津々堂のたわごと日録

わたしの正論は果たして世の中で通用するのか?

■手討達之扣-(19-3)清原寿吉郎・貴田小十郎手討不覺

2024-03-11 09:27:52 | 史料

 この事件は細川家の刑法史を考える中で、貴重な示唆を与えてくれるような稀有な事件のように思える。
ここに登場する被害者の貴田小十郎は貴田権内の「名跡相続者」とされるが、侍帳によると相続したようには見受けられない。
小十郎は病乱の丑蔵から夕闇の中で不意打ちを受けて頭を傷つけられ流血が目に入り対応ができずに保護された。
一方病乱の久光丑蔵はこれも仲間により保護され、事件の騒乱の中で被害者側に受け渡されることがなかったため、討果すことが
できないまま「手討不覺」ということになっている。

小十郎はその「不覚」を理由に扶持や家屋敷を差し上げることを一類から申し出ており、藩庁はこれを受け入れている。
小十郎や今一人の被害者・清原寿吉郎に対しての「情状酌量」は全くなされていない。
一方丑蔵はと言えば、これは士分から軽輩牢人に落席の上、療養を目的に拘束生活を申し渡されている。
江戸時代も現在も「加害者に刑事的責任能力なし」という考え方は共通のようだ。

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      御内意之覚
   私名跡相續貴田小十郎儀去ル十日朝飯後ゟ召連水前寺稲荷社ニ参けい仕候処栖本冨太・吉富五左
   衛門・田辺孫右衛門兼而約諾も御座候而彼ノ方より見へ居申候あいだ不筈ニも相成候事ニ付罷越同道仕度段申
   聞候ニ付其意ニ任せ差遣シ私儀は直ニ罷帰り申候 小十郎江始末之様子相尋申候処是法村永山八郎助
   抱屋敷一同ニ罷立連ニ渡シ候ニ付追付可申と急キ薮下暗キ所を通り懸り申候処何者之業とも不知額を
   打たると覚血流レ眼暗ミ前後分り兼候間召連之方しまいより申候と覚居申候 此以後之儀は同道江向合呉
   候様申聞候ニ付右同道之面々ゟ始末承糺候趣右(?)之通
  一小十郎儀私相別候以後右三人ニ同道仕候 しかる處小十郎相加候以前ニ緒方新右衛門・清原寿吉郎相加り
   居候ニ付都合六人同道仕候 かへり懸ヶ八郎助抱屋敷キ右八郎助嫡子永山富八罷越居申候ニ付同道仕不残
   立寄申候 其以前八郎助抱屋敷江は追々相見へ候面々も有之候処最早其時分ハ引取りニ相成ル面々も有之候
   へども過半は居残ニ相成り申候 尤罷帰候面々ニも引取際ニ相成候得共小十郎一列暫ク相滞居申候 夜ニ入六ツ時過
   小十郎一列之内新右衛門・富田・五左衛門儀は少し先立参り居申候ところ小十郎・寿吉郎儀は半丁程も後レ跡ゟ
   参居候哉然處何か物騒敷有之候ニ付右三人立上り少々引返候内小十郎不軽怪我いたし候由ニ付
   右三人先解放いたし怪我之様子見届候処一ヶ処は月代之内ゟ眉間ニ懸ヶ一ヶ所は左之肩先怪我仕居申候
   畢竟所柄殊ニ不軽怪我ニ而眼闇ミ其場ニ而相手取押候儀も不相叶相見申候ニ付早速新右衛門儀は跡之様子見繕
   として引返申候処隙取申候ニ付無心元小十郎江は五左衛門付居候様申置富太儀ハ尚又様子為見繕罷越候処
   久光丑蔵病乱之躰ニ付取押置候由的場泰次ゟ噂仕候ニ付様子見ニまいり候処小十郎を怪我いたさせ■
   全丑蔵と見込申候 新右衛門儀ハ連レ寿吉郎不軽怪我仕候ニ付八郎助抱屋敷隣家ニ而解放仕居候由富太
   ゟ承り申候 小十郎方手足叶不申候ニ付相頼泰次同道仕又々立戻り小十郎ニ付添居申候 小十郎儀は直ニ五
   左衛門背負冨太・泰次儀は前後ゟ助ヶ合寿吉郎解放仕候 家ニ連越療養仕今以彼方寿吉郎一列に療養
   仕居申候 右家は八郎助抱屋敷隣家御庭方荒仕子武助と申者宅ニ而御座候 右丑蔵儀は小十郎知ル人ニ而
   御座候哉之處は私存不申候得共兼而出會等仕候様子承及不申候 其は全同席不仕候得は同之面々より
   承り申候 且又前文同道之孫右衛門儀は前条抱屋敷まてハ同道仕候得共相見へ不申候ニ付無(心脱カ)元右両人
   療養相濟候上ニ而富太儀孫右衛門宅江罷越向合候処不快ニて少し先ニ立大井手際ニ暫ク待居候得共連レ之
   面々参り不申候ニ付気分も猶又悪ク御座候ニつき罷帰り申候段噂有之候ニ付前文之趣演舌仕候処
   早速富太同道ニ手押而武助宅江罷越病人介抱有之候由ニ御座候 右之通ニ御座候 此段御達仕候 以上
       二月          貴田権内

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■趣味は?・・メダカ

2024-03-11 07:24:21 | ご挨拶

引っ越しなどで7・8匹いたメダカが、心ならずも一匹になってしまい水槽を独占していたが、可哀そうだし暖かくもなったから
仲間を増やそうと、昨日はペット専門店に出かけメダカ七匹・石巻貝三個及び水草などを購入して、少しにぎやかにしてやった。

成魚が半分ほどいるから5・6月ころには出産ラッシュとなって大賑わいの水槽になることだろう。
すっかりガラス面に青コケがついてしまい、先日洗いはしたもののまだ青みが残っているが、石巻貝が掃除を初めてくれると、
そのうちには水槽もきれいになると思うが、5mmほどの如何にも小さい貝ので時間がかかりそうである。

我家の下を流れる健軍川の上流を散策して、田螺を見つけてみようと思っている。
径が1cmほどもあればなかなかの働き手になってくれるはずだ。
奥方は全く興味を示さないが、爺様独占のささやかな楽しみである。

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