つむじ風

世の中のこと、あれこれ。
見たこと、聞いたこと、思ったこと。

琥珀の道殺人事件

2017年12月10日 21時08分22秒 | Review

―浅見光彦シリーズ35―
 内田康夫/角川文庫

 1989年10月25日初版、1993年11月20日第29刷。最初の大岡滝子の「面影橋通り殺人」は、実は・・・。しかし、では被害者がホテルで見た権東と郷司は何だったの?と疑問に思わないでもないが、その辺の細かいことは、まあ小説だからということで・・・。最後、井本徳子に自首を勧める浅見だったが例によってそこは武士の情け、本人の悔恨の念に委ねられる。結局、他人が見れば後追い自殺的な結果を迎えるのだが、これは腹切りに等しい。著者は、罪を犯した人間の最後はこうあるべき、という信条でもあるのだろうか。

 「琥珀」については今回初めて知ったこと。虫入り琥珀などはそれなりに有名だが、古くは医薬品としても使われていたこと。麻薬は大袈裟だと思うが、その薬効を試してみる訳にもいかない。
人形を使った偽装殺人はともかく、「琥珀」の装身具としての顔のウラには、こんな話しが潜んでいたとは。現在、「琥珀」については久慈市のWeb Pageでかなり詳しく紹介されているが、この作品が発表されたのは30年近く前のことだから、かなり強引ではあるが、「琥珀の道」は今回の作品の背景として、大きなネタになっていることは確かだ。それにしても月日の経つのは何と早いことかと思う。さぞ、浅見さんも歳をとったに違いない。


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