津々堂のたわごと日録

わたしの正論は果たして世の中で通用するのか?

■尺貫法と漬物文化

2024-04-11 15:16:31 | 爺の遠吠え

 私が建築設計の世界に入ったころは、メートル法と尺貫法が両立していた。
そして、現在でも建築の世界では尺貫法の名残として、柱は10尺ものとか2間ものとかで製材されるし、ベニヤとかボード類も36物というのは3尺×6尺である。
一時期尺貫法をなくそうという動きがあったとき、反対運動の旗を振ったのが永六輔氏である。
建築の曲尺に限らず、いろんな職人さんが尺の世界で働いていた。着物を仕立てる職人さんは鯨尺であり、曲尺の一尺(30.3㎝)は鯨尺では一尺二寸五分(37.8㎝)と独特の世界があった。
その騒動の結果は、うやむやの内に収束したが、鯨尺の物差しをある筋(Y)が買い占めたなどの話が残る。製造は禁止されたが、使用するものを罰するまでには至らなかった。
永六輔氏著「明治からの伝言」に20頁ほどを割いて「計量法を粉砕せよ」という項に、一部始終が書かれている。

 今般の食品衛生法の改定などの話を聞くと、六輔氏黄泉の世界から大激怒されること間違いない。
道の駅などを訪ねると、地元の方々が細々と作られた地方の豊かなお漬物が並んでいる。
メーカーさんが大量に作る漬物とは違い、手作りの魂が感じられる。態々それを好んで購入するほどのことである。
昨今「紅麹」の問題で、食品・薬品の製造管理に関して役所が神経質になっている。
そのうちには、ウナギ屋さんの「タレ」とか、クサヤの干物の「タレ」とか、そんなものまで規制し始めるのではないか。
規制が過ぎると、日本の文化が失われることになる。かって「地方創生」という言葉があり、「一村一品運動」などが盛んになり地方の知恵が具現化されて、つまるところ「道の駅」などの賑わいを作り出した。
担当役所のお役人からすれば、事件につながるようなものはすべて規制の網をかぶせてしまえという、余りにも安直すぎる発想ではないか。
永六輔氏の後を引き継いで、大声を張り上げていただけるような人は居られないのだろうか。
誠に残念極まりない。

コメント
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