高九万弐千石也。
一、同十三丙子冬於八代立允公御婚禮被相整候也。御前様は五條中納言為適卿之御姫君也。御名鶴、後二恵照院殿。御前様十四歳、立允公廿ニ歳也。
一、同十四丁丑三月四日、行孝公御誕生也。
一、同年十二月三日、肥後國天草一揆ト申ニ付彼地江立允公御出陳、其後肥前有馬表江御越被成、翌年寅ノ二月廿七日、有馬城責之節、立允公大手之
　　石垣江一番ニ御着被成御踏監、御昇ヲモ石垣ノ上ニ被指揚、熊本御先手ヨリモ御行越被成無比類御働被遊候也。同三月四日八代江御開陳也。
　　御歳廿四。惣御人数初者千弐百余被召連筈之所、三斎公京吉田ヨリ被仰進候ハ、御人数多ク被召連候テハ、御領地御百姓茂痛可申候間、御減少被
　　成可然旨ニ付、都合八百人余ニテ御出陳也。城乗ノ刻、御家来共御側ヲ不離、初中後御供仕候者、或討死手負等之儀、委細別紙ニ在之也。
　　　　　　初中後御供相働候者
　　志方半兵衛　　熊谷権太夫　　熊谷慎太郎　　神足少五郎　　芦田十左衛門　　佐方源助
　　井門文三郎　　右之外具足着七人也。此外御歩行以下十四人。都合廿壱人也。
　　　　惣人数之内
　　　　　　　　　手負十八人　　討死八人　　手負討死合廿六人也
一、有馬落城已後於彼ノ地、立允公江肥後手ノ御目附馬場三郎兵衛殿ヨリ以御使者、今度骨折故致落城目出度存候。御手柄可申達様無御座候。
　　先為御祝儀以使者申入候由。為御礼三浦新右衛門被遣候所、三郎左衛門殿被召出御直ニ被仰候は、此度之御働御若氣之様ニ乍推量存候。
　　然共馬印ヲ茂諸手一番ニ被押立御乗候事、嘸三斎老御満足可被成候。此度之御働何茂可達　上聞候由、新左衛門ニ被仰聞候也。
一、御目附牧野傳蔵殿御手ヲ被負候ニ付御見廻右同人被遣候所、御同前之御返答也。
一、松平伊豆守殿御事為上使有馬表江御下向、殊ニ三斎公常々御入魂ニ付、有馬ニテ　立允公御儀、伊豆守殿一入何角御心入之由。伊豆守殿
　　之使番奥村権之允、関屋四郎兵衛、長谷川源右衛門此三人於有馬戦場伊豆守殿御下知ニ依テ諸手ヲ見廻り申候所、流尾筋ニ罷越立允
　　公御側近ク罷有、先後之御様躰具ニ見届罷帰、立允公之御働鬼神之様ニ、委細ニ伊豆守殿江申達候由、夫故能御存知也。
一、馬場三郎左衛門殿松平伊豆守殿江御越被御達候ハ、此度細川立允働無比類儀ニ候。私見届候と、被仰候得は、伊豆守殿被仰候は、立允
　　働之儀我等直ニ見届申候。其上家来共三人一所二居申、士衆ヲ承届申候。扨々手柄ト存候由被仰候。三郎左衛門殿も押返し／＼御申候。
　　為御礼被仰入可然由、伊豆守殿御側之衆下村傳蔵、井関長左衛門江内意申聞候也。
一、忠利公伊豆守殿江御出被成候節、戸田左門殿被仰候は、此度之城乗、越中殿手ヨリ本丸乗崩シ申候中ニは、立允一番ニ被乗候儀無比類、
　　ト被仰候ヘハ、伊豆守殿被仰候ハ、諸手之中ニテハ越中殿御乗崩候。越中殿内二テハ立允一番ニ乗、馬印迄一番ニ城江のセ被申候儀、前後
　　無残所働、ト被仰候。伊豆守殿、左門殿御両人共ニ忠利公江右之御挨拶之由、是又伊豆守殿御側衆傳蔵、長左衛門江内意申聞候也。
一、其後松平伊豆守殿より立允公江以御使者御口上、今度之御働無残所御首尾目出度存候。当時對御役儀何トヤラン如何ニと存候得共、
　　連々　三斎公御心入共ニ候得は、別ニ珍重存候故、御祝儀迄ニ此刀進入申候由也。備前元重弐尺三寸代金拾枚。
一、同十五戊寅五月五日立允公熊本御花畑江御出、越中守様御前江御出之処、色々御馳走有之、立允公江御意被成候は、今度有馬ニテ城乗之刻、
　　其方働之様子具ニ聞届無残所、昇茂一番ニますかたニ附、自分之付所迄石垣下ニ付被申所持裁判共、さりとハ家之重宝不過之候。
　　已来は先手ヲ其方江頼可申候。先々祝儀迄ニ此政宗脇差ハ肥後國被為拝領候時分被下置、随分目出度脇差ニテ候故送り申候。
　　此度之褒美ト申ニテハ無之候。心祝迄ニ相送候由被仰、其上献々ノ御祝也。其跡ニテ大組頭其外御褒美等被下也。
　　　　　　右立允御出府前、有馬ノ義存タル者被遣候様二トノ御事ニテ、志方半兵衛、山中清十郎被差出、
　　　　　　段々従越中守様之御尋ニテ申上候也。